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第120回名大カフェ☕「空から解き明かす野生動物のナゾ~ドローンとAIの力~」

2025年8月25日(月)第120回名大カフェ「空から解き明かす野生動物のナゾ~ドローンとAIの力~」をオンライン(zoom)で開催しました🧐。今回は夏休み特別会!小学生から大人まで約120名の方がご参加くださいました。
今回のゲストは名古屋大学 高等研究院/環境学研究科 YLC特任助教/大阪大学情報科学研究科 特任助教 の井上 漱太いのうえ そうたさんです🦆🐒🐋。

右上:ゲストの名古屋大学 高等研究院/環境学研究科 YLC特任助教/大阪大学情報科学研究科 特任助教 の井上 漱太いのうえ そうたさん
下:MCの松坂屋名古屋店 外部連携担当 花田 佳和はなだ よしかずさん
左上:MCの名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 URA 坪井 知恵つぼい ともえ(筆者です🤫。)

➤名大カフェ恒例のコーヒーは今回もR ART OF COFEEさんよりご提供いただきました。今回は「ケニアのカンビュウ地域の最高級の豆を使ったコーヒー」。水出しのコーヒーです(坪井が手に持っているコーヒー)。みずみずしい果実のような酸味や甘さ、トマトのような風味が特徴です。紅茶かと思う程透き通った色とほのかに甘い香りでとてもスッキリとした味わいでした😊。
➤「百貨店を通して豊かな文化を地域に還元する」を目指して松坂屋名古屋店と名古屋大学では様々な取組をしています。「名大ハカセの虫めがね」是非チェックしてみてください!

YLCプログラム(Young Leaders Cultivation)は、名古屋大学において、教育研究を将来にわたり継続的に発展させるために、若手教員、特に助教クラスの質的、量的な確保が重要であるという理念のもと、大学全体として継続的かつ計画的に若手教員を採用、養成するために実施する戦略的なプログラムです。


新潟にいがたの調査地より、生中継!

井上さん、この日は新潟の粟島あわしまにて調査中。
その調査をしている現地の映像を生中継😮しました。

ワイルドな姿で登場してくれた井上さん。とっても天気が良い日でよかったです!

この日、井上さんが追っていたのは「オオミズナギドリ」という鳥です。ドローンを用いてオオミズナギドリの群れをとらえた映像は息をのむライブ感…。思わず、花田さんも私も「おお~…」と感嘆の声が。

井上さんが調査で使っているドローンについても詳しく教えてくれました。
このドローンは大きいですが、とても軽いんだとか。

オオミズナギドリの映像やドローンの紹介、そして海に浮かぶ美しい夕日…
後日公開予定の本イベントアーカイブ動画をぜひごらんください🤗!

➤動物のふしぎな行動

井上さんは小さな頃から動物が大好き!…みたいな感じではなかったんだそうです🤭。大学時代に色んな経験をして、ドローンを使った野生動物の行動を観察する研究に触れた時に「これは面白い!やりたいことをやってみよう!」と、この研究を進めるキッカケになったんだそうです。今ではニホンザル、ウミネコ、オオミズナギドリ、そしてリカオンのふしぎな行動をドローンを使って調べています。動物のふしぎな行動、それを知りたい!というのが井上さんの研究する理由なんだとか。今回は、井上さんにドローンとAIを使った研究について教えていただきました🧐。

➤野生動物×ドローン×AIでなにができる?

井上さん「人間は飛べないし、早く動けないし、疲れちゃうんです。」
確かに…。海の上にいる動物をヒトが写真撮るなんて不可能です。それが可能になるのが「ドローン」のチカラ。ならばドローンが撮影さつえいした動画をヒトが解析できるでしょうか?

実際に動画の解析を井上さんがやったところ、2分の動画の解析に2時間もかかったんだとか…

相当な時間をかけないと人のチカラでは解析かいせきできなさそうです…その解析が可能になるのが「AI」のチカラ。

ドローンで撮影した目に見える情報をAI技術を使えばほぼ全て、データにできるんだそうです。

野生動物が「何個体いるの?」「どこでれをつくるの?」「群れている中に個体Aはどこにいるの?」「個体Aは何を見ているの?」そんな様々な情報がこの技術を使えば分かります、と井上さんが教えてくれました。どの動物がどこを見ているのか、そんなことまで分かることに驚きました😮。

れで暮らすサルは誰を気にして見ている?

サルは群れをつくり、ヒトの社会と同じように順位があり役割があると言われています。サルはこの群れの中で「誰」を一番気にして見ているのでしょうか?それを知る為に、井上さんはドローンを用いて動画を撮影し、動画から背景を削除して動物だけの動きが見れるようにしたそうです。動きだけでは「視線」の向きが分かりません。そこで、サルの頭の位置をAIに覚えさせ、動画を解析したんだそうです。

サルの群れのドローン映像です。青い◯印と赤い◯印はサルを示しています。それぞれの◯印の中にある赤い点が頭を示します。図の中央にいる青い〇個体の頭から伸びる扇形の影が「サルの見ている先」を示すんだとか。このようにAIに学習させ、サルの視線を調べたそうです。

その結果、順位が高いサルほど、多くの個体から注意を集めていることが分かりました。

青のグラフはオス、赤のグラフはメスを示します。縦軸の数値が高いと他の個体から注意を集めていることを示します。より順位の高い個体が、他の個体からより多くの注意を集めていることが分かります。

イメージしてみてください。社長や部長や新入社員と一緒の会食会…あなたは誰に注意を向けますか?
う~ん、確かに社長に注意が向いてしまう気がします…💦。他の動物たちはどうなんでしょう?そんなふしぎが、また生まれてしまいました。

➤参加者の声と井上さんからの回答

「ドローンとAI、今の最先端の技術を組み合わせることで、かつては困難だった仮説が実証できたことに感心した。」
と参加された方から感動のコメントもありました。また、
「新潟離島の現地ドローン映像が凄くリアルでした。」
という声も。ドローンとAIを用いた難しい研究内容ですが、井上さんが参加者に寄り添ってお話くださり、多くの参加者からとても分かりやすく、楽しかったとコメントをいただきました🤗。

今回は新潟の粟島からの生中継、その映像に感動の声を多数いただいたことを井上さんに伝えたところ、「好評だったようでなによりです😊」とコメントいただきました。

実は今回のお話はず~っと調査の現地から配信しておりました。終わった頃には…真っ暗😮!

真っ暗な中、質問タイムに突入。井上さんの頭上にはオオミズナギドリが海から粟島へ帰ってきているところだったんだとか。鳥の声は聞こえませんでしたが、現地では鳥の声も聞こえていたんだそうです。

みなさま、たくさんのコメントやご質問、本当にありがとうございました。事前質問や答えきれなかった質問やコメントについて、以下、井上さんからの回答です。


Q. 動物が頭をどちらの方向に向けて眠るのか、本当に規則性があるのでしょうか。

A. いくつかの種で就寝時の姿勢についての左右性は報告されていますね。

Q. 人間のように生活環境に合わせる形で、元々の習性に反して行動するような野生動物はいるのでしょうか?

A. 動物たちの生活環境も刻一刻と変化しているため、それに応じて行動を変えている種もいると思います。

Q. 野生動物は広いサバンナなどの中で餌を探して遠くまで出かける時、どのようにして自分の位置を分かり、家族のもとに帰ることができるのですか?

A. これは大きな謎の一つですが、記憶や景観など色々な手がかりを頼りにしています。

Q. 群れの行動は野生動物だけでなく、渋谷スクランブル交差点のような人間の集団行動や鞭毛をもつバクテリアの運動も含まれると思うのですが、多くの脊椎動物や虫の集団行動との人間やバクテリアとの違いは何でしょうか?

A. 実際のところ、集団行動において明確に人間とその他の種との違いは見つかっていないと思います。人間・脊椎動物vsその他、という分け方ではなく、その種の運動特徴・認知能力に応じた違いが見られます。

Q. サルはボスザルいるので群れがまとまると思うのですが、鳥にもリーダー的な存在はいるのですか?先頭で飛んでいる鳥はいつも同じなのですか?

A. 鳥にも社会的な順位を持つ種もいます。ただ、学術的にはボス=リーダー=群れをまとめる、とはなりません。社会的に最上位であることとリーダーシップは別の概念として捉えられています。

Q. 野生動物の中で、増加傾向の動物と減少傾向の動物の違いは何でしょうか。

A. 増加傾向の動物は生存率が高くなっているか、繁殖成功率があがっているか、どちらかです。

Q. ボランティア(〇〇自然倶楽部)でも状況把握に使える?

A. もちろん使えると思います。ドローンやAIは比較的、親しみやすい技術です(色々な情報がネットで見つかります)。ただ、その分得られたデータの解釈やメッセージについては注意が必要になると思います。

Q. 動物の行動について、絶好のシャッターチャンスを求めて、何日も待ったという話をよく聞くが、最新技術を使えば、そんな苦労は、もう不要になるのでしょうか?

A. 私はならないと思います。ドローンを使っても自分の想像するような写真を撮るためには根気が必要になります。もちろん、多少は待つ時間が短くなるかもしれませんが…

Q. 撮影された映像データはどのように管理されているのでしょうか。誰でも見られるライブラリがあるのですか。

A. 現在のところは貴重なデータかつ大容量のためまだ公開していません。また、空撮研究が一般的になってきたら公開するかもしれません。

Q. オルソ画像を生成するためのマッピングにはある程度時間がかかると思うのですが、その間に鳥たちが動いてしまうとうまく画像が生成できない気がするのですが、そこは大丈夫なのでしょうか。

A. 私もそこは懸念点でしたが、飛んでいる鳥以外はほとんど動かないため、あまり問題にはならなかったです。

Q. ドローンの電波が途切れると、どうなりますか?ドローン迷子になりますか?それとも、戻ってきますか?

A. 電波が切れると、離陸地点に戻ってきます。

Q. ドローンの資格を持つ方より、法律・制度的に締め受けが厳しく、実際には使えない。という話を聞きました。研究分野でもドローンの使用について、何か思いがありますか?

A. 私が研究を行う場所は、大体の場合無人地帯といってドローンの規制が緩い場所です。したがって、いまのところ問題は感じませんが、有人地帯で飛ばす場合とは大きく異なると思います。

Q. 資格や許認可は大変ではありませんか?制限事項なども。

A. 自由自在に飛ばせるというわけではありませんが、申請すればある程度のことができるので、そこまでは困っていません。


➤最後に…

今回の井上さんのお話で、ドローンとAIを使った動物のふしぎな行動の最新研究を知ることができたのではないでしょうか?

井上さん:「ドローンとAIを用いてなにができるのか?それは実はアイディア次第
実はまだまだこの研究は始まったばかり。野生動物のおもしろい行動からヒントを得て、その情報を最大限使うことで色々なことができるんだそうです。そんな動物のおもしろい行動を常に探す井上さん、もし皆様も「これはおもしろい!」「こんな事調べられないかな?」などあれば、いつでも井上さんにお知らせください😊。(連絡先は井上さんHPにあります!)

井上さんの研究で今後はどんな動物の、どんなふしぎな行動が分かるようになるのか…今後の研究が楽しみですね。

引き続き名大カフェをますます良いイベントにするべくがんばります。みなさま、今後ともどうぞよろしくお願いします😊。
今回の動画配信の準備ができましたら、リンク先を以下に貼りますので、今しばらくお待ちください。

➤動画公開です!

大変お待たせ致しました!動画の準備ができました🤗。以下のyoutubeより、是非ご覧ください!

報告:坪井知恵(名古屋大学URA)


➤関連リンク

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