未来のために、受験を“通過点”にするということ#未来のためにできること
大学受験は「合格」だけがゴールでしょうか。
予備校で生徒と向き合ってきた私は、それだけだとは思えないのです。
苦しみや悩みを抱えた時間の中にこそ、未来を切り開く力が宿っていく。
――これは、生徒や子どもたちに贈りたい、小さなラブレターです。
先日、高校時代の恩師のお通夜に参列しました。
先生はいつも、私たちに真正面から向き合ってくれた方でした。
今でも忘れられない先生からのダメ出しがあります。
「邪念が多い!頭が硬い!」
そのときは胸がチクリと痛みました。
けれど20年経った今も忘れられないのは、それが単なる叱責ではなく、私の人生に通じる課題だったからです。
「もっと自由に、柔らかくあれ。」
先生の声は、今でも私の中で問いかけ続けています。
結果や正しさだけを追いがちだった私に、人生を長い目で見たメッセージを残してくれていたのかもしれません。
「本気で向き合ってくれる大人がいる」という体験は、若い心に強く刻まれるものです。
予備校での関わりは、人生の中ではほんの一瞬です。
けれど、その一瞬に本気で向き合った大人がいたことを、いつか思い出してもらえるなら――それほど幸せなことはありません。
私の言葉や思いが、彼らの中で再び響き、問いかけ続ける存在になれたらと願っています。
そして私には忘れられない生徒がいます。
不登校を経験し、二浪目で私の校舎に通っていた彼は、第一志望の出願ミスに気づいて「もうどこも受けたくない」と声を震わせました。
それでも連絡をとり続けた結果、受験をやりきり、すべての大学に合格しました。
翌年の夏、「留学に行きます!あの時背中を押してもらっていなかったら今の僕はなかった。最後まで受験して、本当に良かった!」と電話をくれたのです。
あの時の言葉は、私にとって一言では表せない喜びであり、この仕事を続ける原動力になっています。
私にできることは大きくも多くもありません。
けれど受験を通じて育った「納得して選び取る力」「挑戦し続ける力」は、必ずその先の人生を支えていきます。
そして「本気で向き合ってくれた大人がいた」と思い出し、次の世代につないでくれる。そんな若者が増えることは、きっとこれからの社会をしなやかにし、世界をより自由にしていくはずです。
ただの理想論で綺麗事なのかもしれない。
だけど…だからこそ私は、今日も一人ひとりと向き合い続けます。
――それが、私が未来のためにできること。

