Oasisと私
チケットが取れた時に作ったポストで、公開せず放置していていましたが、2025年10月25日、オアシス東京ドーム公演当日に公開します。
もう少し推敲したり、締めをどうにかしたかったのですがまあ仕方ない。
※オアシスの作品をネタに極々私的な思い・思い出を語る記事ですので、音楽的な解説などは別の場所でどうぞ。
はじめに
2025年10月来日公演追加で当選しました!
2005年のサマソニ以来、実に20年振りのオアシスを観られそうです。
解散から15年ぐらい。リユニオンで話題だが、すっかり神格化されてしまった感のあるオアシス。
リアルタイムでずっと聴いていた身としてはかなりの違和感。
そんな上げ奉られるようなバンドじゃないと声を大にして言いたい。
オアシスっていうバンドはもっといい加減で荒々しくて自分勝手で生身。何より我々のような何も持たない普通の人間と同じバンドだ(った)。
悩んでいる人に対して
「大変だね、君の気持ち、少しならわかるよ。無理しなくていいよ」
なんて今の邦楽みたいに甘っちょろい事を言って寄り添ってくれたり、差別や偏見についてポジティヴなメッセージを発するようなバンドではない。
「は?てめえの人生だろ?てめえでどうにかしろよ。やってやれない事なんかねえんだよ」
とか言うタイプ。他人事だから言えるあの無責任なポジティヴィティを無遠慮に押し付けてくるバンド。
「○○はこうあるべき」「○○はこうすべき」みたいなコンプライアンスだの集団性バイアス等に雁字搦めな現代にはとても生きていけないバンド。
それこそ某ベンジーが右寄りな政党支持を表明したら「ロックじゃない」みたいな批判が自称「音楽好き」からさえも出るような時代。
「ロックは反体制でないといかん!」
「ロックはマイノリティに寄り添わないといかん!」
なんて決まり事・不文律ばっかりで、「ロック」も随分と堅苦しく偉そうになった。(別にそういう考えが悪いと言っているわけではない)
はずなのに彼らの所謂「武勇伝」はいまだに嬉々として語られるという違和感。
この再結成ツアーだって「兄弟がいつ喧嘩して中止になるかわからないよね」って言う声が多いけど、他のバンドがそんなことしたら、そしてもしオアシスのそれが現実になったら「プロフェッショナルじゃない」って叩かれるだろうに。
脱線しまくってしまった…
とにかくオアシスによってリアルタイムの洋楽を聴き始め、オアシスの解散と共に自分の青春が終わった私にとって、このバンドは愛憎入り混じった特別な存在であり、それゆえにリアルタイムで彼らに触れていない人間に、したり顔で気やすくレビューされたり語られたりすると「ちょ待てよ」と言いたくなるのである。
今回の再結成ライヴのセットリストと言い、演奏・アレンジと言い変に「新しい」事や「アート」に寄らず、みんなが聴きたい・歌いたいのは「あの頃のオアシス」であることをしっかりと理解して「ノスタルジー」に振り切っているところが素晴らしい。みんなノエルとリアムがハグする姿を見て、ドンルクを歌いたいんだ。今のトレンドに適合した新曲が聴きたいわけじゃない。新曲聴きたいとかアルバムに期待とか言う奴らはたぶんリアルタイムでそんなに熱中しなかった人間だろう。
増井修が何かのアルバムのライナーノーツで書いていたけど「グズグズ言わんでもリアムが歌えば一発じゃん」ってまさによ。
オアシスに小難しい理屈だの音楽性だの時代性だのそんなのは要らんわけ。
みんな一緒に大声で歌って日々のうっ憤を吐き出す。それこそがワーキングクラス・ヒーローのオアシスだ。
で、ウェンブリーでのセットリスト↑
これはキツイ。「Roll With It」まで休みなく歌い続けないといけない。「Talk Tonight」だって「Half The World Away」だって結局歌うわけだし。自分的にさほど思い入れのない「Little By Little」以外はずっと歌わないといけない。いや、歌わなくてもいいんだけど現地に行けば歌うわざるを得ない。
今後セトリの一部を国によって変えてくる可能性(低いだろう)もあるだろうがたぶんそれもメジャー曲だろうし。
(まさか「I Can See A Liar」とかぶっこまれたらさすがに忠実なる日本のオアシス・ファンも棒立ちだ)
それでもファンはぜいたくなもの。再結成してライヴも見られるのに「あの曲やってほしい」とか思ってしまうわけ。
聴きたい曲
She's Electric
Rockin' Chair
Stay Young
Going Nowhere
Who Feels Love
Gas Panic!(Probably)All In My Mind
She Is Love
Born On A Differnt Cloud
Mucky Fingers
Keep The Dream Alive
やらないよね、わかってるけど。
オアシスと時代背景
オアシスを語るうえで重要な要素の1つとしては90年代の英国というのがある。
長く続いた保守党による支配が終焉に近づき、労働党から若いリーダー、トニ-・ブレアが現れた。
公権力の強い’鉄の女’サッチャー政権で育った少年たちが、
-息苦しいこの現実から抜け出せるかもしれない。
-平日は公営住宅と工事現場を往復し、週末はパブとフットボールスタジアムに行くという繰り返しの日常から抜け出せるかもしれない。
そんな諦めと希望が入り混じった時期にデビューし、一般大衆と同じ普通の野郎どもがワーキングクラスヒーローに成り上がっていく記録である。
-「俺たちもこんな生活から抜け出してヒーローになれるかもしれない」
英国の労働者階級にそんな幻想を抱かせてくれたバンド、それがオアシスである。
Rock 'n' Roll Star
Live Forever
Cigarettes & Alcohol
Some Might Say
などはまさにそんなワーキングクラスのリアルであり夢でありアンセムだ。
アルバムレビュー
Difinitely Maybe(1994)

3rd→B面集→2nd、そしてこのアルバムという順番で聴いてしまった私にとって当時は正直そんなにいいと思えなかったデビュー作。
曲のクオリティのバラツキが大きい。よく言われるように「シューゲの残り火」的雰囲気という言葉を使えば聞こえは良いが、要は荒いプロダクションで何をやりたいのか明確にフォーカスができていない感じ。ただあの時代に「Supersonic」や「Live Forever」を聴けば明るい未来を期待したくなるのは当然だと思う。勢いで突っ走る感じも1stらしくて魅力。
リアルタイムで聴いてみたかったし、聴くチャンスもあったのに出会えなかったのが残念。
名古屋のクアトロかどっかの来日公演でバンド初のアンコールを解禁したと言うエピソードもある。クアトロってまだあるの?
(What's The Story) Morning Glory?(1995)

大名盤として語られる1枚だがこんな捻りも何もない単純一直線の音楽がよくそんな評価を得るもんだなと思う。発売当時の空気感がそうさせているのかと思いきや年を経るごとに評価も高まっている気がする。それだけ純粋なパワーを持ったアルバムと言うわけだろう。
どのタイミングで聴いたのはは全然記憶がないし、聴いて衝撃を受けたという記憶も特にない。自分でも気づかないうちに全曲歌えるようになっていた。と書いているうちにバンドスコアを買ったのか借りたのか定かではないがギターでコピーしたぞそういえば。当時のバンドでやったか?うーん、その辺は覚えてない。
CDショップスタッフ時代、見た目もノリもゴリゴリのヒップ・ホップなLA育ちの後輩(日本人)がロックも好きで「Champagne Supernova」を彼のランクルに乗って一緒に歌ったというロックなのかヒップ・ホップなのかわからない思い出がある。
見た目に反してめっちゃいい人だったけど売上度外視でマニアックなウエッサイモノをやたらオーダーしようとするのにはロック・ポップス担当が困っていた。
音楽と全然関係ない話ばかりになってしまった。まあ作品としては語りつくされているだろうからいいか。
Be Here Now(1997)

日本でも世界でも超メジャーなオアシスだが、本作を推すと「こいつ分かってんな」と言われやすい1枚。と言うかそうやって言われたい奴が挙げやすい作品。そんなもんくそくらえ。
と言いつつ私も本作をいつも上位に推すが、その理由は何と言ってもこのアルバムが自分にとっての「オアシス初体験」であり、「リアルタイムで初めて手にした現役の洋楽ロックのアルバム」なので、次作のB面集と並んで尋常ならざる思い入れがある。
もう発売前から本国はもちろん日本でもかなり盛り上がっていたと記憶しているし、大絶賛されていた。が発売後は比較的早く「あんま良くない」という評価になり、ノエルが「クスリでぶっ飛んで作ったからクソ」というお墨付きを与えてしまったためにすっかり「駄作」認定された1枚。
「D'you Know~」「My Big Mouth」「Magic Pie」「Stand By Me」「I Hope, I Think, I Know」「Girl In The Dirty Shirt」「Fade In-out」「Don't Go Away」「It's Getting Better (Man)」等‥好きな曲いっぱいで全て口ずさめる。
ただ長ぇ。1曲もアルバムも。どの曲も同じようなソング・ライティングに同じようなアレンジ。曲もアルバムも抑揚がないプロダクションのせいですごく長く感じて胸やけがひどい。「Stay Young」や「Going Nowhere」、「The Fame」と言った曲ををB面にしておいて。
前述のように「もう少し○○だったら~」とか言って逆張りして通ぶろうとする輩が後を絶たないが、私が何の思い入れもなく聴いて評価するなら「まあ正直聴かなくても良いアルバム」だ。
オアシスなんだからはっきり「クソ」だって言ってやればいい。
ただし他人に「駄作」だの「隠れた名作」だの言われたくないぐらい自分の人生にとって大きな意味を持つ1枚。
本作は知たり顔で音楽を語るやつらのてめえの音楽知識自慢や他人とちょっと違う視点で聴いてます的アピール(ほんとにそう思っているかは知らん)のための作品として扱われるのはほんと止めろ下さい。
Standing On The Shoulder Of Giants(2000)

本作発売直後に初めてオアシスを生で見た。レインボーホール(当時)の外で友人とめっちゃ寒い中開場を待っていたのはいい思い出。
前作が失敗作と言われ、「オアシスっていっつも同じ」というありがたい評価を受けかつ、レディへみたいなダークなロックが流行する等の逆風の中でリリースされた1枚。当時は本作制作後にボーンヘッドとギグシーが抜けたと聞いたのだが今ウィキを見ると制作中に脱退と書いてある。そうなのか。
後にライヴのオープニングSEとなる1曲目から当時のロック・バンドのトレンドであるサンプリングに大胆に手を染め、続く中期ビートルズばりのサイケ・ポップ2曲で「これは名作だ!」と言いたくなるが、4曲目の溢れ出んばかりのテキトー感に心を折られる。リアムの初ライティング曲には癒されるが続く3曲はいかにもノエルが手癖で作ってアレンジした感満載。いや良い曲なんだけど、結局これかと。
アルバムとしては流行に沿ったダークな雰囲気の作品で、今聴くと当時1人暮らししていた部屋の景色が思い浮かんできてやるせない気持ちになる。
じゃあつまらない作品かと言われれば決してそんなことはなく、やっぱり初めて参戦したオアシスのライヴがここからだし、頑張って聴きこんだから好き。「Be Here Now」同様、思い入れが強くて他人にどうこう評価されたくないアルバムですな。
Heathen Chemistry(2002)

わたくしの人生で最も浮き沈みが激しい時期のリリースであり、自分の音楽嗜好がどんどんと拡がって行っていた時期のため、発売直後に入手したものの当時聴いた記憶がほとんどない。国内盤のオビだかブックレットだかが銀色で指紋が付きやすく扱い辛いなあ、と思った記憶はある。
アンディとゲムが参加しての本格的に制作した初めてのアルバムだったと思う。
何と言ってもマイ・モスト・フェイヴァリット・ソング・オブ・オアシス、リアムの「Songbird」収録。改めて聴けばギターが清々しく喧しいアンディの「Hung In A Hard Place」、サイケ・ポップな「(Probably)All In My Mind」(もう少しベースの音量が欲しい)、「She Is Love」等佳曲揃い。リアムの「Born On A Differnt Cloud」はジョージの「All Things Must Pass」に収録されていそうなドブロ(風?)ギターソロも素敵なナンバー。アンディとゲムが加入した良い影響もひしひしと感じるし個人的にはオアシスの作品で最もビートルズを感じるアルバム。オアシスにとっての「White Album」。誰もそんな事言わないけど。
Don't Believe The Truth(2005)

この辺から思い入れに比例してレビューが薄くなる。正直私の記憶の中で「Heathan Chemistry」とごっちゃになっている。
当時の勤務店で発売前に「Lyala」の白盤(だったと思う)を聴いて興奮して次の日の朝礼で「いかにもオアシスって感じの曲です!」って言ったことを覚えている。別にロック担当じゃなかったのに。
確かWeezerの「Make Believe」と同じ時期に発売されてジャンル担当問わずみんなで盛り上がった。Weezerは売れて一回在庫切れした(そもそもイニシャルが少なかった)覚えがあるが、これはどうだったか。覚えてないなあ。特に1曲1曲の感想はないけど全体的にはしっかりとした創り。アンディやゲムの曲も違和感なく収まっている。これぐらいしか言うことがない。
Dig Out Your Soul (2008)

特に思い入れのない最終作。
発売当時、私は黒とピンクの某CDショップで働いていたが売れていた印象があんまりない。ポップス/ロック担当も積極的なストアプレイをしていなかった気がする。まあロック担当がUKのインディ系ロックを好む女性だったので仕方ない。
全店的にも在庫がかさんでいたのか20%だか40%だかOffの赤いステッカーが貼られた国内盤のストックが結構な量あったし店舗間移動やネット販売の倉庫送りをよくしていた思い出がある。TROとかTRIとかPRCとか社内で使っていた用語が懐かしい。あの時は会社も日本生命だCCCだローソンだといろいろ親会社変更の話が出ていてリストラクチャリング真っただ中、かなりの数の店舗を閉店させていた時期。
個人的にも「ロック」から最も距離をとっていた時期のアルバムなのでそれも低評価につながってしまう。今聴きなおしてみれば別に悪い作品ではない。オアシスにしては結構ヘヴィな音を鳴らしていて面白い。
おまけ
Masterplan(1998)

増井修の「おーい、君たち。オアシスが危ないんだよ」という呼びかけから始まる国内盤ライナーノーツが懐かしいB面集。別のライターによるシングル・ヒストリーとそれに付随するバンドのお騒がせエピソードが載っていてとても勉強になった。
我が家にはいまだにホノグラム(?)が表紙のフォトブックレットがついた初回限定国内盤がある。
当時「Guitar Magazine」に「Stay Young」のTAB譜が載っていてコピーした。また通っていた大学の図書館に「Music Life」だが「Music Magazine」が置いてあって発売当時特集記事を読んだりもした。オアシスのアルバムジャケットの解説(この写真は誰だとかプールにロールスロイスが浮かんでいる意味だとか、黒板に書いてある譜面はこの曲だみたいな解説)が載っていた気がする。
B面集だが名曲が多く入りやすい。B'zも一時期までB面に名曲が多かった。なんの話しだ。
Familiar To Millinons(2000)

よくもまあこんなタイトルを臆面もなくつけるもんだなと思うライヴ盤。ブラーなら絶対付けない、いや皮肉たっぷりにつけそう。兄弟はきっと真剣につけたんだろう。
既に「オアシスの英国でのライヴは大合唱がすごい」と聴いていたので楽しみだったがオーディエンスの声が期待していたほどは大きくないミックスで拍子抜けした思い出がある。それでもこの年に観たレインボーホールでのライブを追体験できるような感覚で聴いていたが当然音源では少し物足りなかったのも事実。「Hey Hey My My」はこのアルバムで初めて知った。あとジャケがダサい。
Stop The Clocks(2006)

「オアシス初のベストアルバム」と銘打ってリリースされたコンピだが選曲はノエル・ヴォーカル曲も多く確かライナーノーツにも「純粋なベスト盤じゃなくてノエルのお気に入り曲集みたいなもん」的に書かれていた気がする。
勤務していた店でも入り口の平台で展開していたのにそんなに売れた記憶がない。「Masterplan」含めた既発のアルバムを所持していれば特に必要ないと思うが限定盤みたいなものがあった気がする。で調べたらやはりライヴDVD付属盤やフォトブック付属盤があるようだ。結構豪華な装丁のヴァージョンがあったような。
Time Flies…1994〜2009(2010)

ブックレットにファンのコメントがたくさん載っているが、その1つ1つがどれも最高。みんなオアシスが大好きなのが伝わってくる。
発売が2010年6月。私が働いていたCDショップが同年8月に閉店。徐々に店内が空になって行く時期にストア・プレイでかかっていた思い出が詰まった1枚。
このタイミングで私は音楽に関わる仕事を離れまた20代が終わる時期だった。それは10代の終わり頃初めて出会った現役の洋楽ロック・バンドであるオアシスが私の20代の青春とともにあり、ともに終わってゆく瞬間の時期。「Whatever」のラストでの歓声は私の青春の終わりと、これからの道を祝福してくれているように思えた。
私に洋楽ロックの道を拓いてくれたオアシス。
CDショップを辞めてこれからどうやって生きていくのか将来になんの見通しもなかった私に
―「どんな状況だってお前はお前の望むものになれるんだぜ」
と歌ってくれたオアシス。
これこそがオアシスと言うバンドが、私にとってスペシャルで唯一無二で、決して他の誰かの一般的な物差しで語って欲しくない理由である。
Keep your chin up, 'cos life is always getting fuckin' better
−顔を上げようぜ、人生はいつもヤバいぐらい良くなってくんだから
