助産師の婚活記録〜第3回:婚活のお作法と倫理観を学び、助産師アンテナと看護過程でお見合いをする〜
さまざまなプロによって作成されたプロフィールを武器として頂き、婚活おばちゃんの「たとえお断りされても、ちゃんとフィードバックがきますので、落ち込まないで前向きにいきましょう!」という励ましなのか、脅しなのかわからない一言(多分…いや絶対励ましの一言!)から、お会いする方の選定が始まった。
婚活おばちゃんの会社の会議で何人かピックアップされていた方々の中で、都合が合った方からお会いしてみることになった。
お一人目:婚活の「お作法」と「倫理観」を学ぶ
最初にお会いした方のことは…正直あまり覚えていない(笑)。
おしゃれな街の有名カフェ。コーヒー1杯で向き合ってお話をした。1時間程度と言われており、会計は割り勘と決められていた。トラブルにならないようにする決まりだそうで、本当にキッチリ1円単位まで割り勘だった。なんなら会計の伝票は私が会計に持っていった。なんだかとても上から目線の発言に聞こえてしまいそうだが、恐れずに書けば、それまで男性と二人でデート?のような食事をした時に、キッチリ割り勘の会計をしたことはなかった…そもそも伝票を持って会計に行ったり、合計金額を知ることもなかった。
婚活おばちゃんから、お相手とどんなに気が合っても個人的な連絡先の交換をしないようにとも言われていた。これもトラブル回避でありキッチリ守るように言われた。そして、本当に連絡先を交換することも「また、お会いしましょう」ということもなかった。
私は、恋愛をするためにここにいるんじゃないんだ。
お話の内容やどんな方だったかは覚えてないが、別れた後にそんなことを感じて、ポカンとしてしまったのはよく覚えている。
看護や助産で実習に出るときも、必ずオリエンテーションを受けて「お作法」を知る。実習までには、専門職としての「倫理観」についても学ぶ。
まさに、最初にお会いした方からは、婚活の「お作法」と、持つべき「倫理観」を教えて頂いた。
そして、後日、返ってきたフィードバックは
「イメージしていた感じと違いました」
あらぁ、まぁ(笑)。
全身コーディネートされた洋服と、ストレートボブで、いつもの化粧にチークという宣材写真…じゃなくてプロフィール写真と同じ感じの外見で出陣したのだが?。むしろお相手の方に、どんなイメージだったのかを聞いてみたかったが、それはかなわなかった。
お二人目:助産師のアンテナと看護過程でお相手のニーズを知る
次にお会いした方は、確か、先方からのオファーだった。
ご指定は、これまたおしゃれなカフェだった。
アフタヌーンティーがイメージ通りに出てきそうなカフェで、うまく持たないと落としそうな華奢なカップ&ソーサー、そこに注がれたアーモンドの香りがするコーヒー1杯。
この方は、私に対して45度の角度で高級そうなレースが敷かれたソファーに座られ、茶色のスラックス?と紺のブレザーを着こなしておられた。これで写真撮影時のカメラマンのようなイケメンだったら目が点になってしまったのだが、座られていたのは、日本の日曜18時台に決まってテレビに登場する、あの有名なご家族のご長男のお顔立ちにそっくりな方だった。だから、とても和んだ。
私の婚活経験には、お仲人さんがいるようなかしこまったお見合い経験はない。だが、多分、そういう時にはこんな感じなんだろうなと想像する時間だった。
「ご趣味は?」「お仕事は?」「お好きな食べ物は?」
差し障りのなさそうな質問攻めを受けつつ、お相手もご自身の情報について上手に並べてくださった。
よく存じ上げないが多分有名な学校をご出身で、ご両親と有名な地区にお住まい。家族関係は良好。多分有名な企業にお勤めで、転勤はない。医療界隈以外の情報に疎い私でもなんとなく聞いたことがある有名な固有名詞が並んだ自己紹介だった。
お相手からの質問攻めと、その間に絶妙に入る自己紹介。わかりやすかったし、穏やかで、品のいい感じだったけど、空気感に違和感が増してくるのをなんとなく感じていた。助産師は人に寄り添う仕事なので、空気感を大切にしている人は多いと思う。そういうアンテナは高めの人が多い。私にも高くはないがそういうアンテナはある。「なんか変だぞ」というか、その時はなんとも言えない違和感だった。情報はあるのに、アセスメントがまとまらなくて、診断やケアプランに辿り着けない、実習記録のあの苦しい感じ。
なんか、もっと何かある。この裏に…。
そして、終盤になり、いよいよお相手は質問の核心に迫ってきた。
「結婚したら、お仕事はどうされるつもりですか?」
ほほ〜。これか。これがこの方が私に一番聞きたかったことだ。
ピンとくるとはこのこと。
アセスメントが一気にまとまった瞬間だった。
返答に迷いはなかった。
あえてツベコベ言わず、一言でお返しした。
「続けたいと思っています」
私がアセスメントから導き出した診断は
「この方は結婚後には、私が仕事を辞めて専業主婦になることを望んでいる」
だった。もし私が、以前の恋愛のようにこの方にフォーリンラブだったとしたら「あなたはどうして欲しいとお考えですか?」くらいの返答はしたと思う。でも、私は婚活おばちゃんに婚活教育を受け、婚活の「お作法」と「倫理観」の教えを頂いた婚活女子だった。ここは、ツベコベ言わずにはっきりと申し上げることが最善策だとプランを立案し、実行した。
さて、実行したプランの結果は…
「結婚後にどんな奥さんになって欲しいかというイメージが合いませんでした。」
ある意味、的確なアセスメントとプラン、そして予想通りの結果である。これが看護過程だったら私は優秀学生かもしれない(笑)。
婚活おばちゃんのプロ技と助産師の保健指導の共通点
こんな感じで、「お見合い」を重ねていった。
婚活おばちゃんは、私の書く報告をいつも丁寧にみてくださっていた。「方向性が定まって良かったですね」「貴重なご経験でしたね」とポジティブなコメントをくださった。基本的にはメールや婚活会社のサイト内でのやり取りなのだが、時々、婚活会社の方に呼ばれて顔を合わせて面談をした。実習記録のようなものが出てきて、それを元に振り返りをするのだが、いつも私の話を傾聴し、寄り添ってくださった。助産師は、たとえば妊婦さんとの助産師外来や保健指導の場面で、妊婦さん自身が生活や心身と向き合ったりするのをそれとなく促し、妊婦さん自身が方向性を見出し、主体的に過ごしていけるように関わる。時に導くこともあるが、基本的には「そっとそこに寄り添う」というスタンスを大切にする(多くの助産師はそのはず…)。婚活おばちゃんのこの頃の関わりは、最初のように何かを指摘するのではなく、私が話をする中で答えを出せるようにしてくださっていた。まさに「寄り添い」だった。毎回、面談の帰りには、その面接手法に感銘を受け、何かを導くときの「プロの技」を見せてもらっている気分だった。
次回は、お見合いで盛り上がって方向性を見失った話と、番外編で東京駅での出会いを書いてみようと思います。
