5つの課題1「廃材を使った立体と2つのスケッチ」
5つの課題の最初は「廃材を使った立体と2つのスケッチ」です。
学生が自宅から廃材を持ってきて、思うがままに立体を作り、その立体を原寸スケッチとスケールスケッチします。
未就学児が粘土やブロックなどを与えられれば頼まれなくとも好きなものをすぐに作り出します。
それが歳を重ねるに連れ段々と手が動かなくなってきてしまいます。
例えば、車を作って、、とか家を作って、、、というとなんとなく手が動き始めるのですが、大人になると作る対象が「何か?」を決める事が出来なくなって「何を作ればいいのか?」から始まってしまう事が多くあります。
この授業では建築の学生であると言う事が前提であるので、事前に建築の模型的な「何か」と説明をするのですが「何か作って」だとやはり難しい学生が多いのは14年経っても変わらない状況です。
建築学科の設計授業では私が学生の頃もそうでしたが、スケッチやエスキースからはじめ方眼紙などに縮尺をあてた線を引きプランニングを行い設計を進めて行きます。途中経過でラフ模型を作り検証をして行きますが、基本的には2次元のアウトプットで3次元空間を検討して行きます。
頭の中のイメージを具体的な設計に落とし込んでいく訓練でもあるのですが、頭の中のイメージがクリアにアウトプット出来ているか否か?はわかりません。どうしても法規や構造が先行し、常識的な範囲での設計に留まってしまう事も多くなってしまうのではないだろうか?と考えていました。
2007年にシドニー・ポラック監督により撮られた「スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー」という映画があります。
この授業時にお話をするのですが、建築家フランク・ゲーリーは模型製作から設計を始めます。
厚紙を切ったり貼ったり、チョキチョキしながら感覚的に建築の造形を行なっていき、出来上がった模型を3次元スキャナで読み取りそこで図面化されていくのです。
その行為はあたかも彫刻家の制作過程を見ているようで、私は建築の持つ根源を感じたりします、、、機能を排した純粋な空間としての建築。
もちろんゲーリーは純粋な空間でありながらも機能を捉え全体像を設計しているのですが、この映画では非常にスリリングな設計行為が見て取れます。
そしてこの映画を見ていると彫刻家アンソニー・カロの「発見の塔」という作品を思い出すのです。
建築から機能を排したような作品です。
1995年に東京都現代美術館にて展覧会が開催されました。現在も東京都現代美術館の庭に設置されています。
https://mot-collection-search.jp/shiryo/4289/
私も大学の学生時代、展覧会に足を運びました。
発見の塔は、登ったり入ったりする事が出来ます。そこには用途も機能もありません。ただただ純粋に空間という「物」がそこにある。
なんとシンプルかつ哲学的な空間でしょう。
こういった彫刻的なプロセスを捉えながら作った純粋な頭の中の立体イメージをまずは、原寸で測ります。自分が作った立体をまず測る。
どの程度のサイズ感なのか?測った上でまずは、「原寸スケッチ」を行います。
その後、立体が実際の建物の模型だったとしたら実物はどのように見えるか?を想像し「スケールスケッチ」を行います。
立体に縮尺を与え、実際の建物としてのサイズ感を確認し実際の建物の大きさを想像し描きます。
このカリキュラムは、頭の中の立体を手を使って短時間でアウトプットする。それを視覚で確認し、2次元で表現をするという事。
通常の設計とは逆のプロセスを行う事で、頭の中のイメージをアウトプットしやすくする為のカリキュラムなのです。








