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#152 ウェイウェイ・ウー『上海Lady~WeiWei ISM』

鈴木さんへ

 先日はお疲れさまでした。オフィスでの打ち合わせに、私も昔は会社員だったなぁ、なんて思い出したりしました~。
 ハイムは、デビュー当初から音楽関係者の間で評判になっていたし、鈴木さんが言うように新作も1曲目からやるな~って感じに思うけれど、なぜか入り込めない感覚がずっと彼女達にあるんですよね。どうして?って自分でも思うんだけれど…。
 その反対に、と言ってはいけないけれど、5月に紹介されたダミアーノ・デイヴィッドは、人気動画サイトFirst Takeで「Tangerine」をd4vdとの共演でパフォーマンスしているんだけれど、何回も見てしまい、お気に入りになっています。
 さて、今回私が紹介するのは二胡奏者のウェイウェイ・ウーの記念すべき20作目となるアルバムです。

ウェイウェイ・ウー『上海Lady~WeiWei ISM』

 2000年代はじめに日本で二胡のブームが起きた。中国出身で、日本で活動する二胡奏者の作品が次々にリリースされて、当時はヒーリングの切り口でも語られたけれど、そのブームの一翼を担ったのがウェイウェイ・ウーだ。上海で生まれて、文化革命後に一期生として音楽学校に入学して、ヴァイオリンと二胡を学んだ。余談になるけれど、当時のことをインタビューで聞いたことがあって、映像の世界でしか知らなかった文化大革命がいかに不自由で、才能を見殺しにするものだったのか、その一端を知ることができた。
 そんな彼女の20新作『上海Lady~WeiWei ISM』。

(↓この曲は収録されていませんが、楽器とその演奏が見られる動画です)

 二胡は驚くほどプリミティヴな楽器で、弦は2本だけ。しかも弓が独立したものではなく、2本の弦の間に挟まっているという構造だ。そんな楽器で、音楽語法の異なるポップやロックのカヴァーから自作曲までジャンルを超えてさまざまな楽曲を演奏する。楽器の特性と、これは個人的な先入観が大いに関係しているけれど、悠久の大河を思わせるような演奏に心惹かれるが、ウェイウェイは、それもありつつ、二胡という楽器の可能性、豊かな表現を大いに楽しませてくれる。
 たとえば、ふたつの異なるダンスのための音楽。ピアソラ作曲の⑤「Esccualo」は、アルゼンチンタンゴで、もうひとつの⑧「Toss The Feathers」は、アイルランド民謡。ともに独自のリズムが演奏の要だけれど、前者はこってり濃厚で情熱的でなおかつ複雑、後者は軽妙と全くタイプが異なるダンス音楽を二胡の魅力を生かしつつ見事に演奏している。

 オリジナル楽曲の③「Hey Hey Niko」ではどこの国?と思わせるエキゾチックな音色を響かせるし、洋楽のカヴァーは、選曲に意外性がある。コールドプレイの「Viva La Vida」は、もともと弦楽器をフィーチャーした楽曲なので、カヴァーする人は多いけれど、もうひとつの⑥「オープン・アームス」は、80年代のジャーニーのカヴァー。マライア・キャリーのカヴァーでも知られてはいるけれど、この歌にどんな思いをこめて演奏しているんだろう。そんなことを思うなか、自分が曲に溶け込んでいく感覚に襲われる。
 ここが彼女の演奏が好きな理由でもあるけれど、今回資料のなかに共通点を見つけることができた。ウェイウェイもステファン・グラッペリのヴァイオリンが好きで、彼の演奏が人生のターニングポイントになったという。洒脱で、自由で、人生を楽しんでいるような彼の演奏、私も大好きです。
                             服部のり子


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