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最も激しい「Love Song」だった|ダムド『Machine Gun Etiquette』が広げたパンクのイメージ

ダムドの「Love Song」を知っている人なら、あの始まりの勢いだけで一気に気分が持っていかれる感じを、たぶん覚えているのではないでしょうか。

僕にとって『Machine Gun Etiquette』は、ただ「昔好きだったパンクのアルバム」というだけではありません。パンクというものに対して自分が持っていたイメージが、少し広がったきっかけの一枚でした。

パンクをたどっていく中で、次に手を伸ばしたのがダムドだった

The Clashを聴いて、SEX PISTOLSを聴いたら、次はダムドだろう。たぶんそんな自然な流れでした。

最初に手に取ったのはアルバムではなく、ベスト盤でした。1977年から1986年あたりまでをまたぐ選曲だったと思います。そこでまず感じたのは、「思っていたよりずっと音楽的に幅が広いバンドだな」ということでした。

パンクと聞くと、もっと一直線に荒っぽいものを想像していたのですが、ダムドはそれだけではなかった。「Neat Neat Neat」や、「New Rose」などの勢いのある曲もあるし、「Rapid」のように少しひねくれた感じの曲もあるし、「Disco Man」「Lovely Money」のように妙に耳なじみがいい曲もある。思っていた以上に聴きやすかったのです。

その中でも特に引っかかったのが、パンキッシュな「Love Song」と「Noise Noise Noise」でした。何度か聴くうちに、この2曲が入っているのが『Machine Gun Etiquette』だと知って、これはちゃんとアルバムで聴きたいと思った。

当時は、自分で使えるお金が少し増えてきていた時期で、CDもわりと積極的に買っていました。気になったら自分で買って確かめる。今思うと、あの頃らしい音楽の聴き方だった気がします。

「世界で一番激しいLove Song」だと思った

『Machine Gun Etiquette』は1979年のアルバムです。

そして、1曲目が「Love Song」。これが本当に強烈でした。速い。荒々しい。でも、ただ雑に暴れている感じではない。きちんと曲としての芯があって、その上であのスピード感がある。

タイトルが「Love Song」なのに、出てくる音はこんなにせかせかして、こんなに刺々しい。そのギャップも含めて、当時の僕には「世界で一番激しいラブソングなんじゃないか」と思えました。

こういう感覚は、やっぱり最初に聴いたときのものが強いです。頭で理解するより先に、「なんだこれは」と思わされる。あの感じが大きかった。

ベスト盤で気になっていた曲を、アルバムの流れの中で聴くと印象がまた変わることがありますが、『Machine Gun Etiquette』もそうでした。「Love Song」は単体でも強いけれど、アルバムの入口として置かれることで、ダムドというバンドの輪郭を一気に見せてくる感じがありました。

パンクらしからぬ情緒が、このアルバムにはあった

でも、このアルバムが面白いのは、「Love Song」の激しさだけで終わらないところです。

たとえば「Melody Lee」は、美しいピアノのイントロから始まりますし、「Smash It Up」にはギターのアルペジオがあって、そこにちゃんと情緒がある。いわゆる自分の中の「パンクのイメージ」から、少しはみ出していたんですね。

そのはみ出し方がすごくよかった。

ただ速くて荒いだけなら、勢いとして受け取って終わっていたかもしれません。でもダムドには、曲をちゃんと聴かせようとする感じがあった。メロディやアレンジに目が向く瞬間がある。それで僕の中では、ダムドは「しっかり音楽をやっているバンド」という印象になっていきました。

同じパンクの入口を持っていても、Clashは社会への不満をぶつけるバンドだし、SEX PISTOLSはもっとハチャメチャな破壊力で迫ってくる。ダムドはそこに比べると、もう少し音楽そのものの面白さを前に出しているように感じました。

もちろん単純に言い切れる話ではないのですが、聴いていた当時の自分には、そういうふうに見えていたのです。

今あらためて思うこと

後になって振り返ると、Clashは『London Calling』のような大きなロックアルバムを作り、ジョニー・ライドンはPILで長く活動し、ダムドも2026年の今なお現役です。

入り口はたしかにパンクだった。でも、その先でみんなそれぞれ違う方向へ進んでいった。結局、みんな音楽そのものが好きだったのだと思います。

そう考えると、『Machine Gun Etiquette』を聴いた体験は、僕にとって「パンクを聴いた記憶」であると同時に、「音楽ってもっと自由でいいんだ」と知った記憶でもあります。

あの頃の自分は、ジャンルの名前を手がかりにしながら、少しずつその先を聴いていたのだと思います。そしてダムドは、その「先」を見せてくれたバンドのひとつでした。

今「Love Song」を聴くと、相変わらず最初の一撃は鋭いです。けれど、それだけではなくて、その奥にある曲のよさや、アルバム全体の表情の豊かさにも、前より自然に耳が向きます。

パンクのイメージが少し変わった。そんな印象です。


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