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“もっと考えて”にモヤッとしたあなたへ──考える力を分解してみた

「もっと考えてきて」「自分で考えろ」

この言葉を仕事で言われたことのある人は多いだろう。

ぼくも例外ではなく、何度もその言葉を言われた一人だ。
そのたびにいつも、イラっとしていた。

「じゃあ、考えるって何をすればいいんだよ」

今思えば、それは「憧れの仕事」を目指さなかった、ちっぽけな自分の抱いた悩みでもあった。



第1章|「もっと考えて」の現場

その日、ぼくは新人向けのマニュアルを作成していた。
お客さん先で使うための、現場用のマニュアル。

同じ会社の先輩に確認を頼んだら、その口から出たのが

「うーん、もうちょっと考えて欲しい…」

だった。

なにを?どこを? こっちはもちろん考えてる。
けど、確かに不十分だったのは事実。

しつこく聞いたら、先輩は言った。

「それも含めて、自分で考えてほしい」

今思えば、あれは「教える側が回答を持っていない」と同義だったのかもしれない。

けれど、この程度の事情はどの会社の新人社会人にもあると思う。
いわゆる「考えろ」事件。

じゃあ結局、考えるってどうすること?

 

第2章|「考える」って何を?

そのマニュアルは、新人向けだった。
つまり、その作業をしたことのない人が読むもの。

にもかかわらず、ぼくが書いたマニュアルは、ただ文章が並ぶだけのもの。

手順の説明はしているつもりでも、それを読む人がどう受け取るかまでは考えていなかった。

・目次がないから、どこに何が書いてあるかが一目でわからない
・複数のマニュアルがあるのに、どういう順番で読むべきか、全体の流れがつかめない
・読者のレベルを無視して、すでに知っていること前提で話が進んでいる箇所が多い

考えてなかった、というより、“相手の視点で考える”ということができていなかったのだ。

上司や先輩が口にする「もっと考えて」とは、
“今のままでは伝わらないから、もっと相手の立場になって組み直してみて”というメッセージだったのだと、あとから気づいた。

じゃあ、その“相手の立場で考える”って、具体的に何をすればよかったのか?

それをようやく自分の中で言語化できるようになったのは、
いくつもマニュアルや資料を作り直し、何度も「やり直し」をくらったあとだった。

そして、その経験から得た“考える”の正体が、次の章につながっていく。

 

第3章|「考える」を分解する

ぼくがそれから経験で得たこと。 「考える」力は次の3つの力の掛け算だ。

  1. 情報を整理する力

  2. 構造を描く力

  3. 問いを立てる力

これだけ聞くと、ややこしく聴こえる。
だから、マニュアルの例でもう一度見てみよう。

情報を整理する力

これは「前提を整える力」とも言える。 たとえば、新人向けマニュアルなら「読者は何を知らないか?」を明確にする。

・誰が読むのか?(新人)
・どこで使うのか?(現場)
・何を達成するためか?(業務の一人立ち)

この前提が抜けていると、作る側の視点だけで書いてしまい、読む人とのズレが大きくなる。

構造を描く力

これは「全体の地図を描く力」。
今作っているものが、どの位置にあり、どんな工程と関係しているのかを把握する。

たとえば──

・Aという業務をするために、B→C→Dのマニュアルが必要
・自分が書いているのはB
・でも、CやDがなければ意味が通じない

こうした全体像が頭にあるだけで、「このマニュアルには目次が要るな」「前後のマニュアルとのつながりを書こう」と判断できるようになる。

問いを立てる力

ここが一番むずかしい。けれど一番差がつく。
「どうしたらもっとよくなるか?」を自分に問い続けることが、“考える”ことの真骨頂だ。

・どうしたら、読んだ人が迷わないか?
・このマニュアルに不足しているのは何か?
・読む人が“ありがたい”と思う工夫はあるか?

問いがあるから、工夫が生まれる。問いがなければ、現状をなぞるだけになる。

 

第4章|なぜ、その3つなのか

この3つの力は、それぞれが連動している。
ひとつでも欠けると、思考は迷子になる。

情報を整理する力がないと、目の前の材料がバラバラに見えて、何から手をつけていいかわからなくなる。

たとえば会議でも、論点を「目的」「制約」「選択肢」に整理するだけで、ずっと話がスムーズになる。

構造を描く力がないと、問題の根っこを見誤る。

たとえば「売上が落ちた」時に、「集客が足りないのか?単価が低いのか?頻度が減ったのか?」と分解する視点がなければ、施策がズレてしまう。

問いを立てる力がないと、思考は表面で止まる。

「怒られないようにしよう」ではなく「なぜ怒られたのか?」と問うからこそ、再発防止や本質的な改善につながる。

この3つの力があるかどうかで、「考える」の解像度が決まる。

そしてこれは、才能ではない。技術だ。 だからこそ、誰でも磨ける。

 

第5章|「考える」は、誰にでもできるセンス

ここまで紹介した3つの力──

  1. 情報を整理する力

  2. 構造を描く力

  3. 問いを立てる力

これらは、決して“特別な頭のいい人”だけが使えるものじゃない。

むしろ、日常のなかで自然に使っている。
友達に旅行を提案するとき、行き先や予算を整理する(情報を整理する力)。
移動・宿泊・観光の流れを考える(構造を描く力)。
「どうしたら全員が楽しめるか?」と考える(問いを立てる力)。

つまり、これは“生活の中で育つセンス”のこと。

ぼくも昔は、自分に考える力があるなんて思ってなかった。
でも少しずつ、目の前の物事に「なんで?」「どうしたら?」と問いを立てて、 相手の立場や全体像を意識することを続ける中で、 気づけば「考えてるね」と言われるようになった。

大事なのは、最初の一歩。

完璧なアウトプットなんて、誰にもつくれない。
でも、「もっとよくするにはどうしたら?」と問いながら、前提や構造を見直すだけで、 考える力は、確実に育つ。

「考える」は、誰にでもできるセンス。
だからこそ、自分の中にある“問い”を見逃さないでほしい。

あなたが次に何かを考えるとき、 この3つの力が少しでも役に立てば嬉しく思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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