見出し画像

読んだ本、読んでいる本、これから読む本(2026_1)

某学会誌から書評を依頼されたので三浦信孝+矢後和彦編『渋沢栄一とフランス』(水声社、2025年)を読了。個々の論文・論考には面白いものもあったが、精粗硬軟ごちゃまぜという感じ。編者の方々のご苦労が偲ばれる。

内容で一言だけ。渋沢の国際主義が最終的にナショナリズムの高揚と政治的暴力の前に挫折していく過程について、「ナショナル・リベラル」という概念の妥当性をめぐる理論的検討が今後の課題として残されているように感じた。

昨年出た本で現在まだ読ませていただいている内務省研究会編『内務省—近代日本に君臨した巨大官庁』(講談社現代新書、2025)。非常に野心的な試みであるとは思うが、研究書としては物足りなく、一般書・啓蒙書としては堅すぎる。通史編とテーマ編を分けるなどの工夫は見られるが、これを「すべてがわかる決定版!」(←帯の惹句)とするのは編者の皆さんの本意ではないだろう。個々の論点は面白いし、まだまだ掘り下げる余地はある。論文集として一層深掘りした一冊を期待している。

年末に出た奥田英朗『普天を我が手に』第三部は、昭和百年を貫く歴史大河エンターティメント小説の完結編。七日間しかなかった昭和元年に生まれた四人を主人公にするというアイディアが秀逸(第一部、第二部は彼らの父母が主人公なのだが、これがまた面白い)である。ただ時代背景の説明は薄いので、同時代史にある程度詳しくないと本書の面白さは十分に伝わらないかもしれない。

読書中の上記2冊を読み終わったら、次は若尾政希『書物の時代 読書がひらいた日本近世』(岩波書店、2025年)を読む予定。


いいなと思ったら応援しよう!