本当に強い人は剣を抜かない。——問題解決ではなく「問題を起こさない」考え方
本当に強い人は、剣を抜きません。
ここでいう「剣を抜かない」とは、剣を抜く必要がないように先に状況を確認し、問題の芽を摘み、万が一に備えておくことです。戦わないのではなく、戦う状態になる前に動いています。
これは理想論ではなく、
実際の現場でも同じだと感じています。
前職で、深夜に電話が鳴り、
障害対応で出勤したことがありました。
当時は「こんなに頑張っている」と思っていました。
でも今は、違う見方をしています。
問題を解決できる人は優秀です。
でも、もっと優秀な人は問題が起きないように設計しています。
24時間365日稼働するシステムを
継続開発していた時の話です。
夜の0時30分、電話が鳴りました。
アプリケーションの動作が遅いとの連絡。

「至急、現場に行くべきだ」
そう判断して、現場に急行しました。
当時、私は30分以内に駆け付けられる場所に住み、緊急事態に備えていました。当然、対応は早いほうがよいのですが、いま振り返ると誰かが深夜に駆けつけることを前提にした運用は、改善の余地がありました。
本来、障害発生の時点で負け
残酷な言い方ですが、利用者の立場から見れば、
障害が発生し、業務に影響が出た時点で負けです。
どれだけ早く復旧しても、すでにお客様の業務には影響が出ており、復旧が早ければ被害が小さくなるというだけです。もっと優秀な人は障害が起きる可能性を下げ、起きたとしても影響が広がりにくいように設計します。
剣を抜かずに済む状態をどう作るか
システム開発で「問題が起きにくい状態を作る」とは、特別なことだけを指すわけではありません。
想定される負荷に耐えられるか、事前に確認する
異常を早く検知できる監視や通知を用意する
リリース前の確認項目と判断基準を決める
問題が起きた場合の切り戻し手順を準備する
誰が判断し、誰へ連絡するのかを明確にする
こうした監視や手順を整え、深夜の電話そのものを減らした人の仕事は、障害対応に比べて目立ちません。しかし、プロジェクトや運用を長く安定させるうえでは、大きな価値を持つ場合があります。
障害が起きたときに踏ん張る力は必要です。
誰かが対応しなければ、問題は解決しません。
ただし、毎回誰かの頑張りで乗り切ることを前提にしてはいけません。
その働き方を続ければ、担当者は体力的にも精神的にも削られ、いつかプロジェクト自体が立ち行かなくなります。
この考え方は、システム障害だけに限りません。
仕事の進め方や、日常の選択にも共通します。
「忙しいからもっと頑張る」
のは一時的対処です。
無理して乗り切っても、身体を壊せば長期的にマイナスになります。
だからこそ必要なのは、
「そもそも、そうならない設計になっているか?」
という視点です。
・長期的に無理のない仕事量か?
・いますぐ無理をしてまで、手に入れる必要があるものか?
・問題が起きる前に、予定や役割を調整できないか?
私は、炎上したプロジェクトの火消し役を経験してきました。だからこそ、問題を解決する力だけでなく、問題を早く見つけ、大きくなる前に手を打つことを大切にしています。
頑張ること自体は悪くありません。
ただ、それを前提にした仕事や人生は、いつか崩れます。
設計するか、対処し続けるか。
この違いは、仕事だけではなく、人生全体に影響します。
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