身体は、思っているより不確実だった。——立てなくなった日から考えたこと
立てなかった。

2026年2月1日、日曜日の朝。
いつも通り起きようとしたら、腰に強い痛みが走り、起き上がれなかった。
ベッドの上で上半身を起こせない。
仕方なく、足をベッドの外に下ろし、肘をてこにしてなんとか上半身を起こす。ただし、そこから立ち上がろうとするたび、痛みで座った状態に戻る。
何分経っただろうか、
何回立ち上がろうとしただろうか、
覚えていない。
ただ、ようやく腰をかがめた状態で立つことはできた。
そこから、壁や手すりにつかまりながら、少しずつ移動した。
実は、1月の時点で腰に違和感はあった。
1月25日にはコルセットをつけて、なんとか仕事をしていた。
それでも「そのうち良くなるだろう」と思っていた。
大きな問題にはならないと、どこかで考えていた。
だから、2月1日もこう思っていた。
「明日には、もう少し良くなって仕事はできるだろう」
できるだけ安静にして、その日は過ごした。
しかし、翌日も状況はほとんど変わらなかった。
2月2日、月曜日。
会社を休み、鍼治療に行くことになった。
鍼治療の効果は大きかった。
施術後は、まっすぐ立てるようになった。
さらに翌日も治療を受け、歩くこと自体は問題ないレベルまで回復した。
一度座っても、ゆっくり立ち上がれば、なんとか痛みは抑えられる。
そこから治療を続けて、小走りもできるようにはなった。
3月29日、日曜日。
ただ、それでも——
完全には治っていない。
週に3回通っていたジムも、
週に1回通っていたヨガも、いまはやめている。

「再開しても大丈夫ですか?」と鍼の先生に聞いたところ、
「完全に治るまではやめたほうがいい」と言われたからだ。
実際に、一度だけヨガに行ったことがある。
翌日、状態はほぼ元に戻った。
ヨガは体にいいことだと思っていた。
ホットヨガを7年以上続けて、
非常に効果が高いと実感していた。
しかし、ここまでひどい腰痛になると
体を伸ばすことすら、悪化させることになる。
正直、かなりショックだった。
「体にいいこと」のはずが、逆効果になる。
それなりに身体には気を使っていた。
「自分は体を大事にしている方だ」
と思っていた。
しかし、いま起きている現実は違う。
思ったよりも、回復が遅く、
思ったよりも、身体は簡単に動かなくなる。
不安は、不安を呼ぶ。
一つ気になると、次も気になる。
最近、頭の右上の一部が、時々ズキっと痛むことがある。
「これ、大丈夫なのか?」

脳梗塞という言葉が、頭をよぎる。
調べれば調べるほど、不安は増える。
でも、結局はよくわからない。
腰も、頭も。
「どこまで大丈夫なのか」が、自分では判断できない。
そこで、ようやく気づいた。
身体は、思っているより不確実な存在だった。
これまでは、ある程度コントロールできるものだと思っていた。
運動すればいい。
ケアすればいい。
意識すれば、大きく崩れることはない。
そう考えていた。
でも実際は、予兆はあっても見過ごすし、
回復のスピードも年々遅くなっている。
そして何より、
「大丈夫かどうか」が、自分ではわからない。
これは、少し怖い。
ただ同時に、考え方を変えるきっかけにもなった。
現実は、一度壊れると完全には戻らない。
これからは、
「大丈夫かどうか」で判断するのではなく、
「どう付き合うか」で考える必要がある。
身体をコントロールするのではなく、
身体と相談しながら進む。
無理が効く前提ではなく、
いつか限界が来る前提で動く。
そうやって、少しずつ調整しながら進んでいく。
思っていたより、不確実で。
思っていたより、扱いが難しい。
でも、だからこそ。
目を逸らさず、向き合う価値があるのだと思う。
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