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掌編の書き集め IV

水を飲む。むせる。
砂漠化地帯もさらに干からびる。
思考から水分が抜けると軽い脱水症状に至り、植物の芽も萎れていく。
温暖化も砂漠化も止まらない。
火力発電所から排出される二酸化炭素量は減らないし、10年後のSDGsはきっと30項目くらいある。
そして水の値段がなにより高い。


月が映る水膜に、雨水の水紋が伝った。一匹のバッタが草を掻き分けて飛ぶ。
また飛ぶ。そして今度飛んだ先は、池の中だった。
馬鹿な虫もいるもんだなと笑いを少し漏らすと、
「傘もささずに池の前座ってるよあの人、馬鹿じゃないの」
と土手沿いを歩くカップルが笑っていた。


馬鹿真面目に続けてきたことが終わろうとしている。
どれだけ高くペットボトルのキャップを積み上げられるかという無謀な挑戦に、衛星を通した放送で、全世界の住人が固唾をのんで見守っていた。
さあ月まで届くという緊張の中で、ついに酸素が尽きてギネス記録はそこで止まってしまった。


月面が煌々と輝き、夜の水溜まりを照らした。
「月が燦々と輝いてるね」
僕が煌々と、と使っているのに、彼女は燦々と、と言っていた。
このズレはどこから来ているのだろう。
僕が間違っているのだろうかと思ったので、水溜まりを蹴って長靴下にかけてみた。
ズレているのは僕だった。


文字を放流した。今回川に解き放ったのは「魚」という漢字だった。
魚はびちびちと尾を跳ねさせ、流れに沿って海へと渡る。
そして私は3つの点を餌としてばらまいた。すると川は州となり、新たな地形が出来上がった。
─ 国生み神話


紙で切った指先に麻酔をどばどばとかけた。
麻酔はよく効き、痛みが無くなるどころか一種のトランス状態になって、あの世に飛びかけた。
そこで持ち帰った真理を広めたら見事に教徒を獲得し、大儲けする道に入った。
実は麻酔だと思っていたものは別の薬だったのだが。


ひゅるひゅると榴弾の落ちる音が聞こえる。
先月はこいつのせいで顔なじみが5人も殺された。草葉を食い、なんとか飢えを凌いだ末にこれだ。
鳴った。
仲間の兵が足下に飛ばされてきた。
まだ死にきれていなかった。足や腕をバタバタさせるが、叫びきれていなかった。



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