一貫性〜買い手に立った時に試される人格の質〜
人の人格が本当に試されるのは、
「買い手」に立った時だと、私は感じています。
売り手の立場にいる時、
人は比較的きちんと振る舞えます。
お客様に頭を下げる。
丁寧な言葉を使う。
ここは正直、それほど難しいことではないのかもしれない。
けれど立場が逆転した瞬間、
ふと表に出るのが、その人の人間性です。
買い手に立つと、
知らず知らずのうちに態度が変わる人がいます。
言葉が強くなる。
要求が先に立つ。
「やってもらって当然」という空気が混じる。
本人に悪気はありません。
ただ、人は立場に引っ張られやすい生き物
だからこそ、その変化はとても自然で、
同時にとても分かりにくい。
私自身がこのことに気づかされたのは、
ある日、部下とタクシーに乗った時でした。
「お先にどうぞ」と、
私を先に席へ通してくれたその部下は、
運転手さんに対しては少し強い言葉遣いでした。
その瞬間、違和感が生まれました。
そしてすぐに思ったのです。
これは誰かを責める話ではない。
自分自身を見つめ直すタイミング
部下にとって私は、
立場的に見れば「お客様に近い存在」
その私への態度と、運転手さんへの態度。
その違いは、これまで自分がどんな姿勢で人と向き合ってきたのかを、
静かに映し出しているように感じました。
それ以来、私は日常の中で
一つの実践を心掛けています
感謝を行動で示す
言葉だけではなく気持ちを込めて
コンビニでも、
飲食店でも、
お釣りを受け取る時でも
サービスを受けさせていただく度に、
必ず「ありがとうございます」とお伝えする。
意識しなければ、
人は簡単に立場に飲み込まれてしまいます。
だからこそ、日常の小さな場面で整える
ことがとても大切だと思っています。
私たち奥山製作所では、近江商人が伝えた
「三方良し」をバリューにしています。
売り手良し。
買い手良し。
世間良し。
これはお客様に対してだけでなく、
私たち自身が買い手になる“仕入れ先様”に対しても同じです。
在庫を整え、
必要な時に届けてくださる。
そうした一つひとつの積み重ねがあるからこそ、
私たちは準備ができ、
お客様に価値をお届けすることができます。
「買わせていただいている」
この感覚を、私たちは大切にしています。
もう一つ、心に留めておきたいことがあります。
年齢や肩書きは、人を支えてくれることもあります。
ですが、それに寄りかかり過ぎると、
大切なものを見失ってしまうこともある。
肩書きが外れた時。
年齢による影響力が薄れた時。
それでもそばにいてくれる人がいるかどうかは、
これまでの振る舞いが教えてくれます。
立場が変わっても、
役割が変わっても、
同じように人と向き合えるか。
買い手に立った時に現れる態度こそが、
その人の人格の表れなのだと、私は思っています。
