毎週ショートショートnote∥ときめきトゥーシューズ
「店長、今日も来ましたよ」
「ほんと?」
店長が、カウンターから通りを覗いた。店のショーウィンドウ、ぴたりと額をつけた少女がいる。視線の先には、つやつやと輝くトゥーシューズ。
ディスプレイ担当は店長だ。シューズは透明なケースの上でつま先立ちをしている。その周りには柔らかな羽が舞うように吊るされていた。
「あの子、真向いのバレエスクールの生徒さんなのかしら」
「綺麗なお団子ヘアーですもんね」
少女は、週に5回やってくる。平日の16時20分、おそらく小学校が終わったあと、スクールに通っているのだろう。人目もはばからず、ショーウィンドウに額をつける。
そのうち、スクールの開始時間が近づくのか、名残惜しそうにその場を離れるのがお約束だ。
「よっぽど気になるシューズなのね。それとも、あたしのディスプレイが美しすぎるのかしら」
店長は、うっとりと頬に手を添える。スタッフはそんな店長の横顔を見ながら、少女がトゥーシューズを履く姿を夢みた。
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田原にかさんの、毎週ショートショートnoteのお題に参加させていただきました。今回は、メンバーシップの片桐 みかんさんのお題とのことです。ありがとうございました。
人によって、ときめきポイントはいろいろあると思います。
わたしは、「あの人がまさかこんなことを?!」みたいなギャップに、すぐときめいてしまいます。
