失われた名画の存在/模写が示すもの
「絵の横道」6回目
今回は絵の横道6回目、模写にまつわるお話です。
模写をする事は大切です。
多くの画家達は先人達の絵を模写して多くの事を学びました。
しかも、時に模写は思いもかけぬ重大な情報を残す事があります。
下はルネサンス期の「レダ」と呼ばれている油彩です。
これは、ある史上最大の画家の作品を模写した油彩でローマの美術館に飾ってあるものです。この絵そのものは、一定のレベルに達してはいるものの歴史に残る程の名画ではありません。ですが、今日のテーマはこの作品ではなく、これが誰の作品を模写したものかという事です。
誰の作品を模写したものかお判りですか。

これはなんと、かのレオナルド・ダビンチの作品を模写した油彩なのです。
しかも、ここが大切な所なのですが、この元になったダビンチの油彩はどこにも残っていないのです。つまり、模写作品だけが現在残っており、それがかつてあった幻のダビンチの名画の存在を私たちに示唆してくれているのです。
失われたレダ
この失われたダビンチの作品は「レダと白鳥」と呼ばれています。
このダビンチの油彩が存在していた事は、様々な画家達の模写が残っている事がその証なのですが、上の絵よりさらに驚くのが、この「レダと白鳥」のラファエロの小さな模写デッサン(下)が残っている事です。

如何ですか?
言うまでもなくラファエロはルネサンス期を代表するイタリアの巨匠です。
その巨匠ラファエロの目の前にダビンチの失われた名画「レダと白鳥」は確かに在り、ラファエロはそれを自らの画業のために模写していたのです。
この「レダと白鳥」にまつわる絵画史上最大のロマンは、知る人ぞ知る絵画界の伝説です。
もし、この「レダと白鳥」が今も世界の何処かに存在していて、
ある日それが見つかったら…
想像するだけで胸がときめきますね。
あなたは、もしかして…
「え〜っつ、そんなの見つかりっこないよ!」
とお思いかも知れませんね。
けれど…
現に下の絵、ダビンチの未完の大作「聖ヒエロニムス」は18世紀に紛失したものの、なんと19世紀になってバラバラにされていた顔の部分等が古物商などで発見されたのです。これは、当時の美術界…いや、世界を震撼させた事件だったでしょう。その後、「聖ヒエロニムス」は修復され現在に至っています。ご覧下さい、このダビンチの名画を。未完と言えども、そして、このような無惨な経緯を辿ろうとも「聖ヒエロニムス」にはダビンチの神聖が漂っています。
(肩から顔の部分等に修復の後が見られるのでご確認下さい)
このヒエロニムスの奇跡は、もう二度と起きない奇跡なのでしょうか?

さて、如何でしたでしょうか?
今回の絵の横道は、模写が示すダビィンチの幻の作品の存在についてお話しました。ちょっと夢のようなお話だったかも知れませんね。
けれど、もし「失われたレダ」がある日発見されたら…、
そう思うと本当に胸がときめきますね😋!
あなたの絵画インテリジェンスの向上に一役買えればこれ幸いです😄。
*ラファエロ 1483- 1520年.
<もりおゆう© この美術エッセイは著作権によって守られています>
(All works are protected by copyright.)
