ジャズ記念日: 3月4日、1963年@ニュージャージーRVG
Mar. 4, 1963 “‘Round Midnight”
By McCoy Tyner, Steve Davis & Lex Humphries at Van Gelder Studio, NJ for Impulse! (Nights of Ballads & Blues)
コルトレーン全盛期の相棒ピアニスト、マッコイタイナーによる、アルバム名「ブルースとバラッドの夜」に相応しい、落ち着いた夜に聴きたくなるリラックスしたリーダーとしては三枚目のアルバムです。
スタイリッシュで洗練されたスタイルは変わらずも、コルトレーンとの伴奏時に多用するパーカッシブな激しさと煽りが少ないため、静かな 夜、落ち着きたい時に手に取りたくなるアルバムからの、セロニアスモンクの代表曲の演奏がこちらです。
冒頭から続く鍵盤を存分に使った力強いピアノソロは、90秒で2コーラス分あり、そのままソロで終わってもおかしくない完成度があります。このレベルであるからして、マッコイが、後にソロアルバムを複数残しているのも納得がいきます。
特徴あるテーマメロディーをドラマチックに絡めながら、一心不乱に流れるような旋律と不協和音を叩き出すのを聴くにつけ、モンクと同曲への愛情を感じられます。それはノっているマッコイのハミングがかすかに背後に聴き取れることからも明らかです。
ピアノが左に対して右に配置されたリズムセクションのドラムのレックスハンフリーは、あまり知名度がありませんが、本演奏での相槌のような間合いのアクセントやブラシによる絶妙な強弱の付け方でマッコイを心地良く盛り立てます。特にアクセント的なシンバルとスネアドラムがふくよかに「タんッ」と鳴り響くところに心地良さを感じます。このふくよかさをどれだけ再現して余裕を持って鳴らせるか、がオーディオ再再生的な課題になります。4:15-4:26の後乗り変拍子を叩いて最後にシンバルで、ジャーンと締める所も、さりげない聴き心地です。
こういった演奏では目立たないベースラインを追っていくのが、ジャズの聴き方としては常道だと思います。とても地味な旋律に深い味わさが感じられますでしょうか。
因みに、この三日後の3月7日に、バラードの名作アルバムとされる、”John Coltrane and Johnny Hartman”がマッコイを従えて同スタジオ同エンジニア同レーベルで録音されています。ベースとドラムメンバーが入れ替わって歌とサックスが入る事によって若干雰囲気が変わっていますが、マッコイのスタイルには、孤高のリリシズム的な一貫性がある事が、”You Are Too Beautiful”等の演奏から分かります。
比較すると、コルトレーンのレギュラー伴走者の方がパワフルでダイナミズムがあって、それに引っ張られるようにマッコイのタッチも更にメリハリのあるパーカッシブな内容となっています。録音もダイナミックレンジが広いように感じられますが、これも企画、演奏者の特性や相性に沿って最適化された結果と思われます。同じバラード曲が主体とはいえ、マッコイのアルバムの方が「夜」の名の付く題名に相応しく、副交感神経が優位になるように耳心地良さを尊重した音作りになっているようです。
最後に、マッコイのスタイリッシュなソロピアノにご興味ある方は、こちらのライブ演奏をどうぞ。
