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梅雨の季節になった。

昨日の夜から雨だ。気温も寒冷前線のせいか、少し低くなっている気がする。

昨夜、長男が久しぶりに帰宅した。次女が新幹線の最寄り駅に迎えに行き、途中でご飯を食べて帰ってきた。

長男と次女は、ここのところずっと仲が良くなかった。というよりも、長男が次女に愛想を尽かしたといった方が良いのだろうか。

何年か前のある日、次女は入学試験があり、たまたま帰宅していた長男が、付き合ってやるといって試験会場までついていった。その頃までは、仲が良い兄妹だったのだ。

試験が終わりその足で、次女はチームの合宿に合流するために遠征に出かけたのだが、その時にある出来事があった。

長男は、太っている。本人も少し気にしているのだが、食べることが大好きな彼は、それを我慢したりストイックに筋トレをしたりはしないのである。

合宿なので、いろんなチームが集まる。たまたま、合宿先の最寄りの駅で他県の遠征チームとバッタリ出会った。最初は、長男と次女と私とで夕食を一緒に食べるつもりだったのだが、次女が長男に「一緒にいないで、離れて」と言い出して長男に隠れるように言い出したのだ。

そもそも次女は、家族と一緒にいることを仲間に見られるのが嫌な質だ。だから、私などは、どれだけいつも邪険にされていたか分からない。

その時も、そんなものだと思っていた。

だが、長男が、急に、俺は今から帰ると言い出した。もう、俺は、あいつと一緒にいない。もう、いい。

後から長男に聞くと、兄が太っているのが恥ずかしい。もっと格好の良い兄ならば、こんな、隠れることは無かったのに。

そんなことを言ったらしい。

試験にも付き合い、遠い遠征場所にも付き合い、試合の応援にも行き、小さい頃からずっと可愛がってきたのに。

長男にとっては、一番身内に言ってほしくないことを言われたということなのだろう。

あの日は確か、朝から雨が降っていた。

それからずっと、長男は次女を避けていた。試合の応援には、長女に説得されて来てはいたが、話している姿は見たとこがない。

ここ何年か、許してやれよと、何度も話したが、

「許すとか、許さないじゃなくて、あいつは、あんなやつになってしまったんだと呆れたんだ」

長男は、そんな言葉を、話す度に同じように繰り返した。

ステイホームの時期になって、外に出られなくなり、家族だけで家にいることが多かった。久し振りに兄妹が3人で顔を付き合わせることも否応なしに増えた。

ある晩、家族全員ででUNOと人生ゲームとババ抜きの三種目大会をやった。わずかなお金を出し合い、何試合かやって総合点で勝敗を決定し、順位によってお金を配分する、ありきたりの家族ゲームだ。

その時、何試合かやった後の休憩中に、長女と次女が、何かのきっかけで、あの日のことを話していたようだった。言い合いでもなく、喧嘩でもないように見えたので知らぬ振りをしていた。

その時に和解のようなものがあったのかどうかは知らない。でも、長男を迎えに行くのだと次女が言って出かけたと家内に聞かされた時は、ちょっと驚いた。

何時頃に帰って来るの?

家内に聞くと、さぁ。という返事だけが返ってきたが、次女から家内にほどなくLINEが入った。

雨が降ってるから、駅まで迎えに来て。

2人の帰りを待ちきれずに疲れて寝てしまった私は、玄関での賑やかな2人の声は夢見うつつで聞いていたが、何時まで夜、2人が会話していたのかは知らない。

長男も次女も、まだ寝ているようだ。玄関には、長男の折りたたみ傘がひとつ、干してあった。

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