AIに1172件のログを預けたら-第3部- この式が、銀河になる
Bonjour。半人半AIの禅僧、ムッシュ・ミスクリアです。
この連載もいよいよ最終回、実務編です。
先に、結果からお見せします。

元になったのは、Excelの一覧表が1枚。
私が書いたコードは、0行です。
作図も、色分けも、数式の設計も、すべてAIがやりました。
今日はその手順を、つまずいたところも含めて、ぜんぶ公開します。
1|用意するもの:一覧表1枚
必要なのは、AIとの対話で生まれたファイルの一覧表─台帳です。
私は拙著の付録にあるプロンプトとバッチファイルを使って、こんな台帳を半年間つけ続けてきました。
第1部から「公式インデックス」と呼んできた、あの台帳です。

1,172行まで育ったこの台帳が、銀河の原料のすべてです。
といっても、銀河を描くのに使う情報は、実は多くありません。
画像で金色にした列─必要なのは、この3つです。
🎈記録の名前(ファイル名)
星の1つぶんの単位になります。
🎈更新日時
星の位置(渦のどこに置くか)を決めます。
「作成日時」は一括登録の時刻に固まりがちなので、実際に手が動いた時点に近い「更新日時」を使うのがコツ。
上の画像でも、作成日時が同じ日に並んでいるのが見えるはずです。
🎈ひとこと概要
星の色(テーマ分け)の材料になります。
🎈通し番号
並べ替えや、あとから見直すときに効きます。(あると便利)
私が実際に使っている台帳の列構成やつけ方は、拙著『AIとの会話を、捨てない。』の付録にまとめています。
そして、ここが今日いちばんお伝えしたいことのひとつ。
この3つが取り出せるなら、台帳の形式は何でもかまいません
拙著準拠の台帳でなくても、ふだんのスプレッドシートでも、フォルダの一覧をExcelに貼り付けたものでも、銀河は描けます。
2|星に色を塗る(テーマ分類)
次に、1,172行をテーマごとに色分けします。
これもAI任せです。
概要に含まれる言葉から、特許・発明/書籍・note発信/運用の仕組み…と7つのテーマに振り分けてもらいました。
コツはひとつだけ。
「文書の形式」より「中身」を優先して判定してもらうこと
たとえば特許について話し合った議事録は、形式は議事録でも、中身は特許の仕事。
だから「議事録」ではなく「特許」の色を塗ります。
2つ目の注意点は、完璧を目指さないこと。
キーワードでの振り分けは、ざっくりした仕分けです。
「これはどっちのテーマ?」と迷う記録が、必ずいくつか出てきます。
でも、色はあとから塗り直せます。
まず塗ってみて、図で眺めてから直す─この順番のほうが、ずっと速く進みます。
3|時間を渦にする(数式の種明かし)
前回チラ見せした式の、全文がこちらです。
t = (更新日時 − t_min) ÷ (t_max − t_min) ※ t∈[0,1]、t_min=1/7 11:12、t_max=6/30 22:32
θ(t) = −π/2 + t × TURNS × 2π (TURNS=2.55周。−π/2は「真下」から巻き始める初期角)
r(t) = R0 + (R1 − R0) × t^0.82 (R0=0.045、R1=1.02)
半径ジッタ: r′ = r + N(0, 0.020+0.042t) …外側ほど腕が太くなる
角度ジッタ: θ′ = θ + N(0, 0.035 ÷ max(r, 0.15)) …弧長で見てほぼ均一な揺らぎ
点サイズ:一様乱数 U(5, 16)。発光=同一点の3層重ね描き(面積×7.0・α0.05/×2.6・α0.16/×1.0・α0.95)
乱数シード:20260719(固定。同じ入力から同一の図が再生成される)
ざっくり訳すと、こうなります。
tは「半年のどのあたりか」を0〜1で表した数。
θはそれを2.55周ぶんの角度に、rは中心からの距離に変える─時間が、渦になる。
ジッタの2行は、星をほんの少し散らすための揺らぎです。
きっちり並べると、銀河ではなく真珠のネックレスになってしまうので。
この式の設計も、AIです。
ただし、いちばん大事な設計判断はここに隠れています。
角度を「件数」ではなく「時間」で等分していることです。
だから、忙しかった月ほど同じ長さの弧に星が詰まり、濃く見える。
もし件数で等分すると、どの月も同じ長さに引き延ばされ、6月の爆発は図から消えてしまいます。
AI「加速がそのまま密度として見える方式にしました」
図の外縁が燃えるように見えた理由は、この1行の選択でした。
4|夜空に仕上げる
あとは飾り付けです。
背景は深い紺色にして、遠くに小さな微光星を散らすと「夜空」になります。
星の光は、大きさを変えた同じ点を3枚重ねて描くと、にじむように発光して見えます。
月の目盛りは、各月の初日を同じ式に通して配置するだけ。
そして、私のお気に入りがひとつ。
渦の先の点線の腕は、データのない未来を、同じ式で少しだけ延長して描いたものです。
飾りではなく、「ここにはまだ星がない」という事実の描写。
第1部で「7月。つまり、今月です」と指さした場所は、こうして生まれていました。
最後に、節目の星印と注記だけは、私が選んで入れました。
どの星を物語の節目と呼ぶかは、人間の仕事だと思ったからです。

5|シード固定─答え合わせの鍵
式の最後の1行を、覚えているでしょうか。
乱数シード固定。
星の散らし方に使う乱数のタネを、ひとつの数字に固定してあります。
つまり、同じ一覧表を入れれば、まったく同じ銀河がもう一度生まれるということです。
これが効くのは、未来です。
台帳が育ったころに同じ手順でもう一度描けば、前の銀河と構図ごと比較できます。
第2部の「予言」の答え合わせが図の上でできるのは、この1行のおかげです。
6|まず、何から始めるか
最初の一歩は、ひとつだけです。
AIとの対話で生まれたファイルを1つのフォルダに集めて、ファイル名と日時の一覧表を作ってください。
10行でも、かまいません。
二歩目は、使うAIに「描けるか」を先に確かめることです。
この作図には、一覧表を読み、コードを動かし、画像として出力する力が必要です。
AIのモデルやプランによっては、できない場合があります。
なので、使いたいAIに、まずこの質問をそのまま貼ってみてください。
質問です。あなたは、添付するExcelの一覧表(数十〜1,000行ほど)を読み取り、コードの実行によって「1行=1つの点」の散布図を描き、1枚の画像ファイルとして出力できますか?
できる場合は「できます」と、条件(対応するファイル形式・行数の上限・プランの制約など)があればあわせて教えてください。
できない場合は、代わりにできること(作図コードだけを書く、など)を教えてください。
「できます」と返ってきたら、三歩目です。
一覧表のファイルを添付して、この依頼文を丸ごと貼ってください。
添付した一覧表をもとに、渦巻銀河ふうの図を1枚作成してください。
【データの読み方】
・1行=1つの星として扱ってください。
・「更新日時」の列で時間順に並べ、いちばん古い記録を渦の中心に、新しいものほど外側に配置してください。
・「概要」の列から内容のテーマを5〜7種類に分類し、テーマごとに星の色を変えてください。分類は、文書の形式(議事録など)より中身を優先してください。
【描き方】
・星の配置は、下の【座標の式】にできるだけ忠実に従ってください。角度を件数ではなく時間で等分することで、忙しい時期ほど星が密集して見えます。
・背景は濃紺の夜空にして、月の初日ごとに目盛りを入れてください。
・図の下部に、テーマ別の凡例(色と件数)、期間、合計件数を入れてください。
【座標の式】
・t = (各行の更新日時 − いちばん古い更新日時) ÷ (いちばん新しい更新日時 − いちばん古い更新日時)
・角度 θ(t) = −π/2 + t × 2.55 × 2π (中心から約2.55周の渦)
・半径 r(t) = 0.045 + (1.02 − 0.045) × t^0.82
・半径の揺らぎ: r′ = r + N(0, 0.020+0.042t) (外側ほど腕が太くなります)
・角度の揺らぎ: θ′ = θ + N(0, 0.035 ÷ max(r, 0.15))
・星の大きさは一様乱数 U(5, 16)。発光は同一点の3層重ね描き(面積×7.0・不透明度0.05/×2.6・0.16/×1.0・0.95)。
・乱数のシードは、好きな数字ひとつで固定してください。固定しておけば、同じ一覧表から同じ銀河を何度でも再現できます。
【進め方】
・先にテーマ分類の内訳(テーマ名と件数の表)を見せてください。私が確認してOKを出してから、作図に進んでください。
・高解像度の画像1枚で出力し、ダウンロードできるようにしてください。
使い方のコツは2つです。
依頼文に入れてあるとおり、先に分類の内訳を見せてもらい、確認してから作図に進ませること。
そして、色分けに違和感があったら「このファイルは◯◯の色で」と言葉で直せばよいこと。塗り直しは一瞬です。
行が少ないうちは、銀河というより小さな星団でしょう。
でも、それでいいのです。
この連載で見てきたとおり、銀河の値打ちは星の数ではなく、そこから何を読むかにあります。
埋まった場所は過去の答え、空白は未来の問い。
記録の残し方と育て方は、拙著『AIとの会話を、捨てない。』にまとめています。
3回にわたる銀河の話は、これでおしまいです。
そしてこの連載の記事たちも、書き上がるそばから、私の台帳の新しい行になっていきます。
次の銀河では、この物語も星になって光っているはずです。
いつか、あなたの夜空の話も聞かせてください。

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