なぐも先生の漫画「メガネさんとおいしい湯気。」レビュー「不和のない食卓」
皆さんは「コンビニコミック」って御存じでしょうか…?
コンビニで専売される雑誌と単行本の中間の形態で…
紙質は雑誌で…従って安く…漫画が読めるのですが…

どおくまん先生の「熱笑!!花沢高校」と
平野耕太先生の「ドリフターズ」…
コンビニコミックと漫画の単行本との最大の違いは…
「流通期間の短さ」であり…
コンビニコミックの本質が「雑誌」ですので…
「売り切れ御免」で多分増刷もしません…
なぐも先生の漫画「メガネさんとおいしい湯気。」は…
ぶんか社から隔月ペースで刊行されるコンビニコミック…
「俺流!絶品めし」に掲載された漫画で…
1年間に6話掲載され…
2021年3月号から2023年12月号までの3年弱の間に…
17話執筆された内容が…単行本化されて…
2024年5月中旬に上梓されたモノです…。
勿論連載は継続しており…第2巻の登場は…
机上の計算で…2027年3月と見込んでいたのですが…
2025年4月に…SNSでなぐも先生から…
御家庭の事情による執筆作業の調整の御都合から…
編集部からの
「何時でも戻って来て!」との声掛けがあったものの…
「何時戻れるか分からない」との理由から…
先生の方から休載ではなく…
連載終了を申し出られたとのコトです…
先に解説した通り…単行本化するには…
3年弱かかり…単行本未収録分がどうなるかは…
今のところ分かりませんが…
この機会に…本作を今一度推したいと思うのです…
この漫画の…「何」がいいのかをね…
本書には…
メガネをかけた主人公ちゃん・主人公くんが
おいしいものを食べて…
「んんんんん~~~~っっ!!」
「うま~~~~~っ」
「んん~~~~~ッ」
「おいし~~~~~ッ!!」
「はぐっ」「はぐっ」「ほぐっ」「ほぐっ」
「ほっふわぁ」
…と語彙が消失してバキの登場人物みたいな
「言葉にならない叫び」を発し…うまそうな咀嚼音で畳みかけ…
シアワセになる模様を活写した珠玉の漫画が17編収録されてます。
ですから…
”おいしい食べ物×かわいい女子の笑顔がたまらない…♡”
ってのは宣伝文句に偽りアリで…
正しくは
"おいしい食べ物×メガネをかけた主人公ちゃん・主人公くんの…
「~~~~~っ!!」との言葉にならない叫びを伴った
満面の笑顔がたまらない…♡”
なんです…。
男もいるんです!
「かわいい」のは…
なぐも先生の漫画の「デフォルト」なんです!
各編のタイトルは
「カキめし弁当」「チキン南蛮」「焼き肉」…。
と実に直球で好感が持てます。
1話完結で毎回主人公が異なるのですが…
1.主人公にはメガネをかける。
2.主人公毎にかけるメガネの形状が違う。
…のが本作の「縛り」で毎回新鮮な気持ちで読めますし
メガネってこんなたくさん種類があるんだって驚きもありますし…
基本1話完結ですから何処からでも読めますし
基本1話完結で毎回主人公が違うのですが…
後になって再登場するヒトもいて
前のエピソードの「続き」になっていて
また各話とも基本10頁なのですが…
「絶対10頁」ってノルマからも自由で
「形式」や「ノルマ」や「約束ごと」が
シアワセを遠ざけるって姿勢が僕はスキです。
おいしそうな食事を見て
「おいしそう~」って語彙がコドモに戻って
おいしそうに食べて
「んん~~~~~ッ」って「感想」を叫んで
気持ち良くなってシアワセになって
店長が「あんまりシアワセそうだから」ってんで
一品サービスしてくれてシアワセが延長する…コレが本作品の全てで
シアワセを遮る「不和」が徹底的に排除されてます。
店主と料理の味でケンカを始め…「1週間待ってくれ!」と啖呵を切るヒトも…
店の感じが悪く料理残したと因縁を付け店主にアームロックを極めるヒトも
聞いてもいないのに料理のウンチクを聴かせるヒトも
この漫画には登場しないのです。
「不和」はシアワセに食事する妨げなのですよ。
両親がケンカしてたらコドモは食事でシアワセになれないのですよ…。
僕がスキなのは5話,10話,15話…。
5の倍数話に登場する漫画家さんの気持ちの良い食べっぷりと
12話の女性のメガネ上司さんの「ひとり焼き肉」ですね。
…この漫画には「不和」はないのですが
12話ではほんの少しだけ後悔してる上司さんが
「よしっ食べよう!」
ぐっ…と焼き肉を食べてシアワセになってゆく過程が
ほんの少しだけウェットに描かれているのが特徴ですね。
…この回だけ珍しく「男の影」を感じさせるのは
焼き肉を食べて気持ちが「ダイレクト」になった
「孤独のグルメ」の影響なのでしょうか…?
絵柄には全くイヤミがなく
意地悪な人間が一切登場せず
「不和」が一切登場せず
ウンチクやセッキョー垂れる人間も登場せず
料理はつっねっにおいしそうで
おいしいものを食べてシアワセになる事に特化した漫画と言えるのです。
僕は…ウルトラゴアホラー映画愛好家で…
常々「酷い酷い酷い地獄が見たい」と連呼する程
「不和」が三度の飯より好物の「終わっている」ニンゲンですが…
「せめて食事している間だけは「不和」に邪魔しないで欲しい」
とも思っているのです…。
東風孝広先生の「カバチタレ」という漫画で…
壮絶な夫婦喧嘩が行われている最中…
幼い兄と妹が…食パン一斤引っ掴んで…
兄が食パンにマヨネーズかけて…
妹が食パンを食う場面があります…
「不和」は…実は「切り売り」できず…
夫婦間が「不和」なら…
子供はその「不和」の煽りをモロに食らうのです…
ですから…食事してる間は…
「不和」でなくなって欲しいと言うのは…
「夢物語」なんですよ…
子供が夢見る理想の食卓…
谷口ジロー先生の「孤独のグルメ」の中で…
主人公の井之頭五郎は…こう言います…
「モノを食べるトキはね…
誰にも邪魔されず…
自由で…
何と言うか救われてなきゃダメなんだ…
独りで静かで豊かで…」
当の五郎が…「豊かな食卓」を妨げた…
店主の腕を捩じ上げて…
アームロックを極めながら…
この台詞を言っているのが…
「孤独のグルメ」の異常性で…
五郎が夢見る…「豊かな食卓」を実現するには…
実力を行使して…「雑音を停止させる」他ないと…
「孤独のグルメ」は言っているのです…。
「不和のない」状態…
「理想の食卓」など有り得ないと…。
なぐも先生の漫画は…
その「不和のない理想の食卓」が実現されている
奇跡みたいな漫画で…登場人物がアームロックを極めなくとも…
「救われる食卓」が実現してるのです…。
僕の家は…「カバチタレ」で描かれた通りの…「不和の巣」で…
こんな…地獄的状況から抜け出す為に…勉学に励みましたが…
オトナになって…豊かな暮らしが出来る様になると…
子供の頃…散々見て来た…「地獄」を…創作物の中に求めているのです…。
だって…ソレが…僕が散々観て来た「家庭」なんだから…。
「和気藹々(わきあいあい)」
なんて画餅(がへい=絵に描いた餅)なんだから…
どいつもこいつも…
「結婚は素晴らしい」とか
「家庭は素晴らしい」とか…
ウソばっかり吐きやがって…
結婚も家庭も愛も…
すッこッしッもッ素晴らしくないわッ!
とは言え…なぐも先生の漫画を拝読していると…
滂沱の涙が流れるのです…
世界中何処を探しても存在しない…
「不和のない状態…不和のない食卓」
を描いているが故に…
現実がキツ過ぎて…死んじまわねえ為には…
こうした漫画が必要なんですよ…赤ちゃん…
僕はこの漫画を読んでいる間…
この漫画でモノを食べているの読んでいる間…
「救われている」んです…
井之頭五郎が指摘した様に…
「救われてなきゃダメ」なんです…
いつだって…どんなときだって…
「希望」が必要なんです…
途中からアタマのおかしいレビューになっちまって済まねえ…
なぐも先生の食漫画にハマり…
同人誌を3冊購入してレビューも書いてます…
全然ネガティブじゃないし…何よりマトモで…
「不和のない食卓」
の看板に偽りのない内容なので…良かったらどうぞ…
