人事のプロと労務のプロ
ある会社でジョブディスクリプションの作成のお手伝いをしています。
今週は管理部門の話になりました。
人事と労務は分ける?分けない?
一口に「人事」言っても領域は広いです。大手であれば分業化されていると思いますが、中小ではそうもいきません。
私自身も中小企業の管理部門出身です。財務以外はほぼすべて仕切っていました。良くも悪くも何でも屋です。
実は今回、管理部門の役員から相談があり、意見を求められました。
「管理部は経営の基礎を支える部門」はいいけど、「支えればいい」だけでは終わってほしくない。だから、メンバーには何かのプロになるくらいのキャリアを考えてほしい。守りではなく「攻め」の姿勢を持ってほしい。
それでプロになる分野として、『人事』と『労務』を一緒にするか分けるか決めかねている。どう思うか?ということでした。
一般的には人事の中に労務が含まれると思います。
しかし私は即答で「分けてください!」とお答えしました。
人事と労務、似て非なるもの
あくまでも個人的な見解です。(正しいかどうかは脇に置きます)
私は社会保険労務士なので、「労務のプロ」です。しかし社労士の立場では「人事のプロ」ではありません。
同じように経理であれば税理士が「経理のプロ」と言えると思います。
いずれも国家資格です。
「人事のプロ」を示す国家資格は?と考えた時に、、、ないのです。
なぜか?
それは人事が「経営戦略そのもの」であり、特定の法律やルールに限定されない、生きた組織を扱う仕事だからです。100社あれば100通りの人事があります。
労務はバックに「法律」という土台があり、ある意味その範囲の中での仕事なので限定的と言えば限定的なのです。
未来を創る役割と土台を固める役割
どちらが上とか下とかいうことではなく、役割が違います。
<人事のプロ>未来を創る役割
未来の会社の姿を見据えて「どんな人に来てもらおうか(採用)」「どう育てようか(育成)」「どう評価してモチベーションを高めようか(評価・報酬)」といったような、人を通じて会社を成長させる仕組みづくりです。
「どうすれば人が輝き、組織がもっと良くなるか」という戦略的な問いに答える役割です。
<労務のプロ>土台を固める役割
今、会社が法律やルールを守って健全に運営されているかという視点で「残業代は正しく払われているか」「有給休暇は取れているか」「万が一の事故の対応はどうするか」というような、法律に基づいたリスク管理と日々のオペレーションです。
「どうすれば会社が法令違反などのトラブルに見舞われず、社員が安心して働けるか」という安定志向の問に答える役割です。
人事が「組織を前に進める」役割だとすれば、労務は「組織が安全に進めるように足元を固める」役割と言えるのではないでしょうか。
どちらも組織運営には大切なプロフェッショナルです。
『人事』こそ社内でプロが必要
誤解を恐れずに言うと、労務は外注ができます。しかし人事は外注はできないと思います。
評価制度など一部の専門知識を持った専門家の助けを借りることはあるかもしれませんが、人事が経営戦略そのものだと考えた時、正しい答えは外部の専門家には責任が持てないのです。
そして「戦略を実行する」ということは、外部の人材にはできないことです。実行がなければいくら良い戦略があっても良い組織にはなりません。
正しい答えは自分たちで作り出すしかないのです。
だから人事は「戦略を実行する」社内のプロが必要だと考えています。
人事のプロになる視点として
・経営者の右腕となるためのビジネス・スタンス
経営者や事業責任者と同じ言葉で話せること
・人の可能性を引き出すためのコーチング・スタンス
ルールを「適用する人」ではなく、人の能力や組織の力を「引き出す人」
であること
整理するとこういうことだと思います。
こちらの役員と話をしていて、「私は人事のプロ」を目指したかったのだと今更ですが感じました。
自分の時代にはそういったことがチャレンジできる土壌がなかったのですが、こういう上司が上にいたら、最後まで会社員を全うできたのかなと、、、定年年齢を過ぎた今になって思います(笑)
次の世代が「攻め」でチャレンジできるようにサポートしていきたいです。
