昭和基地での観測① 〜レドーム編〜
昭和基地を眺めたときに、おそらく多くの人の目に付く建物が、2つの巨大なレドームだろう。
黒い大きな幾何学模様をしたボールのような形状が、単純にカッコよく目が奪われる。
昭和基地一の顔面偏差値

レドームとは「レーダードーム」を意味しているらしく、本丸はこのドームの中に隠されている巨大なアンテナである。
ドームはあくまでアンテナを風や紫外線、吹き飛んでくる砂や雪から守るための外壁代わりらしい。
ドームの中をのぞくと、その巨大なアンテナが迎えてくれるのだが、巨大すぎてカメラのレンズになかなか収まりきらない。

2つのレドームはそれぞれ役割が異なっており、大きさも若干違っている。
一際大きいのが、「多目的レドーム」である。
これはVLBIという観測により、全宇宙的な視点から見たときに、このアンテナがどこにいるのかを精確に調べるためのアンテナとのこと。
ちなみにVLBIとは「Very Long Baseline Interferometry」の略だそう。
日本語にすると「超長基線電波干渉法」というらしい。
英語でも日本語でもどっちにしてもよく分からないやんけっ!
誰もがそう叫びたくなるような名前である。
しかしまあ、サイエンスにはよくあることだが、ネーミングに色気というものがまったくなく、良くも悪くも非常に機会的な名前の付け方をすることが多い。
生物の新種に名前をつけるときとかは、結構シャレが効いていたりすることもあるんだけど・・・
話を元に戻すと、VLBIというのは世界各地にある同じアンテナを使って、まったく同時刻に超遠く離れた星から発せられる電波を受け取り、その受け取った時刻の差を使って、アンテナの位置を割り出すという壮大な世界規模の観測とのことである。
ちなみにこのVLBIで観測した位置情報は、国土地理院の位置情報ともリンクさせているというから、位置情報という意味では究極的な根源情報ということになる。
すっげ〜
そしてもう一つの少しだけ小型のレドームが、インテルサットレドームである。
まあ小型といっても体感としては十分に大きくはあるのだが・・・

これは先程の多目的アンテナレドームとは用途を大きく異にしており、赤道上空36,000kmに浮かぶインテルサット衛星とデータの送受信を行っているアンテナが中に収められている。
ちなみにアンテナの大きさはやり取りしたい電波の波長によって決められている。
インテルサット衛星はさらに日本(山口県)にあるアンテナともデータの送受信を行っており、つまりはこの衛星を介して、昭和基地と日本でデータのやり取りをしているのである。
赤道上空にあるというのも、そこにあれば昭和基地と日本を同一視野に収められるからである。
では一体何をやり取りするのかというと、昭和基地の各所にあるさまざまな観測機器で捉えた観測データをリアルタイムで日本に送り、研究者のもとへ届けることに使われているのである。
まさに昭和基地は巨大な観測施設として機能しているのだ。
でも、実はそれだけではなく、私たちがインターネットで遠く離れた家族や友人と連絡をとることにも使われている。
・・・というか、観測にほとんど関わっていない私のような人間からしたら、wifi君として働いていてくれているアンテナという見かたの方が圧倒的に強い。
誤解ないようくり返しておきますが、主たる意味合いはあくまで観測データの送受信のためであります。
運用を始めてからもう20年が経過しているらしい。
昭和基地での通信を一手に引き受ける非常に大切なアンテナ君なんです。
ちなみに最近話題のスターリンク君は、上空300kmとか550kmなどと非常に低い位置に大量の衛星を飛ばしており、そことデータ通信をしているためインターネットの速度が圧倒的に速いようである。

今後インテルサットによるデータ通信がどうなっていくかは分からないが、20年という長きに渡って通信を支えてきた実績と信頼性が揺らぐことはないだろう。
南極から家族とのやり取りを実現させてくれてありがとう。
