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結局どれが一番ラクになる?急性の痛みに効きやすい痛み止めをデータで比較

痛いときに一番知りたいのは、
「理由」よりも「結局、どれが一番ラクになるのか」ではないでしょうか。

ところが、痛み止め売り場や処方薬には選択肢が多く、
何となくのイメージで選んでしまいがちです。

そこでこの記事では、感覚ではなく研究データをもとに、
急性の痛みに「効きやすい」鎮痛薬をランキング形式で解説します。
基準にするのは、NNT(当たりやすさを示す指標)です。


まず前提:NNTとは何か(効きやすさを比べるための指標)

今回のランキングでは、NNT(エヌ・エヌ・ティー)という指標を使って、痛み止めの「効きやすさ」を比べます。

NNTとは、日本語では「治療必要数」と呼ばれ、
しっかり効いた人を1人分増やすために、何人にその薬を使う必要があるか
を表す数字です。

少しややこしく聞こえるかもしれませんが、考え方はとてもシンプルです。

たとえば、ある痛み止めを5人に使ったとき、
何も飲まなかった場合(比較)よりも、追加で1人だけしっかり痛みが改善したとします。
この場合、NNTは5です。

一方で、2人に使って1人分しっかり効いたなら、NNTは2になります。

つまり、
数字が小さいほど、効きやすい、外れにくい
というイメージで問題ありません。

今回は、研究でよく使われる条件に合わせて、
飲んでから4〜6時間の間に、痛みが50%以上ラクになった人
を1人増やすために何人に使う必要があるか、という基準で統一しています。

もちろん、痛みの感じ方には個人差があります。
同じ薬でも、よく効く人もいれば、あまり変わらない人もいます。

ただ、NNTは
感覚や口コミではなく、複数の研究結果をまとめて見たときの「当たりやすさ」を知るための指標です。


今回のランキングが対象にしている「痛み」

このランキングで扱っているのは、いわゆる「急性の痛み」です。

・具体的には、
・手術後の痛み
・抜歯後の痛み
・ケガや炎症などで急に出てきた痛み
といった、「今つらい」「短期間でピークが来る」タイプの痛みを想定しています。

こうした急性痛は、
原因がはっきりしていて
炎症や組織のダメージが関係していることが多く、
痛み止めの効果を比較的評価しやすい、という特徴があります。

一方で、この記事のランキングが当てはまりにくい痛みもあります。

たとえば、
・何か月も続く腰痛
・しびれを伴う神経痛
・原因がはっきりしない慢性的な痛み
などです。

これらの痛みは、
痛みが起こる仕組みが急性痛とは異なり、
評価方法や治療の考え方も変わってきます。

そのため、今回紹介する
「どれが一番効きやすいか」というランキングは、
慢性痛にはそのまま当てはめられない
という点は、あらかじめ理解しておいてください。


効きやすさで分けた鎮痛薬Tier表について

今回は、急性の痛みに対する鎮痛薬を
「どれくらい当たりやすいか」という視点で、Tier(グループ)に分けて整理します。

ここでいうTierは、
強い・弱いを単純に決めつけるものではありません。
NNTというデータをもとに、
「効く可能性の期待値」を目安として分類したものです。

Tierは3段階あります。

Tier Bは、
効く人はいるものの、
NNTで見ると当たりやすさがやや低かったり、
副作用などの点で注意が必要な薬です。

Tier Aは、
急性痛に対して主力として使われやすく、
比較的当たりやすい薬が集まるグループです。
実臨床でも出番が多く、
「まず候補に挙がりやすい」立ち位置になります。

Tier Sは、
条件が合ったときに、
最も高い鎮痛効果が期待できるグループです。
単剤ではなく、組み合わせが中心になります。

大切なのは、
Tierが上だから必ず正解、
Tierが下だから使ってはいけない、
という話ではないことです。

痛みの種類、強さ、体質、副作用のリスクによって、
選ばれる薬は変わります。


Tier B:使いどころはあるが主力にはなりにくい鎮痛薬

まずは、Tier Bに分類した鎮痛薬から見ていきます。
Tier Bは、「効かない薬」という意味ではありません。
ただし、急性の痛みに対する当たりやすさをデータで見ると、
主力クラスより一段落ちる、あるいは注意点が目立つグループです。


ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン内服)

ジクロフェナクナトリウムと聞くと、
「強そう」「いかにも効きそう」という印象を持つ方は多いと思います。

実際、名前のインパクトや過去の使用経験から、
強力な痛み止めというイメージが先行しがちです。

しかし、急性術後痛のデータをNNTで見ると、
ジクロフェナクナトリウムのNNTはおよそ6.6と報告されています。

これは、
6〜7人に使って、ようやく1人分しっかり効く
というイメージです。

他の鎮痛薬と比べると、
「期待するほど当たりやすくはない」
という位置づけになります。

また、急性術後痛に対して単回で使った場合、
有効性が限定的で、積極的には推奨されにくい
とする報告もあります。

もちろん、実際に効く人はいます。
ただ、NNTという客観的な指標で見ると、
他の選択肢より外れやすい側に入ってしまう、というのが現実です。

さらに、安全性の面では、
胃が荒れやすい、胃痛や不快感が出やすいなど、
胃腸の副作用が比較的目立つ点にも注意が必要です。

こうした理由から、
ジクロフェナクナトリウムはTier Bに分類しています。


アセトアミノフェン(カロナール・タイレノール)

アセトアミノフェンは、
「効き目が弱い」「あまり効かない」
という印象を持たれがちな薬です。

急性術後痛のデータでNNTを見ると、
1回500mgでおよそ3.5、
975〜1000mgでおよそ3.6
と報告されています。

決して悪い数字ではありませんが、
後で紹介する主力クラスと比べると、
当たりやすさという点では一歩譲ります。

ただし、アセトアミノフェンの価値は、
単純な鎮痛の強さだけでは測れません。

この薬は、
子どもから大人まで使いやすく、
胃腸への負担が比較的少なく、
他の鎮痛薬が使いにくい人でも選択肢に残りやすい
という大きな特徴があります。

また、後ほど紹介しますが、
他の鎮痛薬と組み合わせることで、
単独使用とは別次元の効果が期待できるケースもあります。

単剤ではTier Bですが、
鎮痛治療全体の中では欠かせない存在
と言える薬です。


Tier A:主力として信頼できる鎮痛薬

Tier Aに分類されるのは、
急性の痛みに対して、単剤でもしっかり効果が期待でき、
実際の医療現場や市販薬としても出番が多い鎮痛薬です。

NNTの数値を見ても、
「外しにくい」「まず試されやすい」
という立ち位置にあります。


イブプロフェン(ブルフェン・イブA)

イブプロフェンは、市販薬としても広く知られている成分です。
そのため、「市販されている=効き目が弱い」と思われがちですが、
データを見ると、その印象は当てはまりません。

急性術後痛の研究では、
1回200mgでNNTはおよそ2.7、
400mgではおよそ2.5と報告されています。

これは、
比較的少ない人数に使うだけで、
しっかり効いた人が増える
ということを意味します。

イブプロフェンは、
炎症を抑える作用と鎮痛作用のバランスが良く、
派手な一撃というより、
安定して効果を発揮するタイプの薬です。

急な痛みが出たとき、
まず候補に挙がりやすい理由が、
この数字からも読み取れます。


セレコキシブ(セレコックス)

セレコキシブは、使う量によって評価が変わる鎮痛薬です。

急性痛のレビューでは、
1回200mgではNNTが約4.2と、
当たりやすさはやや控えめです。

一方で、
1回400mgにすると、NNTは2.5〜2.6程度まで下がり、
イブプロフェンと同じくらいの水準になります。

この薬の特徴は、
炎症に関わるCOX-2という経路を選択的に抑える点にあります。

そのため、
他の鎮痛薬と比べて、
胃が荒れにくいとされており、
胃腸の副作用が気になる人では選ばれやすい薬です。

用量を適切に使えば、
急性痛に対して十分な主力になり得る薬と言えるでしょう。


ロキソプロフェン(ロキソニン)

ロキソプロフェンは、
「痛み止めといえばこれ」
というイメージを持たれることが多い成分です。

ただし、この薬は、
NNTだけで単純に点数比較するのが難しい特徴があります。

ロキソプロフェンは、
他の鎮痛薬と直接比べた試験で評価されることが多く、
脊椎手術後の痛みを対象にした研究では、
早い時間帯(30分〜2時間)の痛み改善が、
セレコキシブよりも大きかった
と報告されています。

また、ロキソプロフェンは、
体内で活性化して効くプロドラッグという性質を持ち、
胃腸への負担が比較的少ないと考えられています。

こうした点から、
ロキソプロフェンは、
急性痛に対する実力派の主力鎮痛薬として、
Tier Aに分類しています。


Tier S:条件が合えば最強候補の組み合わせ

Tier Sとして紹介するのは、
単一の鎮痛薬ではなく、
イブプロフェンとアセトアミノフェンを組み合わせた使い方です。

この組み合わせは、
急性の痛みに対するデータ上の当たりやすさが、
今回紹介する中で最も高い水準にあります。

急性術後痛を対象にしたレビューでは、
イブプロフェン200mgとアセトアミノフェン500mgの組み合わせで、
NNTはおよそ1.6、
イブプロフェン400mgとアセトアミノフェン1000mgの組み合わせでは、
NNTはおよそ1.5と報告されています。

これは、
少人数に使うだけで、
しっかり痛みがラクになる人が増えやすい
ということを意味します。

この組み合わせが強力とされる理由は、
効き方のルートが異なる点にあります。

イブプロフェンは、
炎症に関わる反応を抑えることで、
痛みの原因そのものに働きかけます。

一方、アセトアミノフェンは、
痛みの感じ方を和らげる方向に作用すると考えられています。

別々の仕組みで効くため、
単剤よりも鎮痛効果が上乗せされやすい、
というわけです。

ただし、
強いからといって、
誰にでも無条件で足せばよい
という話ではありません。

用量の上限、
体調や持病、
他に飲んでいる薬との兼ね合いなどを考えた上で、
使う必要があります。

それでも、
急性の強い痛みで、
短期間しっかり抑えたい場面では、
条件が合えば最強候補になり得る組み合わせとして、
Tier Sに位置づけられます。


まとめ

急性の痛みで一番大事なのは、感覚やイメージではなく、どれが効きやすいかを客観的に見ることです。この記事では、NNTという指標を使い、飲んでから4〜6時間の間に痛みが50%以上ラクになる人をどれだけ増やせるか、という基準で鎮痛薬をTier分けしました。

Tier Bは、使いどころはあるものの主力になりにくい薬です。ジクロフェナクナトリウムはイメージほど当たりやすくなく、胃腸の副作用にも注意が必要です。アセトアミノフェンは単独の当たりやすさで最強とは言えませんが、幅広い人に使いやすく、組み合わせで真価を発揮しやすい重要な薬です。

Tier Aは、急性痛で主力として期待しやすい薬です。イブプロフェンは市販でも十分に実力があり、当たりやすさのバランスが良い成分です。セレコキシブは用量によって効きやすさが変わり、胃が荒れにくい特徴があります。ロキソプロフェンはNNTだけで単純比較しにくい面がある一方、早い時間帯の痛み改善で優位とされる報告もあり、主力薬として位置づけられます。

Tier Sは、条件が合えば最強候補となる組み合わせです。イブプロフェンとアセトアミノフェンは効き方のルートが違うため、急性痛では単独より当たりやすさが上がりやすいことが示されています。ただし、強いからといって誰にでも足せばよいわけではなく、用量や体調、併用薬などを踏まえて使うことが前提です。

痛み止めは、効きやすさだけでなく、副作用や体質との相性も含めて選ぶ必要があります。強い痛みが続く、原因がはっきりしない、症状が悪化するなどの場合は、自己判断で我慢せず医療機関に相談してください。


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