ロキソニンが1位じゃない理由 痛み止めランキングでわかる3つの薬の違い
痛み止めにはいろいろな種類があり、「結局どれが一番効くの?」「よく出される薬が一番強いのでは?」と感じる方も多いと思います。ですが実際には、痛み止めは“強さ”だけで選ばれているわけではありません。年齢、持病、胃や腎臓、肝臓への負担、ほかの薬との飲み合わせなどを見ながら、その人に合った薬が選ばれています。だからこそ、処方される回数が多い薬が、そのまま「最強の痛み止め」とは限らないのです。アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、アスピリンにはそれぞれ特徴があり、向いている場面も注意点も異なります。
まず最初に、ランキングTOP3の結果から
3位がアスピリン、2位がロキソプロフェン、1位がアセトアミノフェンという結果でした。ここで大事なのは、この順番をそのまま「効き目の強さの順位」と考えないことです。痛み止めの処方や選択には、効き方だけでなく、安全性や使いやすさ、年齢層、持病との相性などが大きく関わります。つまり、上位に来る薬ほど“万能”というわけではなく、使いやすい場面が広いから選ばれやすい、という見方が必要です。実際、医師向け調査でもアセトアミノフェンやロキソプロフェンは上位に挙がりますが、診療科によって選ばれやすい薬は異なります。

このランキングは、効き目の強さの順位ではありません
「1位の薬が一番強い」と思ってしまうのは自然ですが、医療の現場ではそう単純ではありません。たとえば、炎症が強い痛みなのか、発熱を伴うのか、高齢の方なのか、胃が弱いのか、腎機能や肝機能に不安があるのかによって、向く薬は変わります。ある人には使いやすい薬でも、別の人には使いにくいことがあります。痛み止めを見るときは、順位そのものよりも、「その薬がどういう場面で選ばれやすいのか」「どんな注意点があるのか」を知ることのほうが大切です。

第3位はアスピリン
アスピリンは、古くから使われてきた痛み止めのひとつです。痛み止めとしては、頭痛、関節痛、腰痛、筋肉痛、月経痛、痛風による痛みなど、かなり幅広い症状に使われます。元台本でも「意外な順位」とされていましたが、たしかに今ではロキソニンやカロナールの名前のほうを身近に感じる方も多いかもしれません。医療用ではアスピリン「ホエイ」のような製剤があり、かつて知られていたバファリン配合錠A330は2021年に販売中止となっています。
アスピリンの特徴は、痛みや熱に使うだけでなく、血液を固まりにくくする目的でも使われることです。実際に低用量アスピリン製剤は、血栓や塞栓を防ぐ目的でも用いられています。そのため、アスピリンは「ただの痛み止め」と思っていると、本来の使い方との違いがわかりにくくなります。目的によって量も使い方も変わる薬なので、自己判断で増減するのは避けるべき薬のひとつです。
一方で、注意点もはっきりしています。アスピリンは胃への負担があり、消化性潰瘍のある人、出血しやすい人、アスピリン喘息のある人などでは使えない、または慎重な判断が必要です。出血傾向を強めることがあり、ほかの薬との組み合わせにも注意が必要です。昔から使われている薬だからこそ安心、ではなく、長く使われているからこそ注意点もよくわかっている薬、と考えるほうが正確です。

第2位のロキソプロフェン
ロキソプロフェンは、「痛み止めといえばこれ」と思い浮かべる人が多い代表的な薬です。医療用ではロキソニンの名前で知られ、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、歯痛、手術後や外傷後、抜歯後の痛みなど、非常に幅広い場面で使われています。炎症を伴う痛みにも使われやすいため、「効いた感じがわかりやすい」と受け止められやすい薬でもあります。元台本で紹介されていたように、上位に入っていても不思議ではない薬です。
ただし、ロキソプロフェンは誰にでも使いやすい薬ではありません。胃腸への負担があり、消化性潰瘍のある人では禁忌ですし、重い腎機能障害、アスピリン喘息、妊娠後期などでも注意が必要です。空腹時の服用を避けることが望ましいとされており、高齢の方では副作用が出やすくなるため、より慎重な使い方が求められます。つまり、ロキソプロフェンは「よく効く薬」である一方で、「背景によっては使いにくい薬」でもあるのです。
そのため、ロキソプロフェンが有名だから、あるいは以前よく効いたからといって、いつでも同じように使ってよいわけではありません。たとえば高齢の方、腎臓の働きが気になる方、胃が弱い方では、別の薬のほうが適している場合があります。痛み止めは「知っている薬を選ぶ」のではなく、「今の自分の状態に合う薬を選ぶ」ことが大切です。

第1位のアセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、医療用ではカロナールとして知られる薬です。そして、今回もっとも大事なポイントはここです。1位だからといって、アセトアミノフェンが「いちばん強い痛み止め」という意味ではありません。アセトアミノフェンは、熱や痛みに広く使われる薬で、成人だけでなく小児にも用いられます。使いやすい場面が多く、年齢や背景に応じて量を調整しやすいことから、幅広い診療で選ばれやすい薬です。
一方で、炎症が強く関わる痛みでは、一般にロキソプロフェンのようなNSAIDsのほうが向いている場面があります。つまり、アセトアミノフェンは「最強だから1位」なのではなく、「使いやすいから選ばれやすい」薬です。とくに小児や高齢者、あるいはNSAIDsを使いにくい場面では、アセトアミノフェンが選択肢になりやすいことが知られています。
ただし、アセトアミノフェンにも注意点はあります。もっとも重要なのは肝障害です。添付文書でも、重篤な肝障害に注意すること、そしてアセトアミノフェンを含むほかの薬との併用で過量投与にならないよう避けることが明記されています。総合感冒薬や市販の解熱鎮痛薬にも同じ成分が入っていることがあるため、知らないうちに成分が重なってしまうことがあります。お酒をよく飲む方や肝機能に不安がある方は、とくに自己判断で重ねて飲まないことが大切です。

簡単にまとめ
今回の3つの痛み止めは、それぞれに役割が違います。アスピリンは幅広い痛みに使われる一方で、出血や胃への負担に注意が必要です。ロキソプロフェンは炎症を伴う痛みで頼りになる場面がある一方、胃や腎臓、喘息などに注意が必要です。アセトアミノフェンは大人から子どもまで使いやすい場面が多い一方で、肝機能や成分の重複には気をつけなければなりません。大事なのは、順位を見ることではなく、それぞれの長所と短所を知ることです。
痛み止めは、どれかひとつが絶対に優れているわけではありません。だからこそ、「よく処方されるから一番強い」「有名だから安心」と考えるのではなく、自分の症状や体の状態に合っているかを見ることが大切です。持病がある方、妊娠中の方、ほかの薬を飲んでいる方は、自己判断で選ばず、医師や薬剤師に相談してください。
参考
・処方サーベイ:日経メディカル Online「経口鎮痛薬はアセトアミノフェンが6割超えのシェアを得て首位をキープ」 (https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/survey/202601/591919.html)
・公的資料/PMDA関連:アセトアミノフェンの添付文書・安全性情報。重複服用、肝障害、一般用医薬品との併用注意の確認に使用。 (PMDA)
・公的資料/PMDA関連:ロキソプロフェンの添付文書。消化性潰瘍、腎機能障害、妊娠後期などの禁忌や、高齢者への慎重投与の確認に使用。 (JAPIC Pins)
・公的資料/PMDA関連:アスピリン含有製剤の安全性情報。医療用アスピリン製剤で、血栓・塞栓形成の抑制が主な効能となる文脈の確認に使用。 (PMDA)
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