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しなしなと二輪ちゃん52    宮崎県 都農(つの)

自転車で、休みのたびに、ちょっとだけ走り、自転車を預けて帰る。
次の休みにやってきて、またちょっと進む。
すぐに帰るつもりだったのに、神戸を出発して、しまなみ海道を渡り、海沿いに室戸をめぐって、四国をだいたい一周。
九州に渡り、宮崎県にいるのはなぜか。


傷んだスイカとおサル

夏の水分補給は、水よりも果物が一番だ。
体への滲み具合が違う。
それがスイカなら文句ない。
カットスイカを手に入れようと、小さなスーパーに立ち寄った。

カットスイカはなく、棚に小玉すいかを見つけた。
おお小玉スイカ。
二人でならペロリだ。

「イタんどるかもしれん。開けてみるわ」

そう言ってバックヤードへ消えたお店のおっちゃん。
しばらくして厨房から大声。

「イタんどるわぁ!」

…いつまでも置いとくな。
ほんで、そんなこと大声でいうな。

イタんどるスイカに打ちひしがれた私たち。そののち、1時間以上走って、スーパー・Aコープの看板を見つけた。
力強い看板、砂漠にオアシスだ。
店内にはキラキラ輝くカットフルーツ。
店前のベンチでカットスイカやカットパイナップルにかぶりつく。

「わぁ、ええ匂いしてるわー」

クルマから降りてきた九州おばさんが、がははと笑って店内に消えていった。 

道路を挟んだ向こうでは、観光用の大きな水車に中坊(中学生坊主)が群がってイタズラ中。
おサルが水車に取り付いて遊んでいるみたいに見える。
夏休みの風景だ。
笑っている私たちに気付いて、「わーッ」とちりぢりバラバラに逃げて行く中坊。
かわいい。
ますますおサルだった。
         2015年7月27日(月)
         宮崎・都農(つの)町にて

かめの宿

宮崎県都農町をあとにする。
次の川南町を抜ければ高鍋町だ。
途中で、今日の宿がとれたので、寝る所についてはひと安心だ。
あとは宿まで走るだけ。
しかし、すでに午後6時半。
残る距離は12㎞。
まだ12kmもあるのか。
ああ、もうヤケクソの元気。
着いてから宿を探すのは結構メンドくさい。
宿の決まっていることが、ホントにありがたい。

夕闇せまる国道で、すれ違った自転車高校生に道を聞いた。

「ホテルAZって、あとどれぐらい?」
「え?それってかめの…?」
「ちゃうちゃう。ホテルAZやで。
 かめの…ってなに?」
「いや、かめの…、ファミレスのジョイフル
 があるトコですか?」
「そうそう、
 ジョイフルあるって言うてたわ」

分かったような分からんような会話のあと、目印のジョイフルの看板が見えたのは夜8時だった。
ジョイフルのとなりが今日の宿だ。
私たちは虫のようにジョイフルの灯りに吸い寄せられて宿にたどり着いた。

それにしても、かめって…なによ?
 2015年7月27日(月) 宮崎・高鍋町にて

そういうことやったんかい

宮崎県・高鍋町。
たどり着いた宿。
地元中学生がやたらと「かめの…」と言っていた訳がわかった。

実はホテルAZの前身は「亀の井ホテル」というらしい。
亀の井ホテルがジョイフルに経営譲渡した後、離脱して出来たホテルチェーンがホテルAZということだ。

そうか。

それで、昨日の高校生が、かめがなんちゃらとかゆーとったんか。

亀の井ホテルといえば、九州の老舗旅館である、と両親が九州出身のY子が言う。
ついでに、そんなことも知らんのかとY子が言う。

知らんがな、と私は言えない。
そんなこと言ったらオコラレる。
疲れた。
争いはごめんだ。

やっと荷をほどいたAZホテルの6階。
部屋から外を見渡すと真っ暗だった。
ホテルの建物だけが唯一の灯りだといっていい。
 2015年7月27日(月) 宮崎・高鍋町にて

地もてぃ

風呂でゆっくりリラックスのあと、ホテル一階のファミレス・ジョイフルで夕食。

結構遅い時間にも関わらず店内には、地元のおじさんおばさんがいっぱいだ。

ジョイフル・イズ・地もてぃズ オアシス。

「なんが○☆×±Ωっと。
 §÷ЁΛΣΨなっちゃたが」
「どんげか×☆○〒っと?」
「そ☆Я÷○ЁΘЮ‰℡※て~、わッはっはー」「わーッはっはっはー」

地もてぃの会話が「わーッはっはっはー」しかワカラン。
私たちは、頑張って走った一日の終わりの生ビール。
この乾杯が嬉しい。

「おつかれぇッ!」
「おつかれぇッ~」

カチンッ!

「んぐぐぐぐぐぐッ」
「ぐがぁー」
「くぅ~っ」
「うんがーぁ」

私たちの会話も「おつかれぇッ!」しかワカラン。 
 2015年7月27日(月) 宮崎・高鍋町にて

前カゴ
後ろ荷台


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