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【歌詞考察】SCANDAL/声|MAMIの声が描く"日常からの脱却と、その代償としてのすれ違い"


1.SCANDALプロフィール紹介

SCANDALは、2006年に大阪で結成された4人組ガールズロックバンドです。
バンド名「SCANDAL」は、メンバーが通っていた大阪・京橋駅近くのビルにあった風俗の「SCANDAL」という文字を見つけたことがきっかけ。
2023年8月21日の結成17周年ライブにて、同一メンバーによる最長活動ロックバンド(女性)|Longest running rock band with the same musicians (femele)」としてギネス世界記録™に認定されました。

HARUNA(Vo/Gt)
1988年8月10日生まれ。愛知県出身。
SCANDALのフロントウーマンであり、メインボーカルを務める存在。落ち着いたハスキーな歌声が特徴で、ステージではクールな雰囲気を持つ一方、MCでは柔らかく親しみやすい人柄を見せる。作詞にも多く関わり、等身大の女性の感情を表現した歌詞がファンから支持されています。

MAMI(Gt/Vo)
1990年5月21日生まれ。愛知県出身。
SCANDALのリードギタリスト。独特なメロディセンスと遊び心のあるフレーズで、バンドサウンドの個性を作り上げている。
個性的な声が特徴的で、ファンからは「まみたす」という愛称で親しまれています。

TOMOMI(Ba/Vo)
1990年5月31日生まれ。兵庫県出身。
SCANDALのベーシスト。唯一無二の「キャンディボイス」と称される甘く特徴的な歌声を持ち、HARUNAとのツインボーカルやコーラスワークで楽曲に彩りを添える存在。演奏面では、歌うようなメロディアスなベースラインから、力強くグルーヴィーなプレイまで幅広くこなしています。

RINA(Dr/Vo)
1991年8月21日生まれ。奈良県出身。
SCANDALのドラマー。パワフルかつ繊細なドラミングでバンドのビートを刻むだけでなく、多くの楽曲で中心となって作詞・作曲を手掛けるクリエイティブな一面も。ファッションやカルチャーへの造詣も深く、自身のスタイルを確立している姿は同性からの支持も厚い最年少メンバーです。

2.楽曲「声」のここがすごい!

数多くのアニメ主題歌など、ヒット曲を残している彼女たちの楽曲の中でも、僕みなさんに紹介したい楽曲は「声」です!

これ以降の考察は、Munによる勝手な妄想と主観がたっぷり入っています。公式の正解ではないので、一言の読み物としてエンタメ感覚でお付き合いください!笑

この楽曲は、「日常からの脱却と、その代償としてのすれ違い」にあると感じます。何か自分への変化を求めて上京を果たしたものの、遠く離れた場所にいる彼氏との間には少しずつ価値観のズレが生まれてしまう――。そんな、変化を選んだからこそ直面する切ない葛藤を描いた作品として、今回はMun独自の目線から掘り下げてみたいと思います!


3.「声」歌詞分析

①1A〜1Bメロ:大都会の孤独と、言えない本音

昨日のリピートのような スクランブル交差点で
青過ぎる空を見てた 雨なら隠せることもあるのになぁ
モノが溢れる街で 何か満たされないまま
レンタルしたあの映画も見ないままで返す気がした

まずは冒頭の1Aメロですが……もう、最初から切なすぎます、、、!

退屈な地元を飛び出したはずなのに、辿り着いた東京のスクランブル交差点で主人公が感じたのは「昨日のリピート」という感覚でした。環境を変えても、結局は同じような毎日が繰り返されるという最初の挫折がここにあります。

都会の「青過ぎる空」は孤独な自分を惨めに見せるからこそ、「雨なら(涙や格好悪さを)隠せるのに」と零してしまう。

そして、僕が特に胸を締め付けられたのが最後のフレーズです。 人って作品を見たくてレンタルショップに足を運ぶはずなのに、主人公は借りた時点で、見ないまま返す「気がした」と予測しています。「見なかった」という結果ではなく、手にした瞬間から諦めてしまっている。ここから、上京したての彼女が東京で過ごす毎日に、相当飽き飽きしていて、心に全く余裕がないことが痛いほど伝わってきます。
(今でこそサブスクが主流ですが、14年前の楽曲だからこそ、当時の「映画の視聴方法」がそのままリアルな生活感として描かれているのも歌詞考察のポイントです)


ねえ 今 あなたは私を覚えている?
ねえ 今 私はあなたを思い出してた

続いての1Bメロ
都会の孤独に耐えかねた彼女は、きっと地元に残った彼氏に相談したかったのだと思います。だけど、自分の強い意志で上京を選んだ手前、今さら弱音なんて吐けないし、簡単には頼れない。そんな葛藤が、この2行の「順番」にそのまま表れていると僕は考えています。

普通なら「あなたを思い出して、連絡したよ」となりそうなところを、彼女はまず「あなたは私を覚えている?」と相手に問いかけます。 自分の存在がまだ彼の心にあるかを確認せずにはいられないほどの不安。そして、その後にようやく「私はあなたを思い出してた」と、自分の本音を少しだけ溢れさせる。

「寂しい」と直接言えない彼女のプライドと、遠く離れた彼への切ない依存心が、この言葉の順番から痛いほど伝わってきます。


②1サビ:後悔と意地の間で探す明日

声はずっと此処にあって なのにずっと響かなくて
大事だって思うもんが 無いわけじゃないから
帰りたいと思ってたって 帰りたいと言えなくって
強がって寂しがって それでも明日を探してる

そして迎えるサビで、彼女の感情が描かれています。
大都会で確かに声を上げているはずなのに、誰にも届かないような孤独感。そして何より、電話の向こうの彼に「寂しい」という本音(=声)が、距離のせいでどうしても「響かない」もどかしさが痛いほど伝わってきます。

ここで確信に変わるのが、Bメロでも触れた彼女の葛藤です。 心の中では「帰りたいと思ってた」のに、自分で選んだ道だからこそ、プライドや責任感が邪魔をして「帰りたいと言えなくって」に変わってしまう。

ただ悲しむだけでなく、「強がって寂しがって それでも明日を探してる」という結びが本当にリアルです。後悔と意地の間で激しく揺れ動きながらも、なんとか東京で足掻こうとする彼女の強がりが、彼との『ズレ』をさらに加速させていく予感がして胸が締め付けられます。


③2A〜2Bメロ:過去の自分への「またね」と、成長過程の自覚

笑って「またね」って告げて始めての中央線も
気づけば慣れた足で人ごみを避けて歩いている

続く2Aメロでは、主人公の「時間の経過」と「変化」が描かれます。
ここで僕は、あるひとつの切なくも力強い解釈に行き着きました。
「笑って『またね』って告げて」――この別れの相手は、誰か他人ではなく「昨日の自分(=過去の自分)」なのではないでしょうか。

スクランブル交差点で立ち尽くしていた彼女も、今では東京の生活に馴染み、「慣れた足」で人ごみを歩けるようになる――
そんな見事な「成長過程」を、このパートでは見せてくれています。


ねえ今 あなたは私がどう見える?
ねえ今 私はあなたに会えないかもしれない

続く2Bメロでは、東京で成長を遂げた彼女から、彼への問いかけが響きます。都会のスピードに馴染み、強くなった彼女。そんな「変わっていく自分が、今の彼には一体どう見えているんだろう?」という、不安と期待が混ざった問いかけです。

前パートで、東京に馴染めば馴染むほど「自分の居場所は彼の元ではなく、自分を成長させてくれるこの東京なんだ」と直感してしまった彼女。だからこそ、もうあの頃と同じようには「会えない(戻れない)」ということを、彼女自身が一番分かっているのでしょう。

環境の変化によって自分の価値観が変わり、生きる世界が変わってしまった。そんな寂しさと、もう引き返せないという覚悟が、この2Bに凝縮されています。


④Dメロ:電話の向こうの笑い声、呆れと安心のグラデーション

見もしないテレビの 明かりをながめて
手にした携帯 見慣れた名前に
繋いだ向こうで 人の気も知らないで
笑う声に思わず笑った

物語が佳境に入るDメロ。
ここは、言葉にできない切なさと愛おしさが押し寄せるパートです。
1人暮らしの部屋って、何か音がないと耐えられないほど寂しくなってしまいますよね、、、。そんな孤独の中、彼女が手にした携帯に表示されたのは、「見慣れた名前」でした。この一言から、2人がかなり長く付き合ってきた深い関係であることが伝わってきます。

しかし、繋がった電話の向こうの彼は、彼女が東京でどれほど葛藤し、「自分を成長させてくれるこの街こそが私の居場所なんだ」と覚悟を決めていることなんて、何も知りません。そんな彼女の気(気持ち)も知らないで、いつも通り楽しそうに笑う彼の声。この圧倒的な温度差こそが、いつの間にか2人の間に生まれてしまった決定的な「すれ違い」そのものです。

けれど、彼女はそんな彼の声に「思わず笑った」。 ここには、「この人は本当に何も変わらないな」という諦めにも似た呆れと、同時に「でも、やっぱりこの声に一番安心しちゃうんだ」という切ない愛おしさが混ざり合っています。


⑤落ちサビ〜ラスサビ:葛藤の果てに選んだ「現在地」

声はずっと此処にあって なのにずっと響かなくて
「わかるよ」って 「嘘でしょ?」ってはぐらかして
だけどなんか嬉しくって だからきっと朝を待って
リピートって思う今日に期待をする

物語は落ちサビへと向かいます。
電話の向こうの彼に、東京での孤独や変化を伝えるのは難しくて、お互いに言葉をはぐらかしてしまいます。
でも、そんな他愛のないやり取りが「だけどなんか嬉しくって」、また同じような明日(リピート)に少しだけ期待をしてしまう。
彼の存在は、今でも彼女の心を温める大切な光なのかもしれません。

しかし、ここから続くラスサビで、彼女は決定的な答えを導き出します。


私はずっと此処にあって それがきっと現在になって
迷いだって孤独だって 当たり前にあるけど
帰りたいと言いたかった 帰りたいと言わなかった
強がって寂しがって それでも私は歩いていく

1番のサビでは、プライドが邪魔をして「帰りたいと言えなくって」と泣いていた彼女。けれど今、東京での成長過程を経て、彼女は「帰りたいと言わなかった」と言い切るのです。

彼への愛おしさを胸に残しながらも、自分を成長させてくれるこの東京を「現在(居場所)」として受け入れた、主人公のあまりにも美しい自立の姿がここにあります。


見てないあの映画を明日返しにいこう

そして曲の最後、冒頭の1Aメロの伏線回収で着地します。
孤独を埋めるためだけに借りて、部屋に放置されていた「見てないあの映画」。それを「明日返しにいこう」と思えたのは、もう映画の力を借りなくても、自分の足でこの街を歩けるようになったから。過去の未練や孤独に区切りをつけ、前を向いた彼女の晴れやかな表情が、この最後の一行から真っ直ぐに伝わってきます。


4.最後にひとこと

いかがでしたでしょうか?
今回は、僕自身も上京してから一番聴いているのではないかというくらい、大好きな楽曲、SCANDALの「声」をご紹介いたしました。

YouTubeのSCANDAL公式チャンネルでは、結成記念日に行われたアコースティック編成のライブ映像「Billboard Live OSAKA 2017.08.21 バージョン」もアップされていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!

それでは、次回もぜひ楽しみに!

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