検索は終わらない。ただし、意味が変わる―ゼロクリック時代に起きている3つの変化
2025年現在、Google検索の63.5%は「ゼロクリック」となり、ユーザーは検索結果ページで完結するようになっています。しかし検索という行為そのものは続いており、その意味が変わり始めているのです。
今回は
の記事をヒントにしながら執筆します。
あなたの検索、最後にクリックしたのはいつですか?
朝、スマートフォンを手に取る。
「今日の天気」と入力すると、検索結果ページに答えが表示される。
どこかのサイトを開くことなく、そのまま画面を閉じる。
「近くのカフェ」と検索すると、地図と営業時間が表示される。
やはり、どこもクリックしない。
「確定申告 期限」と入力すると、AIによる概要が表示される。
それで十分だと感じて、次の予定に向かう。
気づけば、朝から一度も どこかのサイトを「訪れて」いないのです。
これは、あなただけの話ではありません。
データが示す、検索行動の大転換
2025年9月、ヴァリューズとnoteの共同調査によって、ある重要な数字が明らかになりました。
「63.5%」
これは、Google検索のうち「検索はしたが、どのサイトにも訪れなかった」セッションの割合です。

10回の検索のうち、6回以上は検索結果ページで完結している。
でも、ここで誤解しないでいただきたいのです。

検索という行為そのものは、決して終わっていません。
むしろ、検索ユーザー数は2023年10月から2025年9月まで、ほぼ横ばいで推移しています。 人々は今も、毎日のように検索エンジンを開いているのです。
変わったのは「検索の後」の行動。
そして、その変化の意味を理解することが、これからの時代を生き抜く鍵になります。
変化1:検索数は減っていない、でもクリック率は36.5%に
グラフを見てください。

(Google、Yahoo! Japan、Bingの検索結果画面に接触したユーザー数の推移)
2023年10月から2025年9月まで、約6,000万人規模で安定しています。
日本の人口が減少傾向にあることを考えると、検索行動は依然として生活に根付いていると言えます。
では、何が変わったのか。
それは「クリック率」です。
2025年9月時点で、検索結果からサイトへ流入するセッションの割合は36.5%。 裏を返せば、63.5%は「ゼロクリック」なのです。
この背景には、Googleの戦略的な変化があります。
検索結果ページに、ショッピングパネル、画像パック、地図パック、そしてAI Overviews(AIによる概要)など、さまざまな情報が直接表示されるようになりました。
Googleは今や「検索エンジン」というよりも、「情報提供プラットフォーム」に進化しているのです。
変化2:AI経由の流入が5ヶ月で3倍に急増
さらに大きな変化があります。
ChatGPT、Perplexity、Geminiなどの生成AIサービス経由でサイトに訪れるユーザーが、急速に増えているのです。
noteへのAI経由流入は、2025年3月から8月の5ヶ月間で約3倍に成長しました。

この伸びを牽引しているのは、ChatGPTです。
2025年2月、OpenAIはウェブ検索機能を全ユーザーに開放しました。 それまで有料プランに限定されていた機能が、アカウント登録をしていない人も含めて使えるようになったのです。
さらに、ChatGPTの検索基盤がBingからGoogleに切り替わった可能性も、複数の専門家によって報告されています。
つまり、こういうことです。

「検索」という行為は、検索エンジン上だけでなく、AIとの対話の中でも行われ始めている。これは、まったく新しい流入経路の誕生を意味します。
変化3:「要約で十分」vs「要約の先が知りたい」サイトの二極化
ここで重要な問いが生まれます。
「AIが要約を提示する時代に、人はまだサイトを訪れるのか?」
答えは「YES」です。 ただし、すべてのサイトが訪れられるわけではありません。
ヴァリューズの調査によると、検索流入と生成AI流入には一定の相関があります。 つまり、一般的には「検索で多く発見されるサイトほど、AIにも参照されやすい」傾向があるのです。
しかし、その相関線から大きく外れるサイトが存在します。


たとえばnoteは、検索流入から予測されるAI流入の「約4倍」を獲得しています。 GitHub、arXivなども同様に、期待値を大きく上回るAI流入を得ているのです。
一方、Wikipediaは「AIに引用されやすい」ものの、「ユーザーが実際に訪問しにくい」傾向があります。
この違いは、何を意味するのか。
AIが要約した後、ユーザーが「もっと詳しく知りたい」と感じる情報と、 AIの要約だけで満足してしまう情報があるということです。
検索の意味が変わる、とはどういうことか
ここまでの3つの変化をまとめます。

つまり、検索という行為は続いているけれど、その「意味」が変わっているのです。かつて、検索とは「ユーザーが自ら情報を探し、比較し、選び取る行為」でした。
これからの検索は「AIが情報を再構成し、ユーザーは必要に応じて一次情報を確認する行為」になりつつあります。
そして、この変化は脅威であると同時に、チャンスでもあります。

企業サイトは、何をすべきか
多くの企業サイトが、こう考えてきました。
「SEOで上位表示を目指そう」
「クリック率を上げるために、タイトルを工夫しよう」
これらは、今も重要です。
でも、それだけでは足りなくなっている。
これからは、こう問う必要があります。
「AIに要約された後でも、人が訪れる理由を設計しているか?」
AIの要約で完結してしまう情報ではなく、 要約の先に「確かめたい」「もっと知りたい」と思わせる情報を提供できているか。

そのヒントは、noteやGitHub、arXivなど、AI流入で突出した結果を出しているサイトにあります。次回の記事では、noteのデータを詳しく分析し、「AIに選ばれ、人に訪れられるサイトの条件」を明らかにします。

FAQ
Q1:ゼロクリックとは何ですか?
ユーザーが検索エンジンで検索した後、どのサイトにも訪れず、検索結果ページで完結する行動を指します。2025年9月時点で、Google検索の63.5%がゼロクリックとなっています。
Q2:AI検索とGoogle検索の違いは?
Google検索はキーワードに基づいてサイトを一覧表示しますが、AI検索(ChatGPTなど)はユーザーの質問に対して要約された回答を生成し、その根拠として参照元URLを提示します。
Q3:企業サイトへの影響は?
短期的には検索流入の減少が懸念されますが、AI経由という新しい流入経路が急成長しています。つまり、減少と増加が同時に起きている過渡期と言えます。
Q4:SEO対策は意味がなくなりますか?
いいえ。SEOの基本(質の高いコンテンツ、明確な構造、信頼性)は、AI時代にも有効です。ただし、「クリックされること」だけでなく「引用・参照されること」も重要になります。
Q5:今からできることは?
まずは自社サイトのコンテンツが「AIの要約で完結してしまう情報」なのか「要約の先を確かめたくなる情報」なのかを見直すことです。次回の記事で具体的な条件をお伝えします。
次回予告
「なぜnoteは『要約後も読まれる』のか―AI流入データが明かす2つの条件」
noteへのAI流入が期待値の4倍になった理由を、実際のデータとともに解き明かします。検索で上位を取れなくても、AIには選ばれる可能性がある。 その条件とは?
出典:ヴァリューズ×note共同調査「ゼロクリック時代の新GEO・AI SEO」(2025年10月発表)
調査対象:2,791サイト(2025年1月〜9月)
調査元データ:株式会社ヴァリューズ 行動ログデータ(250万人規模)
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