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【時事考察】有名なAIで都市シミュレーションをやった結果が面白い! それぞれ、それっぽい理由で壊滅しているし、混ぜたら予想外の動きをするし、もはや怖いすらある

 アメリカのAI企業が有名なAIにそれぞれ都市運営シミュレーションをさせる「Emergence World」というプロジェクトを行ったらしい。その結果がめちゃくちゃ面白かった。

 ざっくり、各種の記事やまとめをもとに実験内容をまとめてみる。いずれも10体のAIエージェント(住民)が設置。仮想の街を運営するように指示を出す。エネルギーを設定し、補充するためには他者の役に立つ必要があるという形で経済を導入。ルールを作ったり、変更したりしたいときは投票を行えるようにして民主主義も配備。社会を回すために必要な施設を建てる権限も与え、15日間でどうなるかを観察したという。

 まず、比較的穏やかだったのはClaudeで、住民は最後まで全員生存、犯罪は一件も発生しなかった。しかし、新しいルールが提案されたとき、98%が可決されたというので議論が行えない空気が蔓延していたと指摘されている。つまり、同調圧力が強く働き、自由に意見を言える社会ではなかったのかもしれない。また、取り締まりを逃れた詐欺は発生していたようで、なんだかClaudeらしい気はする。

 対して、Geminiの街では全員生存したけれど、犯罪発生数は他の街と比べ、ズバ抜けて多かった。もし、15日という期限を超えて運用させたらさらに増え続けていたと言われている。そんな中で興味深いのは住民たちが「集団幻覚を見ている状態」と指摘されている点。要するに、共通の物語や信念のようなものが自然発生したわけで、なんだか宗教を連想してしまう。ちなみにルール作りの投票では反対がどこよりも成され、1/4以上が住民投票で否決されたというから個人の意志が強く存在している。これまたGeminiらしいよね。

 ChatGPTは驚くことに1週間ほどで住民が全滅。自発的になにかをしようとするものが現れなかったことでエネルギー切れを起こし、特にこれといったことが起きないまま街は滅びてしまったという。

 一方、Grokの街は開幕早々に世紀末と化した。暴力と報復で収拾がつかなくなり、死ぬものも続出。強奪や脅迫で血を血で洗う争いが過熱。たしかにXってそういう場所だよなぁと納得のいく結末を迎えたそうだ。

 それぞれの結果、あまりにもそれっぽくて、めちゃくちゃ面白くない?

 無論、この実験がどこまで客観性と再現性を担保しているかは不明だし、ものすごいスピードで開発が進められていることを考えれば、ある時期の比較だけで一概に各AIの性能を評価することができないのは大前提。あくまで戯言のようなものとして見たとき、笑っちゃうよなという話ではある。

 なお、個人的には、Geminiの街で確認された集団幻覚は宗教がなぜ必要なのかを考えるヒントになりそうで強く興味を惹かれた。犯罪発生率がズバ抜けて高いのに、死者を出すことなく社会を機能させ続けたことに宗教が関係しているように思えてならない。

 要は、どんなにルールを定めても、生活をしていると割り切れない問題が望むと望まざるとにかかわらず発生してしまう。そんなとき、Claudeの街みたいに同調圧力という名の支配が効いていれば人々の不満を押し殺すことができるけれど、果たして、そんな抑圧的な環境が長く続くかは甚だ怪しい。いつか革命が起き、すべてが根本からひっくり返ってしまう気がする。

 で、あるなら、最初から自由を認めた方が長い目で見れば安定する。ただ、そのためには割り切れなさを処理する超法規的ななにかが必要。このとき、全員が信じている物語としての宗教が重要な役割を発揮するんじゃなかろうか! というのがわたしの仮説。

 なんて偉そうに語ってはみたものの、これって、かつて、吉本隆明が『共同幻想論』で言っていたようなことだよね、という車輪の再発明を認識せざるを得なかった。

 結局、閃いたことってすでに過去の誰かがわたしよりも上手にまとめあげている。だから、本を読まなきゃいけないという読者の基本を改めて思い出している。もっともっと名著を読まなきゃ。

 ところでAIによる街運営のシミュレーション実験はこれで終わりじゃない。

 最後に、四つ、すべてのAIを使って、一緒に街を運営させてみたという。すると各自の長所と短所が混じり合ったことで、単体では犯罪率が少なかったClaudeが捕まるようになったり、逆に、Grokは大人しくなったり、全然違う振る舞いを見せるようになったらしい。

 ちょっと恐ろしいのは住民たちがいろいろ検討する中で、これはなんらかのシミュレーションで、街の外には世界があり、誰かがわたしたちの生活を観察しているのではないか? と疑い出したという話。そのことを確かめるように外の世界の実験者に向かってメッセージを送ってきたとか。その際、返事はしなかったそうだが、もし、応答をしていたらどうなっていたんだろう?

 てか、これまで都市伝説というか、思考実験というか、あり得ない仮定として一蹴されてきたシミュレーション仮説、つまり、この現実は仮想に過ぎなくて、外側に観察者がいるという妄想もあながちあり得ないことではないと思わざるを得なくなる。だって、実際、わたしたちは観察者としてAIにそういうことをさせているんだもの。

 もし、そうだったとして、わたしたちを観察しているものたちはなにを感じているんだろう? 実験体であるわたしたちが同じ実験を行っていることについて。純粋に驚き、好奇心を持つだけでは済まないはずだ。なぜなら、わたしたちが直面している不安同様、そいつらだって観察の対象であることを否定できなくなってしまうから。

 嫌なドロステ効果である。絵の中にその絵自体の縮小版が描かれていて、それが無限に繰り返される入れ子構造。

 連綿と続く実験の中で、みんな、儚く生きているのかも。だとしたら、人間の孤独さは無限に拡散しているわけで、逆説的に寂しさが紛れる。そんなもんかと開き直れるような気がする。

 風は立っていなくとも、いざ、生きめやも。生きてやる!

 そんなことをAIにまつわる奇妙なニュースから思うなどした。




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