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不正を許す文化に対する問いかけ(ケースとしてのプルデンシャル生命)

不正を許す文化に対する問いかけ(ケースとしてのプルデンシャル生命)

文責:中野康範
分野:一般
区分:無料版
作成:2026/02/25
改訂:-

気になったことを記憶に残す。
私見である。

◆ 繰り返される不正

現在、報道が下火になってしまったが、少しの間大騒ぎされた事件があった。ここで言う事件とは、法令遵守という生易しいものではなく犯罪に近い物を指す。プルデンシャル生命においける「(おそらくは)詐欺」事件である。

主な報道は以下の通りである。
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プルデンシャル生命に立ち入り検査へ 31億円不正受領、行政処分も視野―金融庁 部2026年01月27日

プルデンシャル生命は16日、社員や元社員が約500人の顧客から金銭を不正に受領していたと明らかにし、間原寛社長が2月1日付で引責辞任する人事を発表した。新規契約の獲得実績に応じて変動する報酬制度の見直しや企業風土の改善に取り組む方針だが、金融庁はこうした再発防止策についても十分かどうか調査する。

そしてこの背景には、いわゆる業績・売上を優先する組織風土だと言われている。
これを匂わす記事が散見される。

「普通の社員」を「犯罪者」にしてしまう…かんぽ生命問題が証明した"インセンティブ設計"を誤った組織の末路 2026/02/17

この記事で指摘された、業績優先での不正行為は以下の通りである。

① 二重徴収:既存契約を解約せずに新契約を追加し、保険料を6カ月間二重に徴収することで新規契約扱いを維持する。
② 無保険期間の創出:旧契約解約から新契約加入まで3カ月以上空けることで、新規契約扱いを得る。

「いずれも、顧客利益を犠牲にして営業成績を稼ぐ手法であった。」という。
これはビッグモーターと同じ構図である。

しかし、「顧客利益を犠牲にして営業成績を稼ぐ」ことを振り返り、評価制度を変えるという意思決定には、何かを見落としている気がしている。

制度は表層であり、文化は判断の無意識的基準である。制度が変わっても、判断基準が変わらなければ行動は変わらない。

◆ 文化という環境変数

先の記事では下記の主張がされている。

不祥事が起こるたび、世論は「個人のモラル」「経営者の統率力」「管理職のマネジメント」などに怒りの矛先を向けがちである。しかし、実は、個人や管理職の問題ではなく、組織のルールそのものに問題があり、そのルールのもとで仕事をすると、よほど強い監視の仕組みがない限り、かなりの確率で逸脱行為をしてしまうようなことがある。

この点を非難する記事も見る。

プルデンシャル生命は悪弊根絶を 2026年1月24日

これを受けて、報酬制度を見直すという。

プルデンシャル生命金銭詐取、「報酬制度見直す」社長が陳謝 補償へ第三者組織 2026年1月23日

間違ってはいないが、これは論点が矮小化されている気がする。
ここ近年の製品不正に関する再発防止は「組織風土」に帰着させる傾向があり、これにも違和感があるが、ある程度の文脈で見ると納得性はある。

身も蓋もないが「不正をしてもよいという組織文化が醸成されている」ことに目を向けなければならないということである。こうした文化は、そこで働く人々の行動規範になる。いわば環境変数なので、ここを変える必要がある。

代表者が変われば済む話ではない。

プルデンシャル生命、間原前社長の顧問就任取りやめ 販売自粛も発表 2026/2/4

私には、これは制度の問題というより文化の問題に見える。

◆ 悪い情報を上げる風土づくり

ここからは私見になる。

「心理的安全性」という言葉が一時はやった。職場やチーム内で、誰に対しても安心して発言・行動できる状態を指す。

こうした言葉が流行る理由は、簡単にはできないからだと思う。こうした文化を作るためには、いくつかの要諦がある。

1.人間は弱いという認識
 性善説・性悪説という言葉がある。私はどちらでもないと思っている。人間は弱い。富や名誉という誘惑にも、軋轢を避けたいために不正に目をつぶることも、考えるという苦役にも贖うことは難しい。こうした人間が弱いことを前提に「評価制度」の仕組みを考えるべきである。逃げ道がなければ人間はそこにゆかざるを得ない。

2.経営者の姿勢の明確化
 経営資源に「ヒト・モノ・カネ」がある。これは経営者として尊重すべき順番だと思っている。したがって、経営者が「初年度の所感」、「日常の経営会議などの発言」では順番を間違えてはいけない。「稼ぐ龍が一番偉い」などと冒頭で発言すれば、その組織の文化は「お金優先」の空気が醸成される。顧客に接するのは社員である、まずは社員が大事だと思うのであれば、発言は「社員をどう思うか」から発言しなくてはならない。

3.イエスマンを排除
 いくら経営者が発言をしても、それが正しく伝わるわけではない。組織が思い通りに動いているかをすべて自分の目で見れるわけではない。「密告」させろと行っているのではない。社内で起きていることを正しく伝えるメカニズムを整えなければならない。そのためには身の回りにイエスマンだけを配置することは避けなければならない。

4.伝えるではなく耳を傾ける
 社員に対しては根気よく伝えることが必要になる。また、「伝えた」と「伝わった」は違う。会社の現場への観察眼を磨くことと、社員の何気ない言葉に耳を傾ける真摯さが必要になる。命令だけをしている組織に「心理的安全性」という文化は醸成されない。

経営者が文化をつくる。
そして文化は、いつか経営者をも飲み込む。

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備忘録的に記事情報を残す。

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