「哀しみにさようなら」 Gone At Last ポール・サイモン/アルバム「時の流れに」第6曲 1975年
みなさんは物事を悔やむたちですか、それとも気にしない気性ですか?
面倒なことがあれば神経質に悩みますか?なんとかなるさ、とどっしりと構えますか?
今日の歌はウルトラ前向きで、落ち込んだ人すべてを励ましてくれる歌です。
典型的ゴスペルソングだそうな。私はあまりゴスペルソングに明るくないのでその観点からコメントできませんが。いずれにしてもまったくポール・サイモンらしからぬ、異色の歌です。
そして、不思議と心躍ってきます。アナログレコードでいえばB面トップ。あの不思議な雰囲気漂う「ナイト・ゲーム」の後ですから、この賑やかさは見事なコントラストです。
ピアノ先導の前奏、はじけるようなベースギターが気持ちいい。ポールの妙に明るい歌いぶりが意外です。こんな歌い方をするポール、知らなかったです。
Gone At Last これでおしまい
The night was black, the roads were icy?
夜で真っ暗、道はカチンカチンに凍り
Snow was fallin, drifts were high
雪が降り、吹きだまりは高い
And I was weary from my driving
ハンドルを握っているけど怖いから
And I stopped to rest for awhile
車を止め少し休憩だ
トラックストップで座り
僕は過ぎ去った日々を振り返る
長い間の不幸続き
これでおしまいであってほしいもんだ
CHORUS:
Gone at last, gone at last?
終わり、これでおしまい
Gone at last, gone at last
おしまいだよね、もうおしまいさ
I had a long streak of bad luck
ずっと大変な目にあっていたけど
But I pray it's gone at last
これでおしまいであってほしい
Oo, oo, oo . . .?
前置きが長いのはポール流です。笑
真っ暗な夜に凍り付くような道とそこに半端じゃない雪が降ればドライバーとしては修羅場です。わかります、って。
そして道との格闘の末疲れ果てドライブインで休むときに自分の人生をふり返るんです。
もっと別の時にふりかえろよ、と苦言したくなるけど、このプロローグが結構効いたりします。
悪いことばかりじゃない。これからはいいことあるさ。と、、、妙に明るく前向きな言葉。これ暗に(というよりおおっぴらに)神様のお告げのように、勇気づけられます。さすがゴスペルソング。
第1番終盤で女性のコーラスが入り彩りが添えられたと思えば、ヴォーカルがバトンタッチです。ポール・サイモンのアルバムで、女性歌手がソロをとる。これも驚き!!
このパンチの効いたヴォーカル。実にカッコイイです。そしてピアノと、ベースそしてドラムもバックというより主役みたい!
私はアホじゃない
これでもちゃんと考えはあるのよ
そんな簡単に墜ちやしないわ
でもさぁ、あの子があんなにシュンとしているから
つい同情してしまってさ
Sweet little soul now, what's your problem?
少し甘酸っぱい心かもね。でも、いったいどうしたの?
Tell me why you're so downcast?
なぜそんなに沈んでいるのよ
I've had a long streak of bad luck?
私もずっとついてなかった
But I pray it's gone at last
でもさ、もう不幸とはさよならよ
少しあぶなげな女性、でも周囲が見ているほど彼女に分別がないわけではない。
ちゃんと自分の考えで生きている。けれど、ちょっと憂い帯びた男の子が気になり心が「ヤラレて」しまいます。姉御肌で世話焼きになるのでしょう。ここでも同じテーマ。「悪いことはもうない」って思いなさい!という励まし。
Once in a while from out of nowhere
ほんの希に、思いがけなく
When you don't expect it, and you're unprepared
全然期待もしていないし、心の準備もないのに
Somebody will come and lift you higher
誰かとの出会いで運が回ってきて
And your burdens will be shared
君の重荷が分けられる時が来ることもある
そうさ、あなたに会っていなければ
いつまでも墜ちていくだけだった
永いこと不幸ばかりだったけど
それは昔の事で、もうおしまいさ、きっと
この第3番は、ほとんど神のお告げです。あなたに会っていなければ、という言は明らかにジーザスの事でしょう。神と巡り会って迷いが払拭されれば、人生は常に前向きにいきそうです。
しかし、この歌の核を「神」とだけに決めつけるのは間違い、というより、もったいない気がします。
神様は人の心にいる。しかも神様=ジーザスとは限りません。人それぞれに存在します。
そうです、他の宗教における主や、無宗教の場合はかけがえのない人(愛する人、愛する親や兄弟、恩師など)を想像してみればいいのです。
日本語タイトル「哀しみにさようなら」はとってもいい邦題です。
でも、哀しみという言葉だと少し意味合いが違ってきます。幸せと正反対の状態は必ずしも哀しみだけだとは限りません。時には絶望であったり、あきらめ、あわれ、怒り、放心など多種多様です。だから、漠然とした「不幸」は終わる、終わってほしい。
やっと終わったという意味が Gone At Lastに込められているような気がするのです。
少し教訓的詩の内容はともかく、きびきびとした曲調、そしていつもと違うポールの歌いぶりと女性シンガー、コーラスが力強く、思わず踊りたくなりそうなこの歌。
Phoebe SnowとThe Jessy Dixon Singersの歌声が清々しくなんともクールな作品。ポール・サイモンは、イメージががらりと変わった底抜けに楽しい曲をもってきたものですね!
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