長い年月という名前の場所へ annorum |お散歩カフェ
annorumというのは、「長い年月」というラテン語なのだそうだ。
賑やかな雷門のある浅草寺を過ぎて北へ進んで行くと奥浅草という静かな住宅街がある。
観音様の後ろにあるので観音裏とも呼ばれるそのエリアには、古民家カフェなどの小さなお店が点在している。
ZINEフェスの会場が浅草だったので、ずっと気になっていた奥浅草のカフェにも行くことにした。
アンティークの家具とデザイナーや作家の作品が並ぶ雑貨店「annorum」の2階に、同じ名前のカフェがオープンしたのは2年ほど前のこと。
当時の雑誌で新しいお店紹介の写真を見て、これは行かなければと感じたのを覚えている。

浅草寺の人混みを抜けて地図を見ながら歩く

多分ここで合っているのだが
この扉は使われていないよう

ふたりのスタッフが現れて
自転車、ベンチ、看板、壺などの
大小の道具を並べて舞台を整える

扉を開けてみよう

頭に木を生やした野菜のような
不思議なものが描かれている
外の眩しい天気とは別世界のような静かな店内を、スタッフの後について進んで行く。
窓のガラスを通したやわらかな光の中にシンプルだが味わいのある洋服や革靴、鞄や焼き物が並んでいた。
薄暗いので目が慣れずにメニューの小さな文字が滲んだ。
どうにかオーダーをして2階へ上がる前に、どの席に座ってもよいが、立ち上がっての写真撮影はしないようにと告げられた。



自分の足音がやけに響く


塗装を剥がした無垢の状態でどれも販売されている


3分の1をたたんで壁に向かうテーブルは
席に着いた人々を親密にするだろう

古時計のような装飾で後ろ姿は三角形

真鍮と思われる取っ手が美しい縦長の木枠窓
ひとりで過ごすのにちょうどよい広さのテーブル
流れてくる音楽は穏やかなピアノ曲
何もかもが完璧に思えるこの席を選ぼう

カフェオレ 蕪木ブレンド
ガトーブルトン

フランス菓子
しっかりした生地は
小麦粉、卵、ミルク、バターに
おいしい魔法をかけたやさしい味

こんな所にキミがいたことに
気がつけてよかった
カフェオレを飲み終える頃、2階に上がってきたもうひとりのお客さんはなかなか席に着かず、しゃがんだりして椅子を後ろから眺めていた。
アンティークものの50年や100年と言えば人の一生くらいの時間である。
ヨーロッパの名もない職人が作ったかもしれない1脚の椅子には、いったい何人の人が座ったことだろう。
彼らはおいしいものを食べて笑ったろうか、もしくはひもじさに膝を抱えていたかもしれない。
長い年月を経て、思いがけず海を超えて奥浅草のカフェで過ごすことになろうとは。
使っていた誰かが過ごした時間の量を、家具というものはその身に纏っているように思える。
「長い時間」とはどんな感情とともにあったにせよ、遠く遠くから振り返ればいつかはきっと豊かな何かを感じられるものであるに違いないのだ。

小さなパン屋さん「粉花」を見つけた

ずっと来たかったことを忘れてしまうくらい
おそらく10年以上前に雑誌で見かけて
行ってみようと思っていたパン屋さんだった!

(それぞれに似合うお皿を選んでみた)
ウィーエンドケーキ
ショップカードと一緒に


丸パン
粉花のパンは
オーガニックレーズンとお水だけで育てた
自家製酵母と国産小麦でできている
噛むほどに甘みが広がる
毎日食べたくなるパン
そして後から知ったのだが、カフェannormのガトーブルトンを監修したのは、なんと粉花さんなのだった。
さらに蕪木ブレンドというコーヒーはカフェの空間をイメージして特別にブレンドされたもので、それを引き受けた蔵前にある「蕪木」というカフェを少し調べてみたところ、行かなくてはならないと思わせるものがあった。
✳︎
実は今日から憧れの方との同居が始まった。
人ではない、家具である。

ブラックチェリーの木で作られた無垢の食器棚を購入したのだ。
しばらくスマホの待ち受け写真であったこの家具は、週末だけオープンする清澄白河のお店に3年ほど置かれていた。
そのためかなりのお値引き価格だったのである。
無垢の家具は時間とともに色合いが変わり味わいが深くなる。
これから長い時間をうちで一緒に過ごしていくこの食器棚に、よく選んで器を並べたらまた家具の話を書きたいと思う。
よろしければその時にも、お付き合いいただけたらさいわいである。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
思いのカケラが届きますように。