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♯071【スペースX社株を2株買う】火星と地球を往復できるチケットを持つ夢を持とう

 21時13分。梅雨のはざまに、ボロアパートの狭いベランダから南の夜空を眺める。雲一つ無いきれいな夜空だ。星の光は大小さまざまに震えるように、強弱のリズムを刻みながら、薄い絹のような湿りまとった空気の中で煌きを跳ね返している。眼科の視野検査(緑内障の進行度検査)に似ている。まぁ、煌きがくっきり見えるということは、先々月の検査結果は間違いないだろう、とおもう。

 火星はどこだろう。Lemmon彗星(※1)を見るために購入した双眼鏡で目を凝らす。スマホで”国立天文台の「今日のほしぞら」(東京基準)”を見ると、火星は日中〜夕方にかけての時間帯は空にいて、夜はあまり目立たない位置・明るさになっている、とのことだった。「夜にじっくり眺める」にはあまり向いていない時期ということらしい。そそくさと双眼鏡を仕舞う。

※1: ♯038【Lemmon彗星はどこ?】1,300年周回軌道を走る生存率はすごいとおもう|もんきち

 なぜ、火星なのかというと、それは、”スペースX上場”である。上場後の賛否両論はいろいろなニュースやネットに書いてあるけれど、そちらの方の知見は弱く、株は儲かるか儲からないかくらいしかわからない。それよりも、月を経由した火星移住計画に大きく惹かれる。あたらしいイノベーションが生まれようとしているのではないか。とてもワクワクする。まだ見ぬ景色を見ることができそうだし、あたらしい体験ができそうだ。

 そういえば、イノベーションというワードでおもい出すと、3~4年前に高額な費用を払って社外のスタートアップ勉強会に2件ほど参加をしたことがある。参加者は、それぞれ所属する会社から指名された経営幹部候補生の意識高い系なヒトたちが集まっていた。所属させていただいている会社組織内で、おバカ扱いされている身分は自分だけ、さらに自費参加は自分だけ、と気がついてしまったとき、非常に肩身の狭い思い(会社ミッション拝命無し)をしたことを覚えている。

 そんな勉強会の中で、イノベーションという定義づけがあった。当時のノートのメモには、
 
 「イノベーションとは既存のモノやコト、仕組み、ビジネスモデルなどに、新しいテクノロジーやIT技術などを取り入れ、常識を一変させるような新しい価値や考え方をつくる。それを社会に広く浸透させることで、さらなるビジネスの機会や成果を獲得するまでのすべてのプロセスを表すもの」

 と書いてあった。そうそう、受講中の経営幹部候補生の意識高い系なヒトの景色は、テキストや自社の過去成功事例をなぞり、答えを作って発表していく。聞いていると、「彼らの” イノベーション ”とは、1950年~現在に続く” 量産技術 ”に改善・改良を加えていくことじゃないか、それはイノベーションなのかな」とおもってしまった。偏差値Fランク大学卒業の” ガラクタ脳みそ ”が、ガチャガチャ・チ~ンとはじき出した答えだった。

 間違っているのか? ” ユーザーは欲しいはず、欲しがるはず ”というバイアスで、不完全なDX化のまま大量のヒトを抱え込み、均一素材で均一製品という新品を大量供給していく。売れないモノ・サービスは山積み在庫になっていくはず。スマホ、生活家電、自動車、鉄・アルミ・繊維・樹脂、洋服、靴・・・挙げだしたらキリがない。今おもえば、昨今の中東情勢の品薄を除き、どこかの時点で山積み在庫は、損切り処理か。

 勉強会の途中に個別で講師に、「イノベーションの定義は、” スティーブ・ジョブス先生 ”が提唱していた” ユーザー起点のユーザー不満点から発想(着想)する ”、” 完璧な体験をゼロから想像(創造)する ”、” 既存の制約にとらわれず「理想の体験」を思い描き、それを実現するためにバックキャストする発想法 ”ではないのですか?」と質問をした。「本勉強会の定義と違いますから、こちらの定義に従って受講してください」とツンと臭う生ゴミを、つまんでポイ捨てするかのように、一言で片付けられてしまったことを覚えている。

 やっぱり、自分は同調しないおバカか。いや、今でも、これはイノベーションの定義ではないとおもっている。

 それに引き換え、スペースX社の目論見書を読むと自分には次のように読める。
 
 ・地球生活は限界ですよ。宇宙開拓して、まだ見ぬ新しい景色をみんなで見ましょう、あたらしい体験を提供します
 ・宇宙開拓には、地球上の常識を超えたイノベーションが必要。それを想像(創造)をしていくのです
 ・出資金の使用先は、人間頭脳の創造力育成、ロケット、AI、衛星通信、開拓に必要なロボティクス

 のような感じがする。ちょっと嘘くさい雰囲気を感じるが、それよりも1950年~現在に続く” 量産技術 ”に改善・改良を加えても、宇宙に通用するイノベーションは生まれにくいような気がする。まさか、先日、アマゾンプライムビデオで観たアニメ”  戦闘メカ ザブングル ”みたいにガソリントラック車が、ロボットに変形して宇宙に行けるわけがない。

 宇宙開拓には、地球上の常識を超えたイノベーションが必要というスペースX社の目論見書から読み取った自分個人の雰囲気は正しいようにおもう。そして、” スティーブ・ジョブス先生 ”の提唱した" イノベーションの定義 "は、いまも息づいているのではないか。

 自分のイノベーションの定義は正しいと仮説を立て、火星行きの夢を持つ。自分のスペックは低いので暗算できないし、ましてや宇宙に関する仕事は何もできない。だから、宇宙の仕事ができる人に夢を託して、スペースX社株を2株買う。

 これは、儲けるためではなく、火星と地球の往復のチケット代として持つのだ。長期保有すれば、株式分割していくはずだから増えて何往復もできてしまうかもしれない。ネットを調べてみると、アップル社1株は、約25年で株価は600倍になった。テスラ社1株は、約15年で250倍になっている。
 
 これからすると、スペースX社1株は、約7年で150倍かも。いや、大コケするかもしれない。儲けるというよりも、火星と地球を往復できるチケットを持つ夢を持とう。生きているうちに、まだ見ぬ景色を見たい。無理な夢だろうか。


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