オルガン&チェンバロを聴く トン・コープマンのリサイタル
トン・コープマンのチェンバロ&オルガン・リサイタルに行ってきました。
今回は、チェンバロとオルガンを、なんとダブルで楽しめるという、実に贅沢なリサイタルでした!
コープマンのチェンバロ生演奏を聴いたのは初めてでした。
チェンバロは、鈴木雅明氏所有の、ヴィレム・クルスベルヘン(ユトレヒト)が1982年にバロック期の名工リュッカースの楽器をモデルに製作した2段鍵盤(8フィート×2と4フィート)だそうです。
鈴木氏も鑑賞にいらしてました。
バッハをはじめ、クープラン、ヘンデルなどバロック音楽の名作づくし。
彼の演奏は椅子に座ったら、すぐ弾き始める、そんな演奏です。
普通は一息ついたり、目をつむったりしますが、そういったことを全くしないのが彼流なのです。
サッと演奏に入る彼の頭の中は、すでに音楽全体、音楽そのものなんだなと思いました。
そして、聴く側のこちらも何も考える暇を与えられないので、するすると彼の音楽に導かれていきます。
つまり「あえて考えさせない」というタイプの間の取り方なんですね。どんどん彼の音楽に引きずり込まれちゃいます。
次から次へと展開し、色々な曲にすぐに切り替わっていく感じが、とにかくたまらなく楽しい!
それは後半のオルガンもそうでした。
今回は一番前の席を取ったので、足捌きの様子もバッチリ見えたのですが、とにかくすごいんだなあと。
結構、お尻で左右に移動して、足はかなり激しく動いていました。
ブクステフーデ、バッハと、彼らしい力強い演奏で大満足でした。
今日も大拍手に何度もお辞儀をし、相変わらずアンコールは3回の大サービスでした!
チェンバロとオルガンを一つのステージで弾くコンサートはとても珍しい。
主な理由として考えられるのは、音量や操作がまったく異なるからだが、
主催者がコープマンに今回の企画を打診すると二つ返事で快諾したという。
そんなところが、気さくでサーヴィス精神あふれるコープマンらしい。

思えば私は、2023年2月18日、ミューザ川崎・シンフォニーホールでのオルガンリサイタルで衝撃を受けて、音楽をテーマとした記事を書いてみようと思い立ったのでした。
あれから1年9か月。来日を心から願っておりましたが、本当にやって来てくれました。
今年80歳を迎えたトン・コープマンのエネルギッシュさに脱帽です。
音楽を愛する皆様
80歳を迎えるこの記念すべき年に、日本を訪れることができて嬉しいです。
日本の聴衆の皆様が、いつも音楽に寄り添い、心から私の演奏を楽しんでくださることは、私にとっても大きな喜びです。
皆様のバロック音楽への、特にバッハへの愛を深く感じます。
今年はまた新たにCDリリースしたヘンデルの作品もプログラムの中で重要な位置をしめています。
皆様にコンサートをお楽しみいただけるよう願っています。
すみだトリフォニーホールにはオルガンは初めて聴きに来ましたが、ドレスデンのイェームリッヒ社製で、三段手鍵盤と足鍵盤、4735本のパイプを擁するドイツ・バロック様式。
イェームリッヒはバッハとも交流があったことが知られる名工のジルバーマンの子孫だそうで、本日の演奏にはぴったりでした。

<プログラム>
■チェンバロ
J.S.バッハ(1685-1750):トッカータト長調 BWV 916
L. クープラン(1626頃-1661):シャコンヌ ハ長調、パヴァーヌ へ短調
J.デュフリ(1715-1789):クラヴサン曲集第3巻よりフォルクレへ短調
A.フォルクレ(1672-1745):クラヴサン組曲第2番よりラ・ルクレールト長調
G.H.ヘンデル(1685-1759):組曲第5番(クラヴサン組曲第1巻)ホ長調 HWV 430
プレリュード、アルマンド、クーラント、エアと変奏曲G.H.ヘンデル(1685-1759)組曲第3番(クラヴサン組曲第1巻)二短調 HWV428、プレスト
休憩
■オルガン
作曲者不詳:バッターリア ハ長調
P.ブルーナ(1611-1679):聖母のための連によるティエントト短調
D.ブクステフーデ(1637頃-1707):プレリューディウム 二長調 BuxWV139
わが魂よ、今ぞ主をたたえよト長調 BUXWV 214/215/213
J.S.バッハ(1685-1750):前奏曲とフーガハ短調 BWV 546
トン・コープマン(チェンバロ、オルガン)
<プロフィール>
オランダのズヴォレ生まれ。
アムステルダムでクラシック音楽の教育を受け、音楽学のほか、オルガンとチェンバロを学び、両楽器については優秀賞を授与された。
古楽器に魅了され、文献学的な奏法に興味を持った彼は、バッハを中心にバロック音楽を専門に研究するようになり、「真正な演奏」の第一人者と呼ばれるようになった。
1979年、彼が25歳のとき、アムステルダム・バロック管弦楽団を設立。
その後1992年には、アムステルダム・バロック合唱団を併設した。
アムステルダム・バロック管弦楽団・合唱団は、すぐにもっとも優れた古楽アンサンブルのひとつとして世界的名声を獲得。
コープマンの意欲的な活動の中でも、バッハのカンタータ全集の録音は、壮大なプロジェクトとして、ドイツ・シャルプラッテン・ベルリンのエコー・クラシック賞や、BBC音楽賞、エクトル・ベルリオーズ賞などを受賞。グラミー賞やグラモフォン賞にもノミネートされた。
コープマンは、バッハ作品に加え、バッハの先達であるディートリヒ・ブクステフーデの研究も長年続けており、バッハ・プロジェクトを完結させた2005年には、ブクステフーデのオペラ「オムニア」の録音に取りかかった。
このシリーズは30枚のCDで構成され、最終巻は2014年にリリースされている。
国際ディートリヒ・ブクステフーデ協会の会長を務めており、2006年にはライブツィヒ市のバッハ賞、2012年にはリューベック市のブクステフーデ賞、さらに2014年には英国王立音楽院よりバッハ賞を受賞している。
オランダ・ライデン大学教授。英国王立音楽院の名誉会員。
オランダのバロック音楽祭『ItinerarieBaroque』の芸術監督。
2019年より、ライプツィヒ・バッハ資料財団の所長も務めている。


▼おまけ:コープマンと夫人であるティニ・マトーによる貴重なチェンバロ演奏。
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