(第1話) 18年間の保護猫活動一時終了!はじまりは「宙子」という名の猫だった
18年前、私は保護猫活動を始めた。
……と言っても、最初から「活動家になろう」なんて志があったわけじゃない。
するつもりなんて、さらさらなかったのに、最初の一匹との出会いが、私の人生をそちら側へ連れて行ってしまったのだ。
ただの自己満足のエサやりから、
TNR・保護猫譲渡までの
その18年間で出会った猫さん達についてお話ししようと思います
私のマラソンはまだ走り出してもいないけれど(笑)
先日、18年間の保護活動が
私の中でひと段落したので
一人がむしゃらに走り続けた
18年の軌跡を、まずはここに書き留めておきたく久しぶりに、noteのアプリを開いた。
当時、我が家には姉の飼い猫である「コタロウ」がいた。

実際、始めての猫がコタロウになるんだけど。
猫がいる家には、野良猫が集まるのと聞いたとこがある。
「あそこには猫好きがいるぞ」と、
猫の勘でわかるのだろうか。
朝4時の野良猫会議で、噂でも流れているのだろうか。
そんなことをぼんやり考えていたある日。
突然、キジ柄とサビ柄が混ざったような、不思議な柄の猫が玄関前にちょこんと座っていた。
宇宙人のような「宙子」との出会い
その猫は、ガリガリに痩せこけていた。
あまりの細さに目玉だけが飛び出しているように見え、まるで宇宙人のようだった。
私は、その子を「宙子(ちゅうこ)」と名付けた。
当時の私は、愛犬を連れて東京から帰ってきたばかり。
コタロウの愛嬌ある顔や仕草は好きだったけれど、猫そのものには、まだそれほど興味がなかった。
けれど、こんなに痩せて目の前でお腹を空かせているであろう猫をほってはおけなかった
家にはコタロウのご飯しかない。
私は姉の目を盗んで、こっそりカリカリを差し出した。
ガツガツと、音を立てて食らいつく宙子。
その姿を見ながら、私は初めて
「野良猫」という存在に思いを馳せた。
今までどんな風に生きてきたんだろう。
どこで寝ていたんだろう。
それから毎日、宙子はやって来るようになった。
ふらっと来て、食べて、水を飲み、
また去っていく。
「猫って気まぐれ」というけれど
こういうことなのかな
なんて思っていた。
いつもベッタリと甘えてくる犬とは
全く違う距離感だった。
背中の皮が剥がれた宙子
そんな日常が続いていたある日
宙子がとんでもない姿で現れた。
背中の皮が、半分剥がれたまま我が家にやって来た!
ケンカなのか虐待なのか
そんな事を考える暇も無く猫が好きとか嫌いとか、そんなことを言っている場合でもなかった。
必死で抵抗し、引っ掻いてくる宙子を強引にダンボールへ押し込み
近くの動物病院へ駆け込んだ。
幸い、軽い感染症はあるものの
縫合と抗生剤の注射で済んだ。
「野良猫さんだから仕方ないね。
……もしできるなら、お家に入れてあげてよ」
獣医さんにそう告げられたが、
当時の私はまだ 猫を家族に迎える決心がつかなかった。
けれど、その日から宙子は私の足元まで寄ってくるようになった。
処方された塗り薬を塗り、ガーゼを当てて、胴体に包帯をぐるぐる巻きにする。
腹巻をしている様な姿になった宙子は、嫌がる素振りも見せず、またどこかへと出かけていった。
小さな街の噂と、消えた影
私はドラッグストアで包帯を買い足し、少しでも栄養がつくようにと高カロリーのフードを用意した。
傷がすっかり良くなり宙子が宇宙人ではなく、猫らしいふくよかな姿になった頃、お腹がふっくらしてきていることに気づいた。
同時期、近所の商店のママさんが
治療のお礼を言いに我が家へやってきた。
宙子はその商店で寝泊まりしていたらしい。
小さな街では、そんな出来事もあっという間に広まっていく。
なら何故、宙子はあんなに痩せていたんだろう?何故あんな酷い傷がそのままだったんだろ?と、ひとつ疑問が湧いた
やがて、宙子のお腹ははちきれんばかりに大きくなり
ある日 ぱったりと姿を見せなくなった。
猫についてあまりにも無知だった私の頭の中を、不安がぐるぐると駆け巡る。
しばらくして、宙子がママがいる商店の中で出産したという話を聞いた。
けれど、出産しきれず、商店の前でぐったりしていたという。
ママさんが店の外に敷いてあげた座布団は、真っ赤に染まっていたそうだ。
病院へ連れて行かれることもなく
翌日、宙子は姿を消した。
それから一度も宙子の姿を見ることは無かった。
後日、耳にした話がある。
宙子がいた商店のママさんは感情の起伏が激しく
宙子を可愛がる日もあれば
雨が降っていても冷たく突き放して店に入れない日もあったそうだ。
あの日、玄関前に座っていた宙子の姿が、今も想像の中で脳裏に焼き付いている。
彼女は助けを求めていたのか
それとも、ただ安らげる場所を探していたのか。
私は思う。
感情の起伏にまかせて命を扱う人は、動物と接するべきではない。
人間の気まぐれに、言葉を持たない動物たちは抗うことができないのだから。
なら、ご飯を食べさせ
傷を治した私自身もまた
野良猫の世界では中途半端な手助けだったのだろうか?
宙子との出会いが
私の「18年」という長い物語の
あまりにも切ないプロローグとなった。
18年経った今の私なら
あの時の宙子をどうしただろうか?
