モモ尚宮
わたしは 車の免許 を持っていない。
どんくさいヤツは車の運転はやめておけって 何度も言われて、
自分でもその通りと思い、取らないままで気づけば。。アラ還。
だから 移動手段はもっぱら自転車。
おそらく。。
わたしは自分の身体を使いこなすのが下手なんだな。
自転車の荷台にだれかを乗せて、こげた試しがなかった。
なのに車も運転しない女が 二十ん年前に母親になった時、
自転車の二人乗りに挑むしかなくなった。
ためしにママ友の自転車を借りて
前かごに家族ちゃんを入れると。。
想像以上にぐらついて、
ペダルを踏むことさえ できなくて。
だから、電動自転車の購入に踏み切った。
相当な奮発 も、必要経費と言い聞かせて。
以後、ワンオペママの思い出話に電動自転車はつきものと なった。
初代 アシスト君は、大切な足だったけど、五年足らずでぶっ壊れ
迎え入れた二代目こそが表題の、モモ尚宮 。
自分の名前を冠したようで、あんがい
ポスペのモモちゃんと同じ色の車体 にちなんだ。
ついでに 尚宮という役職もくっつけたのは、
当時、韓流かぶれだったご愛敬。
振り返れば モモ尚宮はわたし達を乗せて、
そんな遠くまで自転車でいけるの?って
驚かれるほど遠くまで どこまでも走った。
だから帰り路のモモ尚宮はお腹が減って、途端に車体を重くしたっけ。
。。酷使すんなよ。って、時には わたしに腹をたて。
でも空腹でなければ、ガッツがあった。
モモ尚宮の見せ場の山場は上り坂。。ぐんぐんぐんぐん怯むことなくうえへうえへ。ぉお~!と どよめく男子中学生を、わたしは髪をなびかせ追い抜いてゆく。。♡
何を隠そう、小6まで自転車にのれなかったわたしなのだ。
それまでは、児童にさえも 抜かれるオトナだったのに。
なんて、颯爽。るんるるん。♡
来る日も来る日も 燦燦と降り注ぐ太陽を顔面に浴びながら
モモ尚宮と疾走した日々がある。
熱を出した家族ちゃんを乗せて片道二十分の病院まで走った日。
急に振り出す雨の中、パート先から幼稚園まで必死でこいだお迎え。
家族ちゃんだけカッパを着せて、濡れながら家まで走しらす
びしょ濡れのモモ尚宮とわたしの そんな日常は、もう、今はむかし。
最近では ほとんど乗らないモモ尚宮に
たま~に乗ると 鍵を外し忘れてしまうから。。
ちょっとそこまで、くらいなら、歩くようになってしまった。
出番が減ってゆくばかりのモモ尚宮の心境は? さびしい?
はたまた のんびりと 静寂を楽しんでる?
触れると、タイヤはぺっこりと へこみ 夏ぐれの駐輪場は
ガランドウと ひんやりした。
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