舞台設定が面白いミステリを紹介するよ
ミステリ作品を読むとき、どんな舞台設定なのか?が気になりますよね。
孤島に集められた、変な構造の館に招待された。雪山で閉じ込められた、殺し合いを強いられた、などなど。
こういった舞台設定はこれまで多くの作品で語られていて、もちろんとても面白いのですが、何度も似たシチュエーションを読んでいると、たまにはちょっと変わり種を読みたくなります。
そこでこの記事では、状況や舞台設定自体が面白いミステリ小説を紹介していきます。設定を聞いた時点で想像が走り出し、「その状況で何が起きるのか」を考えるだけでワクワクしてしまう。そんな作品だけを集めました。
重大なネタバレはないように配慮しますが、「少しの事前知識も入れずに読みたい」という方はブラウザバックを推奨します。
それではどうぞ!
登場人物全員が余命残りわずか
『どうせそろそろ死ぬんだし』
香坂 鮪
山奥の別荘で行われる交流会で、参加者のひとりが不審な死を遂げる。まさかこの中に犯人が?
という、ありふれた展開なのですが、興味深いのは参加者全員が余命宣告をされていること。
この舞台設定のおかげで、「フーダニット(誰が殺したか)」だけではなく、「ホワイダニット(なぜ余命いくばくもない人をわざわざ殺すのか)」にもなっていて、読み進める手が止まりません。
閉ざされてなければ雪でもない
『ある閉ざされた雪の山荘で』
東野 圭吾
タイトルから、「山荘が吹雪か何かで閉ざされて、そこで殺人事件が起こるんだろうな」と思うじゃないですか。
でもこの作品、
雪は降ってないし、閉ざされてもいません。
電話はつながるので警察を呼ぼうと思えば呼べますし、脱出しようと思えばすぐに脱出できる状況です。
そんな、クローズされていないクローズドサークルで起こる事件が楽しめる、一気読み必至の一冊です。
どうせ誰かが犠牲になるなら殺人犯を
『方舟』
夕木春央
地下建築「方舟」を探索中に地震が発生して閉じ込められ、そこで起こる殺人事件……と、あらすじだけ読むと一般的なクローズドサークルの話に思えるのですが、1点だけ違うのは、「誰か1人を犠牲にすれば脱出できる」状況にあること。
誰かを犠牲にしなきゃならないなら、それは殺人を犯した犯人であるべきだ。だから犯人を突き止めよう、と話が展開していきます。「犯人を突き止める」という点では他の作品と同じ構造なのに、「犠牲にする誰かを決めるため」というスパイスがあるだけでこんなにも面白くなるのか、と驚かされます。
個人的には、「なぜわざわざクローズドサークルで人を殺すのか、外部犯の可能性がなくなる分だけ犯人に不利じゃないか」という、これまでの推理小説でスルーされてきた問題に切り込んでくれたのもとても良かったです。とにかく読んでほしい、超おすすめ。
同じ作者の『十戒』は、「殺人犯が誰かを知ろうとしてはいけない」とこれまたスパイスの効いた状況設定でとても面白いのでぜひ。
舞台は古代エジプト、探偵役はミイラ?!
『ファラオの密室』
白川尚史
殺人事件が起きたり、密室から死体が消えたりと、起きていること自体はミステリ小説によくある状況です。時代が古代エジプトであり、探偵役が一度死んでミイラとして蘇ってさえいなければ。
この本の良いところは、舞台設定が奇抜なだけで終わらずに、謎の真相もトリックもこの舞台だからこそなところ。設定が奇抜なだけでは終わらない上質なミステリをお楽しみあれ。
剣と魔法の世界×ミステリ
『誰が勇者を殺したか』
駄犬
舞台は中世ファンタジー。魔王が君臨し、勇者がいて、騎士・僧侶・賢者がいる。そんな、いわゆるドラクエ的な世界観で繰り広げられるミステリ。
なぜ勇者は死んだのか、殺したのは誰なのか。あれこれ想像しながら読み進めるのが止まらない、群像劇ファンタジーミステリです。
アレでクローズドサークルを作る発想はなかった
『屍人荘の殺人』
今村 昌弘
主人公は大学生でミステリ研究会に所属。演劇部との共同合宿中に屋敷に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件。
という、ミステリ好きには聞き古した設定……と思いきや、クローズドサークルに追い込まれる要素がぶっ飛んでいます。
設定がぶっ飛んでいるだけでなく、トリックも謎解きもミステリ好きこそが楽しめる、大満足の一冊です。
ロジックを積み重ねて奇跡を証明する
『その可能性はすでに考えた』
井上真偽
普通のミステリは探偵役が謎を解くものですが、本書では逆です。探偵が謎を解けないことを示し、つまりは超常的な奇跡が起きたことを証明するお話です。
起こった事件に対して、「このトリックを使えば可能だった」「この偶然が重なればありえた」と周りが説明するも、探偵役が「その可能性はすでに考えた(けれど不可能だ)」と反証していきます。
読んでいて、真実ってなんだっけ?という不思議な気持ちになるも、決め台詞の「その可能性はすでに考えた」に謎の爽快感を覚える、一風変わった一冊。
設定から入るミステリも悪くない
ミステリというと、どうしても「どんなトリックか」「どんなどんでん返しか」に注目が集まりがちです。もちろん、それもミステリの大きな魅力ですし、わたし自身も大好きです。
でも、今回紹介したようなユニークな舞台設定をきっかけにミステリを読むのもいいんじゃないかな、と思ってこの記事を書きました。
舞台設定を聞いた瞬間に、「その状況で人はどう動くんだろう」「なぜその状況で殺人事件が起きたんだろう」と考え始めてしまう。そうやって、読み始める前から頭の中で物語が転がり出すミステリには、読む前から物語に参加しているような、独特の楽しさがあります。
それに、トリックやどんでん返しはネタバレになってしまうので軽々に人に話せませんが、舞台設定だけならこうして紹介できるのが利点ですね!
この記事が、次に読む一冊を選ぶときの参考になれば嬉しいです。
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