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【料理エッセイ】銀座をブラブラしていたら、ドイツ風居酒屋ローレライという時空の歪んだ歌声ビアホールへ迷い込んだよ

 北海道に暮らす友だちが東京に来たので、ご飯でも食べようということになった。最近、YouTubeのショート動画でつい見てしまう焼鳥を食べたくて、新橋のしふくというお店を予約した。

 そのとき、本店が大阪にあると知り、せっかく北海道から東京へ来た人に大阪のお店でいいのか? と思ってはみた。が、東京って、そういう場所だし、別にいいかと納得した。

 で、当日、そのことを話したら、「え? 大阪のお店なの?」と友だちは最初戸惑っていた。そして、すぐに「でも東京ってそういう場所だもんね」と納得してくれたのでよかった。

 実際、焼鳥はめちゃくちゃ美味しかったので、すぐになんでもよくなった。ただ鳥を焼いているだけなのに、本当、お店によって全然別物になるから面白い。

 サイドメニューやお酒も充実していて、焼き上がりを待つ時間も楽しかった。早い時間でも満席で予約なしだと入れないっぽい。駅からはちょっと遠いのにすごい。でも、そうなるのもわかる。と、YouTubeのショート動画で行きたくなったわたしが言うなって話なんだけどね。

 食後、まだ時間があるということなので二件目を探すことにした。とはいえ、それなりに食べたし、お酒をメインにしたいよねとブラブラ彷徨っているうちに銀座の方を目指していた。

 いわゆるコリドー街は敷居が高いし、カジュアルなお店ないかなぁと目に入る看板をあれやこれやと眺めていたら、ドイツ風居酒屋ローレライという年季の入った文字を発見。

 ここならビールとザワークラウトでも大丈夫そうだし、入ってみようかってことになった。そしたら、なんということでしょう。ギターの弾き語りに合わせ、ディアンドル姿の店員さんたちが可愛く歌う夢のような光景が広がっているではないか!

 どうやら昭和の歌声喫茶的なものが未だに残っているらしく、往年のファンと思しき人生の先輩方がマイクをまわし、熱唱に次ぐ熱唱で大盛り上がり、喉の渇きを冷えたビールで爽やかに潤していた。

 時空の歪んだ場所に迷い込んでしまったと驚くも、せっかくだし、なにかしらは歌っておきたいわ最初はてっきりドイツの音楽じゃないとダメなんじゃないかとビビっていたが、もはや文化的価値があるんじゃないかというほど古びた歌詞集を手渡され、ページをめくれば日本の懐メロもたくさんあってホッとした。

 とりあえず、『「いちご白書」をもう一度』や『学生街の喫茶店』を歌うことで仲間として受け入れてもらえたような雰囲気になった。そこからの『異邦人』なので、シルクロードブームよ、もう一度とばかりにフロンティアを拡大してみた。

 わたしは1993年生まれ、いま、33歳なので70年代の曲をなぜ歌えるのか? と興味を持ってもらえる。YouTubeで聞いたんですと答える。みんな、YouTubeはすごいとうなっていた。

 そう。YouTubeはすごいのだ。焼き鳥屋を教えてくれるし、世代を超えたコミュニケーションが可能になる歌も教えてくれる。

 しかし、YouTubeを見ているだけではドイツ風居酒屋ローレライには来れなかった。だから、YouTubeはすごいけど、本当にすごいのはYouTubeに載っていない空間なんじゃなかろうか? と逆に思わないこともない。

 生成AIの発展が著しい現代。その是非が問われることも増えてきているけど、生成AIが捉え切れない、こういう時空を超えた世界を味わっていきたい。それが人類の成長につながるかは不明だけれど、わたし個人にとってはとっても重要。

 ちなみに歌声イベントはいつもやっているわけじゃないみたい。とはいえ、いつやっているか調べる方法はよくわからないので、なんとなく行ってみて、なんとなく盛り上がったらラッキーということで。たぶん、なにかしら素敵なことはあるんじゃないかな。




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