コピー機をめぐるデジャブと歳差運動
20代のころ、私は文具メーカーの情報システム部で
庶務全般を担当していました。
仕事内容はまさに多種多様。オフィス用品などの消耗品管理から、
販売会社のリース契約管理、
ちょっとしたオペレーター業務や各種雑務まで、
「部署の何でも屋」として忙しくも充実した日々を送っていました。
そんなある日、上司からひとつのミッションが下ります。
「新しい複合機の見積もりを取って、
2社の機械を並べて検討してみて」
ここから、ちょっと(かなり?)濃い営業マンたちとの
1ヶ月が始まりました。
熱血ランナー vs 胃袋攻略!癖が強すぎる営業マンたち
まずは指定された2社に見積もりを依頼。
すると、それぞれの営業マンたちが猛烈な
アピール合戦を繰り広げ始めました。
A社の営業マン(趣味:マラソン) 熱血タイプの彼は、
なぜか自分の趣味を前面に押し出してきます。
「新橋からマラソンで駆けつけます!!」
……いや、電車で来てください(笑)。
でも、その謎の情熱とフットワークの軽さ(文字通り)には
思わず笑ってしまいました。
B社の営業マン(胃袋掴み作戦) 対するもう一方は、
戦略的なプレゼント攻撃。
打合せのたびに魅力的な粗品を「連打」してきます。
いわゆるモノで釣る……もとい、胃袋を掴みにくるスタイルです。
約1ヶ月間、2社の複合機を順番にフロアへ導入し、
働く30名ほどの社員に使ってもらったところ、
見事なまでに人気が偏りました。
そしていよいよ最終決断の日。
上司から「君から伝えてほしい」とまさかの丸投げをされ、
私は受話器を前に胃を痛めることになります。
「勝敗の理由を教えてください」うなだれた背中
落選してしまったのは、リコーの複合機でした。
電話で結果を伝えると、「直接聞きに行きます!」と、
営業マンが上司の方を連れてわざわざ来社することに
(マラソンではなかった笑)
「本当に残念ですが、今回はご縁がなかったということで……」
申し訳なさでいっぱいの私に、
営業マンと上司の方は真っ直ぐな目で問いかけました。
「最後にどこが勝敗を決めたか、教えていただけますか」
そこから長い話し合いが始まりました。
社員みんなの使い勝手の好みなど、
どうにもならない決定打の状況を丁寧に説明し、
納得していただけたところで、
お二人は静かにうなだれて帰っていかれました。
あんなに熱意を持って頑張ってくれたのに……。
そのトボトボと去っていく痛々しい後ろ姿は、
20代の私の心に強く焼き付いたのです。
20年越しのリピートと、またやってきた「通告」の時
月日は流れ、現在。 私は自営業を営んでおり、
事務所には1台のコピー機があります。
約20年つれ添ったリコーのコピー機ですが、
このたびオフィスから撤収することが決まりました。
……そう、あの20年前と同じシチュエーションの再来です。
今回は当時のような猛烈な接待や
アピール合戦があったわけではないので
気持ち的にはずっと楽です。
それでも、「長年お世話になったリコーさんにお別れ(撤収)を
告げなければいけない」という状況に、
まだ営業マンさんへ連絡を入れられずにいます(涙)。
人生って、不思議なところで同じような場面がリピートするものですね。
30年という時を経て訪れた、まったく同じシチュエーション。
しかも、巡り巡ってメーカーまで同じ「リコー」だなんて。
単なる偶然のデジャブにしては出来過ぎているこの出来事は、
私にとってとても大きな、
そして深い「気づき」となりました。
ちょっと話のスケールが大きく飛躍しますが……
この出来事を噛みしめていたとき、
私の頭に浮かんだのは「地球の歳差運動」のことでした。

地球の歳差運動
地球は地軸を23.4度傾けたまま、
まるでゆっくりと回るコマの軸のように、
約2万6000年という途方もない時間をかけてぐるりとひと巡りします。
そして今思えば、私たちの「意識」もまた、
この地軸のずれや地球の巨大なサイクルと
深く連動しているのではないでしょうか。
1995年、阪神・淡路大震災。
あの大きな揺らぎの時こそが、
ひとつの巨大な「転換点(分岐点)」だったのかもしれません。
それまで長い長い年月をかけて歳差運動の
「左側」を巡っていた周期が、
あの転換点を境にぐるりと反転し、「右側」へとシフトした——。
軌道が反転したことで、
私たちの意識も一気に「左」から「右」へと
切り替わったのではないでしょうか。
だからこそ、かつての自分では見えていなかったものが
急に見えるようになり、
意識の向かう先が変わり、
個人レベルでも内面や生き方に大きな変化が起きていった……。
まったく同じ場面を巡ってきたからこそ、
反転した意識の先で
「自分の内側がどれだけ変化し、次元を超えてきたか」
という成長の軌跡をはっきりと実感することができました。
この気づきは、とても大きなもので
今後の私に役立つものになりそうです。
