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『失恋カルタ』7話 誤魔化しても、その先に未来なんてない

容赦ないネタバレがあります。7話までご視聴の上、お読みください。



















今回も、光と陸にフォーカスして書くつもりだった。

6話から続く、陸の不在。
合鍵と服だけが残された部屋。
そして、光が置き去りにされたように見えたあの終わり方。

正直、そこだけでも感情が爆発して、長文レポートを公開してしまったくらい苦しかった。

でも7話を語るなら、光と陸だけを切り取ることはできない。

千波と渋谷の関係。
彩世と村田の関係。
そして、千波と彩世の親友同士の衝突。

それぞれの恋が、別々の形で**「誤魔化しても、その先に未来なんてない」**という言葉にぶつかっていた。

光と陸の別れだけではなく、千波の断ち切れなさも、彩世が誤魔化すことをやめたことも、7話という回を語る上では避けて通れない。

だから今回は、光と陸を中心に置きながらも、千波と彩世のことにも触れて書いていきたい。

――――――――――

【6話は“いない真夜中”、7話は“いない部屋”だった】

『失恋カルタ』7話を見終わって、6話とはまた違う種類の苦しさが残った。

6話は、陸がいない真夜中だった。

『ね』
「寝返りをうっても、誰もいない」

あの札が示していたのは、ただ隣に人がいないという寂しさだけではなかった。

身体がまだ、陸が隣にいる生活を覚えている。
無意識に、陸のいた場所を探してしまう。

その残酷さだった。

でも7話は、もっと静かで、もっと現実的だった。

陸がいない場所が、枕だけではなく、部屋全体に広がっていた。

仕事から帰ってきた光は、部屋の様子から陸が戻っているのではないかと期待する。

でも、そこに陸はいない。

代わりに残されていたのは、合鍵。

そして寝室には、陸の荷物が消えた痕跡がある。

でも、光が陸にあげた服だけは残っている。

光はすぐに陸へ連絡を取ろうとする。

でも、つながらない。

この流れが、もう……。

6話では、寝返りの先に陸がいなかった。
7話では、帰ってきた家の中に陸がいなかった。

6話では、身体が陸を探していた。
7話では、生活そのものが陸を探していた。

そして、そのどちらにも陸はいない。

――――――――――

【合鍵と服だけが残されていたこと】

陸が合鍵を置いていったこと。

光があげた服を残していったこと。

自分の荷物だけを持っていったこと。

この行動を、最初は「陸なりの誠実さ」と見ようとしていた。

これ以上、光に迷惑をかけないため。
光から受け取ったものを持っていけなかったから。
光の生活に入る権利を、ちゃんと返そうとしたから。

そう読める部分は、たしかにあると思う。

でも7話を見たあと、その言葉だけではもう足りない気がした。

たしかに陸の中には、陸なりの理屈があったのかもしれない。

でも、それをただ**「誠実」**と呼ぶには、光に残した傷が大きすぎる。

光には何も渡されていない。

別れの実感も。
怒る機会も。
引き止める時間も。
最後に確かめるチャンスも。

ただ、合鍵と服だけが置かれていた。

それは陸の中では、「ちゃんと返した」つもりだったのかもしれない。

でも光からしたら、返されていない。
あまりにも一方的だった。

別れを告げられたのではなく、別れが置かれていた。

そこに光の意思はない。
光の言葉もない。
光が何かを選ぶ余地もない。

光は、最後に向き合う機会すらもらえなかった。

それが本当に苦しい。

これは余談だけれど、部屋に入った光を少し距離のある画で見せてから、合鍵へ視線が移っていくような演出も、光がひとり取り残されている感じを強めていた気がする。

光だけが部屋の中にいる。
でも、この部屋にはもう陸はいない。

その事実を、画が先に突きつけてくる。

――――――――――

【陸を責めたい。でも、責めきれない】

正直に言うと、7話を見て彩世と同じように私も、

おい!!陸!!!!!!!!

となりました。

本当にかけがえのない日々だったなら、あんな最後を選ばないでほしかった。

合鍵だけ置いていかないでほしかった。
光がくれた服だけ残していかないでほしかった。
連絡にも応じないまま、光に全部考えさせないでほしかった。

光がどれだけ傷つくか、陸は絶対どこかで、どこか片隅で分かっていたはず。

帰ってきた光が、陸がいると思って探すこと。
合鍵を見つけること。
荷物がなくなっていることに気づくこと。
光があげた服だけが残っていること。
連絡を取ろうとして、それでも届かないこと。

陸は、きっと想像できた。

それでも、直接言わなかった。

そこがどうしてもつらい。

でも同時に、陸をただ責めきることもできない。

陸が光を利用していたとは思わない。

陸が光のことを好きだったのは本当だと思う。
光との日々が嘘だったとも思わない。
陸が苦しかったことも分かる。

父親のこと。
医療費のこと。
バイトのこと。
夢のために貯めていたお金が削られていく現実。
光に近づきたかったのに、どんどん遠く感じてしまう苦しさ。

それは本物だったと思う。

だから余計につらい。

陸は悪人ではない。

でも、光に対してしたことは残酷だった。

この両方を同時に見ていたい。

陸の去り方は、やっぱりひどかったと思う。

でもそれは、光を軽く扱っていたからではないと思う。

むしろ陸は、光のことが大切だったからこそ、光の前で壊れることも、光を傷つけることも、光に引き止められることも怖かったのかもしれない。

ただ、その怖さから逃げた結果、光を一番傷つける形になってしまった。

陸は、自分のことしか考えていなかったというより、自分の痛みでいっぱいになって、光の痛みまで想像しきれなかった。

そう見える。

でも、だからといって光の傷が軽くなるわけではないけど。

――――――――――

【“利用”ではない。でも、ひどい】

彩世は、陸に対してかなり強い言葉を向ける。

この言葉は、かなり強い。

私は、陸が光を利用していたとは思わない。

陸の光への気持ちは本物だったと思う。
一緒にいた時間も、嘘ではなかったと思う。
光に近づきたいと思っていたことも、きっと本当だった。

でも、彩世の怒りに近い場所にもいる。

利用していたとは思わない。
でも、あの終わらせ方はひどすぎる。

そう思ってしまう。

陸が苦しかったことは分かる。
自分の力で生きようとしていたことも分かる。
光に支えられるたびに、自分が惨めになってしまったことも分かる。

でも、一方的に拒絶の言葉を残して、話し合わずに消えてしまったら、それはもう、光が全部背負うしかなくなる。

光は、陸が出ていった理由を自分で考え続けるだろう。

自分が悪かったのか。
支え方が間違っていたのか。
服をあげたことが重かったのか。
優しくしたことが苦しかったのか。
そもそも自分は、陸に嫌われていたのか。

そんなふうに、光は自分自身を責めてしまう。

だから陸の去り方は、あまりにも残酷だった。

――――――――――

【光の言葉が苦しすぎる】

彩世が陸を責めた時、光は陸だけを悪者にしようとしない。

ここが、ものすごく光らしい。

「自分がそうしたかったのだ」と受け止めるような姿勢を見せる。

光は、陸を悪者にして自分を守ろうとしない。

利用されたと言ってしまえば、楽になれたかもしれない。
陸を最低な人にして、自分は傷つけられた側になれたかもしれない。

でも光は、それをしなかった。

自分がしたくてした。
自分が支えたかった。
自分が陸の夢を応援したかった。

光は、陸との時間を「利用」という言葉で汚したくなかったのだと思う。

でも、その優しさがまた苦しい。

光は、陸のことを守っているようで、同時に陸を好きだった自分自身も守っている。

陸に与えたもの。
陸を支えようとしたこと。
陸と過ごした日々。

それを全部、「利用された」で終わらせたくない。

でも、だからこそ光はもっと傷つく。

陸を責めきれないから。
自分のしたことも否定できないから。
でも結果として、陸はいなくなったから。

光は、どこにも怒りを置けない。

その苦しさが、7話の光にはずっっっっとあった。

――――――――――

【光、何も悪くないじゃん。なのに】

私が見えないだけかもしれないが、7話まで見て、光の悪いところを探そうとしても、正直ほとんど見当たらないんだ。

光は陸を見下していたわけではない。
支配しようとしていたわけでもない。
自分の価値観を押しつけようとしていたわけでもない。

ただ、陸を支えたかった。
夢を応援したかった。
陸が自分の人生を諦めないでいてほしかった。

それは、どう見ても愛情じゃん。

でも、その愛情が陸には苦しかったんだよね。

6話の終盤で、光は陸を金銭的にも助けようとする。

困っているなら助けたい。
自分にできることがあるならしたい。

光にとっては、きっと愛情だった。

でも陸は、その手を受け取れない。

むしろ、強く拒む。

そのあとに出てくる陸の言葉は、光といることで自分自身が消えてしまいそうになる、というかなり重いものだった。

ここ、無理だった。

光が悪いわけではない。
光は陸を助けたかっただけだと思う。

でも陸にとっては、その助けが自分を消してしまうものに感じられた。

光の隣に立ちたい。
対等でいたい。
自分の力で生きたい。

そう思っていた陸にとって、光から差し出される助けは、救いであると同時に、自分が光に届いていないことを突きつけるものだったのかな。

だから陸は受け取れなかった。

受け取れないどころか、拒むしかなかった。

でも、光からすれば、それは自分の愛情を弾き落とされたようなものだったと思う。

助けたかっただけなのに。
好きだっただけなのに。
支えたかっただけなのに。

それでも陸には、その愛情が自分を追い詰めるものとして届いてしまう。

これ、光はどうしたらよかったんだろう。

この時点で、光はもう、自分の愛し方そのものを疑わされていたのだと思う。

だから7話で光が、自分の存在そのものを陸に拒まれたように受け取ってしまうのは、単なる思い込みではない。

6話で陸から直接、光の存在そのものが陸を苦しめていたことを突きつけられていた。

それでも光は、陸との日々を「利用された」で終わらせなかった。

そこが、光の優しさでもあり、光の痛みでもある。

ここがいちばんしんどい。

光が悪いわけじゃない。
でも、光の優しさは陸の傷に触れてしまった。

光が大丈夫だと支えようとするほど、陸は自分が大丈夫ではないことを思い知らされる。
光が頼ってほしいと思うほど、陸は自分が頼る側であることを突きつけられる。
光が夢を応援するほど、陸はその夢に届かない現実を見てしまう。

光は陸を照らしていた。

でもその光は、陸にとっては自分の影まではっきり見せてしまうものだったんだなって。

だから光の愛情が間違っていたとは言えない。
でも、陸にとって痛みになってしまったことも否定できない。

このズレが、あまりにも悲しい。

誰も悪意を持っていない。
でも、ちゃんと傷ついている。

光は悪くない。
陸も悪人ではない。

でも、二人の関係は壊れてしまった。

――――――――――

【光が受け取った拒絶の重さ】

光は、陸のことを親友たちに話す中で、陸が自分の力で生きようとしていたこと、そんな陸を好きで支えたかったこと、でも自分たちは少しずれていたことを語る。

ここが、7話の光の一番痛いところだったと思う。

光は本当は、前から気づいていた。
ずっと前から。
傘を持って陸が迎えに来た時から、もう気付いてたのかもしれない。

陸が何かを抱えていること。
陸が自分の優しさをまっすぐ受け取れていないこと。
支えようとすればするほど、どこかで距離が生まれていること。

でも、確かめるのが怖かった。

確かめたら終わってしまうかもしれないから。
確かめたら、自分の愛し方が陸を苦しめていたと分かってしまうかもしれないから。

そして7話で、それが現実になる。

光は陸を失っただけではない。

自分の愛し方そのものを疑わされている。

支えたかった。
好きだった。
助けたかった。

でも、その全部が陸には苦しかったのかもしれない。

そんなふうに思わされるのは、あまりにもつらい。

光にとって一番きついのは、陸がいなくなったことだけではなく、自分の愛情が陸にとって重荷だったかもしれないと突きつけられたことだと思う。

――――――――――

【同じ階段。2話では落ちず、7話では落ちる】

7話の最後、光は階段で躓く。

そして「や」のカルタの画面になり、落ちる音が重なる。

最初に見た時は、ただ不穏な終わり方だと思った。

でも、2話を思い返すと、この階段はただの階段ではなかった。

2話でも、光は同じ店で酔いが回り、階段で危うい状態になる。
そしてこの場所は、陸との関係においても大事な場所だった。

あの時の光は不安定だったけれど、まだ完全には落ちなかった。

そこには陸がいた。
光に水を差し出すような陸がいた。
隣に座ってくれる陸がいた。
すぐ外では千波とも会う。
走って逃げて、話を聞いてくれる親友がいた。

そして光は、陸と分かり合えない苦しさの中でも、最後には「それでも一緒にいたい」と思えていた。

でも7話では、同じ階段で光は落ちる。

もう陸はいない。
水をくれた陸もいない。
隣に座ってくれる陸もいない。
光の恋を受け止めてくれる千波との関係も、7話では揺れている。

2話では、光は階段で危うくなっても、まだ誰かに救われていた。

7話では、落ちる音だけがする。

前回のカルタのページでも書いたけれど、これは単に酔って転んだというより、2話では支えられていた光が、7話では支えを失ってしまったという対比に見えた。

2話では、陸と分かり合えなくても、光は陸を笑顔にしたいと思えた。

7話では、その陸がいない。

だから階段の意味が変わる。

同じ場所なのに、隣にいる人が変わる。
同じ階段なのに、結末が変わる。

2話では躓いたけどセーフ。
7話では落ちた。

この違いが、光と陸の関係がどこまで進んでしまったのかを示しているように思う。

――――――――――

【誤魔化しても、その先に未来なんてない】

7話の中心にあったのは、この言葉だったと思う。

誤魔化しても、その先に未来なんてない。

光と陸は、きっと誤魔化していた。

光は「支えたい」という言葉で、自分たちのズレを見ないようにしていた。
陸は「大丈夫」という顔で、自分の苦しさを隠していた。

光は、陸が話してくれないことに気づいていた。
陸は、光の優しさが苦しくなっていることに気づいていた。

でも、二人とも確かめなかった。

確かめたら、壊れるから。

でも、誤魔化しても未来はなかった。

6話で、寝返りの先から陸がいなくなった。
7話で、部屋から陸が消えた。

そして最後、2話では踏みとどまれた階段で、7話の光は落ちた。

この流れは、二人が誤魔化してきたものが、もう誤魔化せなくなった結果だったのだと思う。

――――――――――

【千波と渋谷――分かっているのに、断ち切れない恋】

7話では、千波の恋も大きく動いた。

渋谷は、千波に隠していた大きな事実を打ち明ける。

その説明は、彩世が強く反応するのも分かるくらい、危ういものだった。

家庭の事情。
今の関係の曖昧さ。
将来への言葉。
そして、千波を手放したくないという気持ち。

言葉だけ見れば、危うすぎる。

でも千波は、完全には断ち切れない。

距離を取ろうとする。
連絡にもすぐには応じない。
でも、決定的には拒絶できない。

千波は、理屈では分かっている。

この恋が危ないことも、誰かを傷つけることも、友達から見れば痛々しいことも。

でも、渋谷の優しさに引き戻されてしまう。

雨の中で守られるような場面がある。

その瞬間、千波はまた揺れてしまう。

『や』
「やっぱり、って 友達に言われるのが 悔しいよ」

この言葉が、すごく千波らしい。

彩世が正しいことは分かっている。
でも、正しいからこそ悔しい。

自分でもダメだと分かっている。
でも、嫌いになれない。

7話時点で、千波だけがまだ誤魔化しの中に残っているように見えた。

光は、終わった恋を受け取る手前にいる。
彩世は、誤魔化していた関係を終わらせた。

でも千波だけは、終わらせるべき恋の中に、まだ足が残っている。

――――――――――

【彩世は、誤魔化すのをやめた】

7話で一番はっきり変わったのは、彩世だったと思う。

彩世は光に対して、陸を強く責める。

でも同じ回で、彩世自身も気づいたんだと思う。

自分も村田の優しさに甘えていた。
村田の「利用していい」というような優しさに、逃げ込んでいた。

村田は軽く見える。

でも、ちゃんと傷ついていた。

傷ついているのに、どこか冗談のように処理しようとする。
怒りきれない。
でも悲しんでいる。

それを見て、彩世はもう続けられないと思ったのだと思う。

このままでは自分のことをもっと嫌いになる。

そういう気づきの中で、彩世はお試しの関係をやめる。

これは、村田を好きになれなかったから終わらせた、というだけではないと思う。

村田を、自分の未整理な恋の避難場所にすることをやめた。

それが大きい。

彩世は、光への気持ちを抱えたまま、村田の優しさに甘えていた。
でも村田が本当に傷ついたことで、自分の逃げ方を直視した。

だから、終わらせた。

痛いけれど、これは彩世の誠実さだったと思う。

7話で彩世は、やっと誤魔化すのをやめた。

――――――――――

【千波と彩世の喧嘩は、正論同士が刺し合っていた】

千波と彩世の会話もかなり痛かった。

彩世は千波に、渋谷との関係の危うさを突きつける。

千波の恋が、空いた穴を埋めるようなものに見えていることも指摘する。

これは正しい。

でも千波も言い返す。

彩世だって光への気持ちから逃げている。
自分たちは恋愛に向き合っているのに、彩世だけが逃げている。

これも、正しい。

だから苦しい。

この喧嘩は、どちらかが一方的に間違っているから起きたわけではない。

どちらも、相手の一番痛いところを正確に突いてしまった。

彩世は、千波が危うい恋に入っていくのを見ていられない。
千波は、彩世が自分の恋から逃げ続けているのを見ていられない。

親友だからこそ、見えてしまう。
親友だからこそ、言えてしまう。
親友だからこそ、一番刺さる。

7話の親友関係の亀裂は、単なる仲違いではなかった。

見てほしくない自分を、見られてしまった痛みだったと思う。

――――――――――

【チョコケーキと、優しさの置き場】

村田が買ってきてくれたチョコケーキを、千波と彩世が一緒に食べる。

このシーンも、何気ないけれど苦かった。

チョコケーキは、本来なら小さな幸福の象徴だと思う。
村田が自分のために買ってきてくれたもの。
たぶん、好みも覚えてくれていたもの。
優しさの形。

でも、その甘いものを食べながら、二人は苦い話をする。

渋谷のこと。
不倫のこと。
彩世の逃げのこと。

ここでもまた、物に感情が宿っている。

3話の落書き。
7話の合鍵。
光があげた服。
村田のチョコケーキ。

このドラマでは、物がただの物ではなくなる。

そこに、誰かの好意や未練や痛みが染み込んでしまう。

だから残る。
だから捨てられない。
だから置いていかれると、余計に苦しい。

――――――――――

【光のキスは、前進ではなく崩れ方だった】

7話の終盤、光は例のあのバーで飲んでいる。

そこで出会った相手と、流されるような形で距離を詰めてしまう。

キスシーンそのものは描かれない。
でも、その事実だけで十分苦しかった。

これは、新しい恋の始まりではない。

2話とほぼ同様に、陸がいない穴を、陸ではない誰かで雑に埋めようとしてしまった場面でしかない。

誰かとキスしても、陸じゃない。
身体が触れても、陸じゃない。
空白は埋まらない。

むしろ、陸じゃないことだけがはっきりしてしまわないか。

光は、陸に連絡がつかない。
理由も聞けない。
怒ることもできない。
最後に会うこともできない。

そのどうしようもなさが、自分の身体を雑に扱う方向へ流れてしまったように見えた。

だから、あのキスは前進ではない。

光がどれだけ壊れているかを見せる場面だったと思う。

――――――――――

【7話は、“失恋を認める直前”の回だった】

7話は、6話よりも静かに苦しかった。

6話は、陸がいないことそのものが刺さった。
7話は、陸がいた証拠だけが残っていることが刺さった。

6話は喪失だった。
7話は、残骸だった。

合鍵。
服。
空になったクローゼット。
つながらない連絡。
村田のチョコケーキ。
渋谷のジャケット。
階段の落下音。

それぞれの場所に、終われない感情が残っていた。

光は、陸との恋が終わったことを受け取る手前にいる。
彩世は、村田を利用する誤魔化しをやめた。
千波は、渋谷との危うい恋をまだ断ち切れていない。

そして陸は、光を置いていった。

利用していたとは思わない。
光を好きだったのも嘘じゃないと思う。
陸の苦しさも本物だったと思う。

でも、それでも。

あの終わらせ方は、ひどい。

ただし、それは陸が悪人だからではない。

陸はたぶん、光を傷つけるつもりで消えたわけではない。
光との日々を軽く見ていたわけでもない。

でも、自分の痛みでいっぱいになって、光の痛みまで想像しきれなかった。

その弱さが、結果として光を深く傷つけた。

だから私は、陸を責めたい気持ちと、陸も苦しかったと思う気持ちの間で揺れている。

でも、その揺れごと、この7話の痛みなのだと思う。

――――――――――

【最終話予告を踏まえて】

最終話の番組情報には、こんなコピーがあった。

「それでも。人はまた、恋をしてしまう。」

この言葉を見た時、7話までの光、千波、彩世のことが一気に重なった。

光は、陸を支えることで、自分の愛し方を信じたかった。
千波は、渋谷に求められることで、空いた穴を埋めようとしていた。
彩世は、村田に好かれることで、光への片想いから逃げていた。

三人とも、恋をしていた。

でも同時に、どこかで「誰かに好かれている自分」に、自分の価値を預けていたのかもしれない。

だから最終話は、誰と誰が結ばれるかだけの話では終わらない気がする。

むしろ、失恋のあとに、三人がもう一度「自分」を取り戻せるのか。

誰かに好かれているから大丈夫、ではなく、誰かに選ばれなかった自分でも、ちゃんと生きていけるのか。

そこに向かっていく回なのではないかと思う。

光と陸に関して言えば、7話を見て、もう恋人として元に戻る未来はないだろう。

もし最終話で陸がもう一度光の前に現れるとしても、それは復縁のためではなく、ちゃんと終わるための再会なのかもしれない。

ただ、2話の階段を踏まえると、最終話に向かう光の痛みは、さらに深く見える。

2話では、分かり合えなくても、光は陸を笑顔にしたいと思えた。
7話では、その陸がいない場所で、光は落ちた。

2話では、まだ踏みとどまれた。
7話では、もう落ちてしまった。

だから最終話は、光がそこからどう立ち上がるのかを見る回でもあるのだと思う。

恋は終わるかもしれない。
でも、好きだった自分まで否定しなくていい。

陸を好きだった光。
光に近づきたかった陸。
渋谷を断ち切れない千波。
村田への甘えを終わらせた彩世。

それぞれが痛みの中にいる。

それでも、人はまた、恋をしてしまう。

このコピーが最終話に置かれているなら、『失恋カルタ』はきっと、失恋を「終わり」ではなく、もう一度自分に戻っていくための痛みとして描こうとしているのだと思う。

――――――――――

【最後に】

1話は置いておいて、2〜5話で少しずつ描かれてきた光と陸。
その間に千波と彩世にもいろいろなことが起こって、6話目で光と陸にも……。

満を持して、という言い方は少し違うかもしれない。
でも、光と陸に重たくフォーカスが当たっていると思わざるを得ない流れだった。

そして、この終わり方。

光があまりにも置き去りにされすぎている。

陸の苦しさも分かる。
陸が光に近づきたかったことも分かる。
自分が惨めになることに耐えられなかったことも分かる。

でも、光だって苦しかった。

光だって怖かった。
光だって、前から分かっていた。
それでも確かめるのが怖かった。

二人とも怖かった。

でも最後に全部を背負わされたのは、光だった。

だから私は、陸をただかわいそうとは見られない。
でも、ただひどい人としても見られない。

何回でも書く。

光を好きだったなら、光との日々が本物だったなら、最後だけは、光をひとりにしないでほしかった。

合鍵と服だけを残して消えるなんて、あまりにもつらい。

でも同時に、それしかできないくらい陸も追い詰められていたのだとしたら、それもまたつらい。

7話は、誰かを完全に責められる回ではなかった。

けれど、誰も悪くないと言ってしまうには、光の傷があまりにも大きかった。

陸は悪人ではない。
でも光にしたことは、残酷だった。

光は悪くない。
でもその優しさは、陸には痛かった。

このどうしようもなさが、7話の苦しさだった。

好きだったことは嘘じゃない。
でも、好きだけでは続かなかった。

そして、それでも人はまた恋をしてしまう。

「なんで誰かに好かれてないとダメなんだろう」

だから最終話では、誰かと結ばれることよりも、傷ついたままの三人が、自分自身を置き去りにしないでいられるのかを見届けたい。

光が、陸を好きだった自分を否定しないで済むように。
彩世が、逃げずに自分の気持ちを見つめられるように。
千波が、誰かに選ばれることでしか自分を保てない場所から、少しでも抜け出せるように。

7話は、その手前の、いちばん苦しい時だったのだと思う。

#失恋カルタ #ネタバレ #ドラマ感想文

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