「障害者だから」という色眼鏡
「障害者だから」という色眼鏡で見て二級市民のように扱うというのはよくないことだろうと思う。
しかし一方で、「障害者だから」という色眼鏡で見ることは、障害者であることを至らなさの言い訳として認めるということでもある。「フラット」に見た場合、障害者は「ただ〇〇ができない人」みたいになってしまわないだろうか。
例えば身体障害者はただ移動や一定の動作がろくにできない人、知的障害者はただ知能が低い人、精神障害者はただ精神的に不安定な人、発達障害者はただ意思疎通に難のある人……極端に言えば、色眼鏡なしだと障害者は「ただの無能」「ただの嫌な奴」みたいになってしまうのではないか。
(そういう人たちにも同じように配慮すればというのはありつつ、軽んじられたり疎まれたりするのも自然かと……)
障害者への配慮と差別は表裏一体であり、健常者と対等であることと障害者の生きづらさは表裏一体である。そして前2つと後ろ2つはトレードオフというか、障害者を健常者とは「別枠」としてある意味差別するからこそ障害者にとって生きやすい世の中になる……みたいな側面が少なからずある。
どちらが望ましいかは当事者や場面次第なので、社会として画一的に「対等」か「別枠」か決めるのは危うい。
個人的には、障害によりハンディキャップが生じているまさにその部分についてはまず色眼鏡で見て「別枠」扱いしつつ、本人の意向(※)があれば「対等」に見る……くらいが望ましいと考えている。基本は配慮しつつ、同じ土俵に上りたい・同じ条件で競いたいなど希望次第では配慮しないということ。ある意味「配慮しない」という配慮なのかも?
(※)精神障害であることをもって甘やかされたり腫れ物扱いされたりするのが嫌とか、目が見えなくても耳でカバーするから下駄を履かされたくないとか。
(なお、ハンディキャップが生じている部分以外は健常者と同じなのだから、当然対等に見る)
まあこの配慮は障害者差別みたいなものである。差別だとしても基本は当事者が生きやすい方がいいのでは的な考え。
ただし、その人が障害者であることやどんな障害があるのかを知らないことには望ましい配慮も不明なので、各種マークの有無含めすぐにそれと分からないような障害者に対しては初見だと「フラット」に見ざるを得ない。
加えて悩ましい点として、分かりやすい部類の身体障害者なら「障害が障壁となる場合・部分にのみ配慮する」というのも比較的やりやすいのだが、一部の身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者の場合は分かりづらかったり障害が極めて広範に影響したりするためそれが事実上困難……というのがある。
まあその辺りは個人や状況に応じてうまくやっていくしかないのだろう。前述のとおり画一的に決めるべきものでもないのだし。
上記のように考える一方で、自分としては障害者が特権を有するかのような状態はよろしくないとも考えている。
例えば要求があったら介助する義務が生じるとか、ろくに貢献しなくても高給が保証されるとか、どんなミスコミニケーションもお咎めなしで全て健常者が尻拭いとか、そこまで行ってしまうと特権のようになってしまう。健常者にそのような権利はない。
あとは、配慮・支援してもらって当然のような態度を障害者が取るのも違うと思う。
例えば、「健常者は当たり前に電車で自由に移動しているのだから、車椅子利用者も駅員の介助を受けて当たり前に電車で自由に移動できて然るべき」みたいなのにはついていけない。
だって通常健常者は電車移動の際自分だけのために駅員の労力を殊更に使わせたりはしない。電車で自由に移動するのが当然の権利だったとして(別に当然の権利ではないが……)、じゃあ健常者は多数の駅員を従えて重い物を持たせる権利が当然にあるだろうか?……いや、ない。
健常者にとっても障害者にとっても「他人様に格別にリソースを割いていただくこと」は当たり前ではない。当たり前だというのならそれは特権と言って相違なかろう。その分割増料金を払うとかならまだしも。
(余談)
障害者が車椅子で道を塞いでいるのは「邪魔」だろうか?
……自分としては、邪魔ではあると思う。
障害があろうがなかろうが、道を塞いでいたら平等にどちらも邪魔なのである。邪魔かどうかが変わるのは逆に変。車椅子に乗っている障害者の「邪魔度」は、いたずらで車椅子に乗っている悪質な健常者のそれと変わらない。
違うのは許容度。嫌がらせや悪意ある迷惑行為ではないだろうということで許容する気になりやすい、邪魔であることを咎めないということ。
以上が自分の感覚。
障害者への支援や配慮が大切ということでともすれば障害者が特権階級化してしまいそうな社会の中で、自分は適切なバランスを探っていきたい。
そのために、色眼鏡をかけたりかけなかったりするが、おかしいことはおかしいこととしてどっち方面についても見失わないようにしたい。
