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信号の色の普遍性と交通標識の課題

道路交通信号の色が赤・黄・緑であるのは各々の色の持つ性質からとても自然であり、誰も違和感を感じないだろう。
1868年にイギリスで最初のガス灯信号、1914年にアメリカ・クリーブランドで最初の電気式信号機ができた時は赤・緑の2色だったが、いきなり切り替わることで事故が発生したために、デトロイト市警察の警察官 ウィリアム・ポッツ (William Potts) が「注意」の考え方を取り入れて赤と緑の間に黄色を追加して3色になった。
よく見かける青色矢印信号や、アメリカの一部で自動運転車向けに白を追加した信号が試験運用されるなど特殊なものもあるが、信号が赤・黄・緑であるのは基本的に世界共通であり、これは「道路標識及び信号に関するウィーン条約」 (以下ウィーン条約と称する) という国際的なルールでも定められている。

道路標識及び信号に関するウィーン条約
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E8%B7%AF%E6%A8%99%E8%AD%98%E5%8F%8A%E3%81%B3%E4%BF%A1%E5%8F%B7%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%9D%A1%E7%B4%84

道路標識及び信号に関するウィーン条約は、統一的な道路標識を定め、それを用いて道路の安全性の向上や国際道路交通を容易にするために設計された。
欧州諸国で道路標識を国際的に統一しようとする動きが生まれ、1949年ジュネーブで開催された国際連合経済社会理事会の分科会である内国運輸委員会道路小委員会で標識の世界統一化案が提唱され、1952年に国際連合総会で提案し採用され、1953年に参加国68か国による国際連合道路標識(道路標識及び信号に関する議定書)が発行され、1968年に国際連合道路交通会議で本条約が成立した。

しかし国際的なルールであるものの、2026年7月時点でウィーン条約の締約国 (批准・加入した国) は75か国にとどまり、アメリカ、カナダ、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど自動車利用が盛んな国々が締結していない。
信号に関してはウィーン条約に関係なく赤・黄・緑の3色が採用されていて問題ないが、道路標識に関しては言語や風習などにより各国で独自のものがあるため、世界的に統一することはなかなか難しいようだ。
我々が海外の標識を見た時に概ね理解はできるものの、見慣れない標識で運転者がとっさの判断を誤ってしまうこともあるので、事故防止の観点からなるべくその国独自の標識はなくす方向にした方が好ましい。

以下の記事によると、海外からの視点で日本のわかりにくい標識の代表例は「止まれ」と「徐行」のようだ。

外国人にとって分かりづらい日本の標識5選|道路標識マニアhttps://note.com/roadsign/n/n3c9d03ed1d9c

日本は戦後のGHQ管理下の元、1950年に初めて「一時停止」の概念が導入され、アメリカの標識デザイン変更に伴い同期してきた。しかし、第一回目の東京オリンピックを目前に控え、規制標識を四角から丸型に変更するに際して視認性を確保するため、当時の西ドイツの一時停止標識を参考に、1963年に逆三角形のデザインに変更されてしまった。西ドイツも1971年には国際標準デザインの八角形に改定してしまい、日本だけ取り残されてしまった。

日本の「徐行」の道路標識 (英語併記はSLOW) は、日本以外では (前方優先道路に対して)「譲れ(YIELD)」という意味となっている。しかも「譲れ」には徐行の意味はない。海外では、特に合流交通の交差点では優先道路から車両が来ていなければ、普通の速度で合流している。つまり海外では逆三角形の標識が徐行や止まれの意味とは結びつかない。

またそもそも「止まれ」も「徐行」も日本語表記だけでは訪日旅行者のドライバーにはわからないだろう。ともに英語併記への変更が進められているものの、数が多いために時間も費用もかかるようだ。また道路標識マニア氏の指摘どおり、英語併記への変更を行うのであれば形状についても八角形にした方がより長期的な効果が見込めたと思う。
また「徐行」については「時速10~20kmくらいで走ればよい」という誤解が多いが、正しくは「直ちに停止できる速度で進行すること」である。外国人にとってのわかりずらさも含めて見直した方がよさそうだ。Xで投稿されている以下の案のように「徐行」の形状を変更し、「ゆずれ」を新規制定すると良いだろう。
https://x.com/road0724day/status/1613884694461915141

また運転免許習得時に標識について勉強をしたはずだが、実際に見かけることがなく、いざ見るとわからないものがある。その中のひとつは「優先道路」で、これまで見かけた記憶がないので実際に直面したら驚くだろう。とてもレアな標識だが、石川県の金沢市の金沢外環状道路に数多く設置されていることがよく知られている。

動画でも述べられているが、交差点内に中央線や車両通行帯が引かれていれば標識がなくても優先道路と判断でるし、信号が多いので結局それに従うことになる等なくても困らない標識のようだ。石川県警 (石川県公安委員会) がこの標識を積極的に設置する運用をしているそうだが、費用も発生するし設置の必要性が感じられない。

このようにみていくと信号については世界どこでも直観的に判断ができるが、標識については改善の余地がありそうだ。設置や更新の費用との兼ね合いになるが、効果の薄い標識を廃止も含めて、事故防止の観点からより最適化を目指してほしいと思う。

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