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ねぇ・・その期待こたえなきゃいけない?

 私の記憶の中の、父はいつも弟ばかりを見ていた。
もちろん、自分自身があの頃の父と同じ年になった今、振り返ってみればそんなことはなかったのかもしれない。

親には親の事情があり、あの頃の私には子供側の気持ちでしか親を見ていなかったこともたくさんあったのだろう。

 最近、懐かしいドラマを配信されているのを時折ふと見ていると
その時の感情とはまた違う感覚で見ていることに気づき、時は気持ちも変化させるのだとふと気づく。

 それでも、なんとなくだけど
心の中にはまだまだ幼い「あの頃の私」がいて、「その頃の父」の視線は弟にそそがれているようにさえ感じている。

弟はとても勉強ができ、わたしには持っていないものをたくさん持っていてうらやましかった。

父は弟の勉強を毎日のように見てやり、二人で遥か遠く将来の話をし、弟の人生に期待をかけていた。
理科の自由研究では父も熱心に協力し、市の展示に選ばれ
家族でその作品を観にいくこともあった。
「金賞」と輝く、弟の作品は、わたしは何の賞もとれないと比較対象する自分にレッテルさえ貼られているように感じた。

一方の私は、何をしても弟ほど褒められないような気がしていた。
「期待されている弟」「評価されている弟」
「期待されないわたし」「認められないわたし」

子どもながらにそんな言葉を胸の奥に抱えながら育った。
それは、ある種一つのわたしのピンマークでしっかり固定されていた考え方につながった。

 「期待され、期待に応えてこそ、人は評価され、受け入れられる」

でもさ
果してそう?

その考え。それでいいの?
疲れない?

「ねぇ・・その誰かの期待。応えなきゃいけない?そうしないと認めてもらえない?」


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