アメリカという国を知る。 〜その最強原理〜
聖書史観からの脱却、というテーマが武庫川哲学の「イロハのイ」に当たるファーストステップなのであるが、「聖書史観」を口酸っぱく言い続けるのは、それが現在のセカイを形作っている基礎原理だからである。
少なくとも西洋諸国はこの「キリスト教的聖書史観」によってすべてが成り立っているし、中東諸国は「旧約聖書的史観」によってすべてが成り立っているから、アジアはちょっとだけ例外としても、セカイは聖書からいまだ逃れられていない。
もちろんアジアも、西洋列強に引っ張られているから、清がアヘン戦争でイギリスに負け、日本が太平洋戦争でアメリカに負けて以降、アジア的価値観(東洋思想)というのは、当然西洋リベラリズムによって上書きされていると言って良いだろう。
(勘違いしてはいけないが、共産主義とて西洋リベラリズムの一形態に過ぎず、マルクスは「これが最終形態じゃ!」くらいには思っていたので、そこに問題があるとしても聖書史観のバリエーションのひとつなのである。その意味ではアジア最大の大中華国が西洋リベラリズムの頂点みたいな思想によって支配されているのは、いったいどういうギャグなのだろうか。やはりここは大中華国らしく神仙思想で統治してほしいものだ)
しかし、それにしても西洋文明や西洋リベラルの発展の中で、特にヨーロッパと比較して「アメリカ」だけは、なんかしらんけど独自の進化を遂げているような気がする。
それを武庫川さんは
■ 西洋リベラリズムを理想で語るのがヨーロッパ
■ 西洋リベラリズムを実践で語るのがアメリカ
だと理解しているのだが、果たしてそうなのだろうか?
というわけで前回の参考書では、「アメリカがなぜ強いのか」ということをあらためて整理してまとめてみたのだが、そこから見えてきたものが確実に「ある」ので、今回はそんなお話である。
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前回の各人工知能さんたちのまとめを見ていると、セカイはアメリカに勝てない、ということがよくわかる。
結論からぶっちゃけて言えば、アメリカ最強は揺るがない。少なくともしばらくは揺るぎようがないのだ。それは好きとか嫌いとか、善とか悪とかを通り越して、たぶんそうなのである。
なぜか。
そのもっとも大きな理由は、「アメリカが島国だから」である。
そもそもコロンブスが「発見」しないといけなかったくらいには、アメリカ大陸というのは世界でも「遠い」場所にある。
そして地図で言えば、西と東は海によって隔てられていて、北にカナダがあるが、4000万人しかいない小さな国であり、南にはメキシコがあり、こちらは1億3000万人くらいの人口があるが、接地面積が狭く、アメリカ側から見れば非常に守りやすい形状をしている。
つまり、「アメリカを攻めることが、地政学上とても難しい」のである。実際にアメリカという国は、先住民が欧米人に攻められた以外には「どこからも本土攻撃を受けたことがない」国でもある。
これは、日本人なら体感でわかることである。日本もアメリカが空襲してきたのとモンゴルが攻めて来た以外には本土攻撃を受けたことがない。
(それもサイパンやグアムがなければ、B29は届かなかったのである)
周りを海に囲まれた島国というのは、そもそも非常に堅固なのである。
そして国土がでかいこともあり「大資源国」であり「大農業国」である。そもそも自立に困っていない。日本のように「輸入」に頼らないと生きていけない国とは根本的に違うのである。なんなら最近だとシェールオイルで石油まで出ちゃう。それがアメリカだ。
この2点が、物理的なアメリカの強さだが、それに加えて「論理的、システム的」な強さも持っている。
それは「ドルを基軸通貨にしている」という点だ。まあ、これはもともとは「金(GOLD)をめっちゃ持ってた」ということとも関係あるので、物理面もあるのだが、システムとしてそういう筋書きを書いてしまい、それをちゃんと実行できたのが勝因であろう。
そしておなじ聖書史観から発展しているヨーロッパとの違いは、「ヨーロッパは各国が地続きなので、協調せざるを得ない」ということでもある。いざこざが起こればすぐドンパチにつながるのは、ロシアとウクライナを見ていてもよくわかる。土地が繋がっているのはよろしくないのである。
だいたいケンカは近しい者同士で起きるのが常だ。
そして、これは地政学でもあるが、メンタル的にもとても大きな違いを生む。
「自由・平等・博愛は俺たちに適用される」とヨーロッパ人が考える時、それはイギリス・フランス・ドイツ・・・・と「オレタチとは、みんなだ」と思わざるを得ないのだが、それに対して
「自由・平等・博愛が適用されるのは σ(゚∀゚ )オレだけ」
と思えるのがアメリカなのだ。だって、島国だから。
(これは日本人にも覚えがあるだろう。よく偉い人が日本は単一民族国家だ、みたいな失言をしてしまって怒られるのと同じである。σ(゚∀゚ )オレだけ、とつい思ってしまうのである。島国だから)
そのアメリカの「オレだけ思考」が行き着く所まで行ったのが、
「アメリカ例外主義」
ということになるだろう。アメリカ人は、「オレだけ特別」と思ってしまっているのだ。
実はこのアメリカ流オレだけ思想は「キリスト教的聖書史観」と密接に結びついている。
資本主義がプロテスタントと密接に結びついているのは、ご承知の通りで、このあたりの話はもうすでにマスターしておかないと次に進めないくらいのベタベタなネタであるが、
「神の思し召しによって、西部を開拓し、神への奉仕として隣人愛に勤しんで仕事を頑張って、経済発展という神の恩恵を賜る」
というのがアメリカの精神的支柱だったのであるから、アメリカ人はそもそも「神に選ばれた特別な民」なのである。=オレだけ思想
さて、ここからである。
アメリカの例外主義は、ヨーロッパ的「聖書史観・西洋リベラリズム」に端を発しながらも、新大陸で独自の進化を遂げてしまった。
ヨーロッパ的なリベラリズムが
「みんな自由・平等・博愛で生きようね。まだ西洋リベラリズムを知らない人たちにも、神の教えなので布教して、イスラム教徒でもアジアの蛮族でも教化したらみんなリベラル民に進化できるよ」
(まあ、中世のザビエル時代からあまり考えることは変わっていない)
というものだったとすると、アメリカは
「オレたちの自由・平等・博愛なので、オレたちが幸せになるように実現しようぜ!」
というのがリベラリズムということになり、実際それを繰り返しているのである。
なので、科学・技術・軍事力・政治・経済のどれもが、「それ」を実現させる方向に全力で向かっているのである!(納得)
したがって ここからが重要だが アメリカにとって
「お前もオレたちの仲間(子分)だな!よう兄弟!」と思ってもらうのか
「てめえは反米なのか。仲間じゃねえな!」と思われてしまうのか
が運命の分かれ道になっているのである(納得)
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さて、ヨーロッパ人もアメリカ人も共通の発想として「ルールやしくみを作りたがる」「筋書きを書きたがる」というのは明白である。
たとえばヨーロッパ人は、「いきなり環境保全だぜ」とか「いきなりEVだぜ」とかをいきなり打ち出して、自分たちに都合のいいルールに変更するのが大好きだ。
オリンピックのルールなんか、毎回ヨーロッパ以外の特定の国が勝ってしまうとすぐルール変更するので有名だが、いかんせんルールを変えるのは好きだが、実力が伴っているわけではないのでコロコロ主張が変わる。
移民政策などもまったく同じで
「人類みな兄弟!移民を助けましょう!」とか言い出したかと思えば、手のひらを返したように「やっぱり間違いだったわ」
と、まさにいまヨーロッパは大混乱に陥っている。
その意味では、ヨーロッパ人は「聖書史観から来た理想的価値観(イデアの世界)」が大好きで、すぐそっちに寄ってゆくが、現実に打ちのめされるのが常なのだ。
ところが、アメリカは、そこだけはヨーロッパとは大きく違う。
現実主義
なのである。
あまり理想や理念、イデアの世界に引っ張られず、諜報機関という目と耳を最大活用して、「いま世界で何が起きていて、どこをどうすれば自分たちに有利になるか」を常に計算し続けている。リアルタイム演算である。
その意味では理念に惑わされているヨーロッパ勢よりも、はるかに「賢い」とも言える。
これがプラグマティズムだ!
(プラグマティズム=実用主義とは、「何が真実か」を「実際に役に立つか」「行動の結果どうなるか」で判断する思想で、19世紀末アメリカで発展し、チャールズ・パース、ウィリアム・ジェームズ、ジョン・デューイらが代表的です。理論や観念だけでなく、実践と経験を通して得られる効果や利益を重視する)
まあ、このように「世界中から”オレ”たちの好きなようにやれるぜ」という人間が集まってくるのがアメリカなので、そしてまたその「好きなようにやれるぜという自由」を看板に掲げている国でもあるので、そりゃあ世界の叡智はおのずとアメリカに引き寄せられるのは わかる。
勘違いしてはいけないのは、ドナルド・トランプという男は、実は「そうしたアメリカイズムの象徴」みたいな人物であるだけで、トランプが「ヤバい」のではなく、アメリカそのものがそういう国なのだ、ということである。
だからトランプは何度でも蘇るさ。なのだ。
仮にあの男の寿命が来ても、第二・第三のトランプ的人間は、何度でも現れる。なぜなら、表面上の象徴としての大統領だが、その後ろにもアメリカ国家の「すべての脚本を書いているシナリオライター」は無限・無数にいるからだ。
結論だが、とりあえず現生人類が生きている間は、しばらくアメリカに勝てそうにはない。うまく付き合ってゆくしかなさそうだ。
■ 地政学的にアメリカが「やられる」ことがほぼない
■ 資源、めっちゃある。
■ 自由・平等・博愛を表向き謳っている(中身はちょっとズレてる)
■ トランプは何度でも蘇る
■ シナリオを書ける知性は、世界中から集まってくる
逆に言えば、西洋的リベラリズムを表向き謳っている以上、アメリカを滅ぼす大義もないのだ。
別に独裁でもないし、人民を抑圧しているわけでもない。ただちょっと自国ファーストなだけで、世界の共通認識である「西洋リベラリズム」的思想に「反している」わけでもない。
逆にそれ以外の大国を見回してみても
■ 覇権的・帝国主義的・領土拡大野望型国家
■ 抑圧的・弾圧的・制限主義的国家
ばかりで、どうにもアメリカのほうがマシではある。
この現実を目の当たりにした時、我々はアメリカ的「オレたち」の方向性をチョイチョイとつついて軌道修正してやることくらいしかできないこともわかる。
逆に言えば、そこをうまくコントロールし続けることが、世界平和への道なのかもしれない。
あと、独裁国家、専制国家、抑圧国家、やめとけ。アメリカには勝てん。無理だ。うまくやれ。ガチでうまいこと立ち回れ。それしかない。
了
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