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夜のカフェ・ギャラリーであの頃のZINEを懐かしむ


久しぶりに、正確には6年ぶりに会う友人ふたりと待ち合わせをした。
それぞれの仕事終わりに現地集合したのは、日暮里駅と千駄木駅の中間くらいにある古民家カフェHAGISOである。
ここのギャラリーで開催される「小さな声、小さな本」展に自分のZINE小さな本を出品することになり、誰に知らせようかと思ったときに浮かんだのが美大の同期であるAちゃんとYだった。


Aちゃんはとても気の合う高校の同級生で、ふたりともシンディ・ローパーが大好きだった。
美術の油絵でみんな同じ静物画を描いていても、Aちゃんの絵は誰とも違っていて、いつも特別だった。
絵の具のマチエールと言うのか、絵の肌が静かでゆったりしている感じがAちゃんその人を感じさせた。


Yとは大学のデザイン科で仲よくなった。
一緒に行動することはあまりなかったのに、やりたいことや行きたい場所の話をしていると計画が自然ともちあがり、はじめての海外旅行はYとロンドンへのふたり旅だった。
夜行列車で山陰を周ったのはYが絶対行きたいと言った出雲大社と、わたしが行きたかった萩と津和野をつなげたからだった。


自分の数少ない友人の中でこのふたりとは、実は過去に一緒にZINEを作ったことがあった。
もうずっと昔のことでZINEという呼び名は全く知らなかったのだけれど、Aちゃんとは高校生のときにモノクロのコピー本を一緒に作り、ふたりの名前に共通のひと文字をタイトルにした。
わたしはマンガを描いて、Aちゃんはミュシャみたいに美しいペン画を描いてくれた。
重ねて束ねた紙のはじを大きめのホチキスでガチャンと綴じた。中綴じとかではなく、学校のプリントか文集みたいに。
ホチキスを隠すため、本の背に黒い紙テープを貼った。
あれは確か自分たちのための2冊だけコピーしたのだったろうか。
楽しくてうれしくて、かっこいい黒い本が完成すると、学校帰りに喫茶店でケーキセットを注文して乾杯したものだった。


Yはコミケの常連で冊子を作っていたようだったが、一緒に作ることになったのはまたしてもモノクロのコピー誌だった。
同じデザイン科の数名に原稿を依頼して、集まったものを編集してコピーして、やはりホチキスで綴じた。
夏号の「半夏生」しか思い出せないのだが、季節の呼び名をタイトルにして季刊で4冊を確かに発行した。
本文はコピーだったが、表紙はデザインして色画用紙を切り貼りして一冊ずつ手作りした。
3人か4人でYの部屋に集まり、ちゃぶ台に紙を広げては本作りと装丁の遊びをむさぼるように楽しんでいたように思う。


HAGISOへ向かう途中の民家の前で思わず立ちどまる


KAZENONE BOOKさん主催
第2回「小さな声、小さな本」展


初日の様子


ふたりにプレゼントした「おやすみなさいの時間に」
(Aちゃんは購入もしてくれて2冊持ち帰ることに)

オールカラーの本文は印刷会社に依頼
表紙の絵を貼ったり手作りの帯をまく
ゆっくり味わった本作りのしあわせが
見えなくても本と一緒に届きますよう


本当に好きな人と友だちになりたい
そうしてずっと友だちでいられたら


しずかな夜の灯りが変わらず空にあるように


今回のイベントではランダムで
ポストカード1枚のおまけつき



どんなに長い間会っていなくても、再会すればのびていた時間がきゅっと縮むかのようで、「変わらないね!」なんて細かいことは傍に置いてあの頃をたぐり寄せ合う。

人気のクラフトビールが売り切れで
AちゃんとYは生ビールで乾杯
手前はわたしの“グリーンタイムレモネード”


ーあの頃は印刷は100冊頼まないと高くて高くてさ

ーやっぱり装丁が好きなんだよねえ

ーわかる!装丁でジャケ買いしちゃうんだよ


懐かしい記憶
仕事のこと
暮らしのこと
家族のことも少し
これからのことも

話の途中で
おもしろいねえって
しみじみ顔を見合わせる
それぞれに大変なことを抱えていても
愚痴なんてひとつも出てこない
3人だけの小さな同窓会


しゃべっていたらびっくりするほどあっという間に
ラストオーダーの時間になって
心に決めていたHAGISOパフェをお願いする
チョコとバナナの夜パフェは
とびきりのジェラートと焼き菓子が主役


今回6年ぶりに会ってはじめて知ったのだが、科は違えど同じ大学なのでてっきり友人同士なのだと思いこんでいたAちゃんとYは、こんな風に待ち合わせて食事をしたことはなかったらしい。


HAGISOに閉店近くまで居させてもらったあとも名残惜しく、そしてコーヒーが飲みたかったので3人で日暮里まで歩いて新しくできたスタバに寄った。
もっと頭がよかったら美大じゃなくて天文学をやりたかったとYが言うと、Aちゃんがブラックホールって怖くない?と言い出す。
日常にブラックホールを感じてるの?と驚くわたし。するとYがホワイトホールについて語り出す。
こんな調子で話は尽きなかったが、次は蔵前か清澄白河のカフェでも行こうと約束して別れた。


ふたりとはZINE(本そのものや物語や文字、紙やデザインなどいろいろな要素)でつながっている。
もうひとつは自分が好きだなあと思う人であるという共通点。
その人だけが持つ独特なリズムや、波のように現れる興味やインスピレーションが魅力的なのだ。
そこまで親しくはなかったものの、YとAちゃんはお互い気になる相手だったらしい。
何だか高校生の恋愛話みたいだけれど、これは大人の友情の話。
好きな人同士が友だちになるというのは本当にうれしくて、思いきって誘ってよかったなあと思い出を抱きしめたのだった。


夜のHAGISO
ごちそうさまでした
また乾杯しようね




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くまのマフィン ここまでお読みいただきありがとうございました。 思いのカケラが届きますように。

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