#2 コーヒー味のラッキョウ
試験に間に合わなくて絶望。一応行ってみたものの、受付時間が過ぎておりますので…とのこと。 そりゃそうだ。行きに息を切らしながらすれ違った警備員さんの横を通るのが気まずい。自分しか悪くないから嫌になるね。
せっかくドニチエコきっぷを買ったのだから、気になっていた少し遠い古本カフェにでも行こうとか考え始めてる自分に少しうんざりもする。
地下鉄に乗って、目的地までブックマークしておいた読書垢さんたちのポストを見ながら、何度もホームボタンをダブルタップしてブクログを開きながら「読みたい」に切り替える。
気になっていたカフェは道路よりも低い位置にあって、階段をトツトツと降りていく。
メニューに金木犀茶HOTと書いてあるのを見て、なんだか興味が湧いて頼んでみる。怖そうなおじさんだ。
急須、湯のみ、ピーナッツが出てきて、周りのお客さんからチョコレートのつぶをもらう。お姉さんもどうぞ、その言葉が本当に暖かくてなんだか泣きそうになる。何も持っていなくて不甲斐ない。それを見ていたまた別のお客さんがじゃがりこサラダ味を一掴みピーナッツの皿に入れてくれた。また不甲斐なくなる。
お礼のあとに私、なにも持っていなくて、と伝えると店主のおじさんがそれでいいじゃないか、この人たちそうやってしかコミュニケーション取れないだけだから気にしないで、と声をかけてくれた。なんだ、一見さんお断り、みたいな雰囲気かと勘違いしていた。ごめんなさい。
店主は、「昔ね、この人にラッキョウをもらったんだよ、そしたら汁が茶色くてね、なんでだかわかる?」と声をかけてくれた。じゃがりこのお姉さんは、くすりと笑っている。「忘れもしない、ネスカフェゴールドブレンドの瓶に入れられていて、洗い残しがあって、酸っぱいコーヒー味のラッキョウだったんだよ!」店内がケタケタと笑う声に包まれた。私も笑った。
「この話、一生言ってやる」そんな店主の笑いが優しくて、心地よかった。背中をさすってもらった気分だ。お姉さんはガハガハ笑っていた。
「どんなんでも生きていけるから大丈夫だよ」
