紙の本と紙の本と紙の本|文学フリマ東京にはじめて行った日
紙の本が好きだ。
今日まで続く紙の本との付き合いが長過ぎて、電子書籍を読めないほどに。
紙の本が好きだと言いながら、noteをはじめるまで文学フリマのことをよく知らなかった。
文フリ関連の記事をいくつも読むたびに、行ってみたいという思いが募っていた。
そしてよく晴れた5月の日曜日、ついに文学フリマ東京40は開催された。

東京ビッグサイト!

はじめての東京ビッグサイト
ずいぶん早く到着してしまった会場で、最初に目にしたのは大勢の出店者の列だった。
スーツケースや大きな荷物を持ってスタンバイしている方々を眺めながら、ああ、あの鞄の中には書いて刷って製本した紙の本がたくさん詰まっているのだなあと密かに胸を熱くした。

しばらく待つと、一般入場者も案内されて列が作られた。
ただ並んでいるだけなのにこんなに楽しいのはテーマパーク以来だと、やっと文フリに来られたうれしさと期待に笑いが込み上げてくる。
受付は時間通りに開場し、引き換えたチケットを手首に巻く。
展示場へ向かう足はひとりでに早くなった。
ホール内へ入ると出店準備の様子が見える。
その手前のエリアで、開始時間まで列になってまた待つことになった。
さすがに早く来過ぎたかと思いきや、後ろに延々と長くなっていく行列を見て、これは確実に欲しい本が買えるポジションにいるのではと考えることにした。
そして事務局からのアナウンスで、今回の東京40が文学フリマ通算100回目(全国通算、中止を含まず)であることが告げられる。
おおー、というざわめきと拍手がおこる。
こういうちょっとした仲間感がいい。
続いてスタートのコールがかかると、またひとしきり拍手をしていよいよ開いたゲートから入場である。
最初に行ってきっと手に入れようと思っていた本を目指して、活版とデザインの工房「まんまる◯」さんのブースを探す。
確かにこの場所なのだが品物がひとつも見当たらない?と思ったら、まんまるさんらしきおふたりの姿が。
「まんまるさん、ですよね」
と小さく声をかけると、返事をしてくれた女性は
「あ!」と言って、あなたを知っているかもという顔をした。
(そう、実はお会いするのは2度目なのである)
「ちょっと高速の道を間違えまして。あと15分くらいかかると思います」
とのことで、忙しそうなまんまるさんにはまた来ますと言って試し読みコーナーへ向かった。
街中のお店を歩きながら眺めるように、ブースを端から順に見ていこうとも思ったのだが、そこには当然もれなく作者の方がいらっしゃる。
声をかけてもらったり、丁寧に説明してくれたりすると、せっかくのお手製の作品たちをちょっとだけ見て立ち去るというのが難しい。
広い広い会場であれもこれも見たいという迷子にならないためにも、試し読みコーナーはとてもありがたかった。
はじめての文フリで出会ってお迎えした本たち
詩人 あわやまりさんの四行詩

(タテ84×ヨコ150mm)
購入したのは最新作の3冊目
「からっぽの
ところに
すわった
四行」
③

はしゃぐことも
沈むこともなく
おだやかな表現

同じことを考えていたと言いたくなるような
「quatrain」は、4行のみで作られた四行詩(四行連詩)を指す。ヨーロッパの詩の中で最も一般的なスタンザ形式である。押韻構成は「aabb」「abab」「abba」「abcb」などでなる。

文フリはじめてのお買物
4行詩の形式に興味がわく
ピピのアトリエ 楠みうみさんの豆本

豆本の出品はいくつかあったのだが
この「DRAGON'S TEARS」にひと目惚れ

オリジナルの星座の物語を作っているとの話を聞く
12星座まであと2つの10種類が発売中
どの物語も絵柄も魅力的で長居してしまった

長くしまい込まれていたかのようにしわが寄る
実は紅茶で染めたのだという種明かし
しおりまで付いている!と
物語を読む前にひとしきり盛り上がる

中は布?のような紙?にまた印刷が
あのサイズをあんなに何冊も何冊も
気が遠くなるくらいの手作りの宇宙

再びまんまる◯さんにおじゃますると、数人のお客さんが集まっていた。
購入するものが決まっていたのですぐにお会計していただく。
昨年の年末に、荒川区にある活版印刷工房でのイベントにおじゃましていたことを思いきって伝えてみる。
「あのう、年末のイベントに行きまして」
「そうですよね、お会いしたことがあると思いました」
(すごい、覚えているなんて)
お目当ての出来たて刷りたてほやほやの本「やまなし」を受け取る。
ありがとうございましたとお互いに言って、ふわふわした心地でブースをあとにした。
活版とデザインの工房「まんまる◯」さん

前例右から3番目の白いカードは
いつも絵を描く机の上に置いている
「注文の多い料理店」の序を刷ったもの

教科書で出会うことの多い
宮沢賢治の童話である

金属の版をひと文字ひと文字ずつ並べて
ぎゅうっと刷られたかすかな凹凸の影を
厚みのある白い紙の上で確かめるのだ

表から透かすとクラムボムの見える
水の流れを思わせるように映る

もし名刺を作るときにはきっと
まんまるさんにお願いするのだ

ごった返す人混みを想像して身構えていたが
熱気はありつつも換気や通路幅も快適だった
出店者のみなさま
主催者・スタッフのみなさま
ありがとうございました!
お疲れさまでした!!

残念ながら休航中

夕方近くにケーク・サレのランチ
はじめての文学フリマは大人たちの(高校生や親子での出店者の方も)本気の大文化祭のようで、心踊る1日を過ごすことができた。
創る人びとと、それを包み込むくらいのパワーを持って集まったお客さんたちが合わさって、うれしい楽しい、明るい波のような空気があちこちでうまれていた。
作品を紙の本にするってすばらしい。
それをじかに会って言葉を交わし、手に取ってもらう文学フリマは、本たちのステージのようだった。
何でもデジタルの時代だからこそ、1ページずつ紙をめくって物語を綴るように、ずっとずっと続いてほしいと強く思う。
もちろん自分でも本を作ってみたくなった。
けれど、あの大きな会場であんなにたくさんの人たちの中に飛び込むには勇気がいる。
作品を挟んで、見知らぬ誰かと話をするなんて。
ひとまず、室内でかけていてもいい感じのおしゃれサングラスが必要だなあと思うのだった。
いや本を売るかどうかは別にして、サングラスの前にうちにある複合機より性能のいいスキャナーを買うことにしよう。
そうしてきっと、紙の本を作ってみるのだ。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
思いのカケラが届きますように。