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普通の人が筑波サーキットで理系なアプローチをしてみたら、わずか10ヶ月間で1分23秒から1分3秒まで改善できた話

はじめまして。理系ライダーです。
バイクが好きな理系オタクです。

ある勘違いがきっかけで1000cc スーパースポーツバイクを購入してしまいました。そこからサーキット走行を始めますが簡単にはタイムが出せませんでした。

そこで得意の理系な考え方でアプローチを開始してみたところ、わずか10ヶ月間で1分23秒から1分3秒台まで20秒を改善することができました。

理系オタクの視点で安全により楽により速く1000cc スーパースポーツバイクに乗る「考え方」を記憶の限り共有していきます。


間違えた。。。 これツアラーじゃない

20代の頃から趣味のバイクツーリングを楽しんできましたが年齢的に始まった体力の低下をきっかけに、荷物積載ができて風が当たらず楽らく移動のツアラーバイクに乗り換えを決断しました。

ハーレー・ダビッドソンを数台乗り継いてきましたが、日本人の体格に合った国産車を検討して手に入れたバイクはKawasakiが誇るスーパースポーツバイク、まさかの ZX10R でした 笑

初めての国産バイク。大きなウィンドシールドで高速道路の移動が楽そう🎵 という勝手な思い込みでうっかり選んでしまった1000cc スーパースポーツバイク(SSバイク)。

身長160cmと中学1年生の平均身長しかない私はつま先ツンツンで前傾姿勢はかなりキツく荷物も乗りません。

比較的乗りやすいSSバイクとはディーラーの営業さんはおっしゃっていましたが公道での乗り心地はお世辞にも楽ではなかったです。

でも、そんな悩みはリッターSSバイクの加速っっっっっっっっっを味わった瞬間に消えていきます。

赤信号で止まる度に次の加速っっっっっっっっっをワクワクしながら待ちました。

その後色々な化け物級のスポーツカーにも乗りましたがリッターSSバイクの加速を超えたことは未だにありません(断言!)

そうだ!サーキットに行こう

夜な夜なバイクに乗っては加速っっっっっっっっっを繰り返すこと数日間。公道の法定速度の中だけで遊ぶには勿体無い乗り物だと気がつきました。

ネットでいろいろ調べてヘルメット・ツナギ・グローブ・ブーツ・プロテクタを揃えて筑波サーキットのライセンスを取得しました。

子供の頃プレイステーションのGran Turismoというゲームでは何度も走ったことがあり馴染みがあるサーキットです。

主にツーリングですが20年以上のバイク歴があってゲームのおかげでコースレイアウトも覚えていています。

よくわからない自信を胸に挑んだ初めての筑波サーキットのベストタイムは残念ながら1分23秒でした(涙)

そして悟りました。とんでもなく速いバイクを手に入れたけど、私にはバイクを速く走らせる知識がないのだと。

250ccのバイクに置き去りに

バイクには16歳から乗っていましたので多少は自信があったのですが、そんな自信はサーキット走行の初日にきれいに吹き飛ばされてしまいました(笑)

サーキットのコーナーは峠道とは全く違う曲がり方でした。

ストレートではスーパースポーツバイクのエンジンパワーのおかげでアクセルを開ければ簡単に追いつく事ができますが、コーナーリングで曲がり方を知らなかった私はどんどん置き去りにされてしまいます。

その日は追い越し禁止の先導付きの走行(初心者向けの走行枠です)で私の前を走っていたのはKawasaki Ninja 250ccの女性ライダーさんでした。

そのライダーさんはコーナーを膝を擦りながら綺麗に旋回していきます。

公道の走り方しか知らない私はコーナーの手前で十分に速度を落としてからコーナーに入って行きます。これでは交差点の進入と同じです(笑)

するとコーナーの真ん中あたりでバイクが遅くなりすぎてしまい、アクセルを開けて閉じてを繰り返しながらコーナーを進んでいました。

コーナーから脱出する頃には前を走るライダーさんは遥か先に進んでしまっていました。

公道とサーキットではバイクの乗り方が違います

今だからはっきり言えますが、公道で速く走れる人でもサーキットではそこまで速くないです。

速度域が違います
ブレーキの使い方が違います
そもそも公道とサーキットでは多くの条件が違います

逆も同じく、サーキットで速い人が必ずしも公道で速い訳ではないのです。

公道でいくら自信があったとしても全く別のスポーツですので応用は効きますが新たに学習が必要でした。

バイクをなんとなく傾けて、アクセルをなんとなく開けて、ブレーキをなんとなくかけてきただけ。

サーキットではその "なんとなく" が通用しません。

バイクを速く走らせる理屈が理解できないとタイムを改善することもできません。

使ったガソリンとタイヤの数だけ速くなる、なんて言う方もいましたがそれではお金と時間がいくらあっても足りません

物理オタクとしては、(バイクを速く走らせる)現象の背後にある法則を理解したい。

バイクの挙動も物理現象なら必ず理論で説明できるはず。
そして私の約10ヶ月間のキャッチアンドトライが始まりました。

わずか10ヶ月間で20秒間も短縮させた考え方とは?

お金と時間が無制限ならばサーキットに何年も通い続けるだけでもリッターSSバイクでそこそこ速く走れるようになると思います。

筑波サーキットの最初の壁と言われるタイムの1分10秒切りはサーキットに慣れれば "なんとなく" でもそのうち達成できると思います。

ですが、そこからさらにタイムを縮めていくのは苦労と努力の連続です。

家族と過ごす時間を大切にしている私にはひとり遊びの時間は限られていましたしサーキット走行の経験もありませんでした。

そこで1年以内1分3秒を達成する目標(ゴール)を作りました。

私の場合はYouTubeで参考にしていた動画が1分3秒台でB枠を走っていたので目標を3秒と決めましたが、5秒でも7秒でも10秒でも何秒でも良いのでまずはあなたのゴールを作ってください。

ベストタイム推移の履歴

なんとなく走っていた最初の7ヶ月間はどうしても1分10秒が切れませんでした。

2月 1分23秒台 (250ccに置き去り事件)
3月 1分20秒台 
4月 1分18秒台 
5月 1分16秒台 
6月 1分15秒台 
7月 1分12秒台 
8月 1分10秒台 
9月 1分6秒台 (ここから理系の乗り方を始めました)
10月 1分4秒台
11月 1分3秒台達成!

その7ヶ月間はサーキットをバイクで走っているだけで満足してしまっていたのかもしれませんし、1000cc スーパースポーツバイクの正しい走らせ方を理解していなかったのだと思います。

いろいろなパーツにも課金しまくっていましたがはっきりと効果を感じられたパーツはタイヤスプロケだけでした。

サーキット走行で重要な考え方の優先順位

様々な人種がいて本当に楽しいサーキットですがサーキットにいる間は、できる限りいろいろなライダーさんたちとお話をさせていただきました。

サーキットでの走行日はかなり忙しく皆さんドタバタしている事が多く本当に申し訳ないと思いましたが、どんなスポーツの世界でも経験者のお話からヒントを得るほど上達の近道はないと思っています。

その中でとっても興味深いのが下記の優先順位です。

数年間サーキットを走っていて良いタイムが出ない人の考え方の優先順位は下記の方が多かったです。

肘すり > 膝すり > パーツ > セッティング > 基礎技術 > 考え方

肘(ひじ)すりは極端ですが、膝(ひざ)すりをすればするほど速く走れると考えているライダーさんはとっても多かった印象です。

いっぽう、私が考える優先順位は次の順です。

考え方 > 基礎技術 > セッティング > パーツ > 膝すり > 肘すり

小柄な私には肘すりなんてできる気がしませんが最下位に入れておきました(笑)

私たち一般ライダーは、肘すりはパフォーマンス(曲芸)と考えて良いと思います。

もちろん足の長さにもよりますが、極端な言い方をすれば1000cc スーパースポーツバイクにとっては極度の膝すりはタイムロスと考えています。

根性論派はリスクを背負うだけです

公道とサーキットの違いとは?

一般のライダーがサーキットでタイムを削ると聞いて最初にイメージするのはこの2つではないでしょうか?

・コーナーは肘(ひじ)を擦るほどまでバイクを寝かせろ!
・ブレーキをギリギリまで我慢!

私も最初はこの考え方でしたが先に感想を述べると "危険すぎる" です。

ライバルがいるプロの世界では状況によっては必要なアクションかもしれませんが、私たち一般ライダーが趣味の世界でこれを毎回やっていてはリスクしかありませんよね?

サーキットで転倒するとバイクは廃車になることもありますし怪我をすることもあります。

修理費は数十万円からかかりますし、大きな怪我をすると1年以上バイクに乗れない事もあります。

危険な方法でタイムを削っていてはお金も時間も命も絶対に足りないのです。怪我が治ったとしてもサーキットに復帰するにはかなりの勇気が必要ですから。

筑波サーキットにはR枠(Rクラス)という認定されたライダーしか走れないクラスがあります。

時間があれば見学してみてください。
失礼な表現になりますが、私のような若くない年齢層以上の方々がほとんどです。

これが答えのひとつだと思います。

サーキットで転倒した人の大半は数年で別の趣味に転向してしまいますが、このRクラスの方々は無駄なリスクを背負わないで速く走る方法を知っているから長い間サーキット走行を楽しんでいるのです。

この無駄なリスクを背負わないで走る方法は、この後の「遅くすることで速くなる」というパラドックスをご覧ください。

まずは安全に遊ぶためのタイヤ選びから

まずは安全確保から!

バイクでサーキット遊びを続けるために最も大切なことは転ばずに帰る事です。

「転ばないと上達しない」なんて話をどこかがで聞きましたが、それは小型バイクの話だと思います。

私たちが乗っているバイクは1台200万円からのスーパースポーツバイクです。ドイツ・イタリア製などの外国バイクになると500万円近くなります。

最近の物価高騰で修理パーツも非常に高くなっています。

最終コーナーで転倒した場合は最悪一発で廃車です。軽い転倒でも場合によっては数十万円の修理代がかかってきます。

サーキットを安全に走るための改善はいくつかありますが間違いなく費用対効果の一番高いパーツはタイヤです。

タイヤは安全に直結します

タイヤ前後セット
約6万円~8万円 (走り方にもよりますが、1分5秒程度で走行している場合でも2時間~4時間は持ちます)

転倒&修理
約10万円 〜 廃車

最近のSSバイクは最初からそれなりのスポーツタイヤを履いていますが、サーキット走行となると話は別です。

数万円のタイヤを節約した為に転倒して修理代が80万円かかった、、、残念ながらサーキットあるあるです。

タイヤだはケチらず交換しましょう。

スポーツタイヤとは?

バイクが転ばずに走れるかどうかは物理学の「摩擦力」という力で決まります。タイヤが路面を掴む力(グリップ力)は、次の式で表せます。

最大グリップ力 = 摩擦係数(μ) x バイクの重さ

ここで重要なのが 摩擦係数(μ) です。これはタイヤと路面の 滑りにくさ を表す数値です。

ツーリングタイヤの摩擦係数 約0.8〜1.0
スポーツタイヤの摩擦係数 約1.2〜1.5

例えば同じ200kgのバイクでも、ライダー(70kg)を含めた総重量270kgで計算するとタイヤが違えば下記の差が生まれます。

ツーリングタイヤの場合
横方向に最大240キロ程度の力まで耐えられる(摩擦係数μ=0.9)

スポーツタイヤの場合
横方向に最大320キロ程度の力まで耐えられる(摩擦係数μ=1.2)

差は約80kg重(約30%の向上)

ツーリングタイヤとスポーツタイヤでは安全マージンが違います。
コーナーを旋回している間バイクには外側に引っ張られる力「遠心力」が働きます。

この遠心力がタイヤのグリップ力を超えた瞬間に転倒します。

特に筑波サーキットの最終コーナーは速度が高いため遠心力も大きくなります。グリップ力の上限値を上げておくことが転倒を防ぐ最も確実な方法なのです。

どんなタイヤがある?

きっとトランポを持っていない自走ライダーさんもいると思いますのでウォーマーが要らないタイヤをも紹介していきます。

どのタイヤを買えば良いかわからないライダーにはピレリのスーパーコルサSPをお勧めします。

その他ブリヂストンのS22、S23バトラックスもサーキットでは使いやすいと思います。

トランポを持っているライダーさんはタイヤウォーマーを使う前提となりますが、ピレリのスーパーコルサSC1をお勧めします。

こちらは公道も走れるハイグリップタイヤという位置付けです。

私はV3をメインで使っていました。その後V4が発売されましたがレースタイヤの様に温度管理が必要な印象です。

タイヤの温度管理に自信がない方は在庫がある限りはV3をお勧めします。
もうV3の在庫はほぼ存在しないようです。温度管理に注視してグリップ最強のV4で行きましょう。

まずはグリップの物理的限界値を上げることから始めていきましょう。

物理的限界値を上げる方法はタイヤのみ

タイムを上げるにはレコードラインの記憶から

まず最初はレコードラインの完全学習をおすすめします。

筑波サーキットを走り始めたら最初にレコードラインを無意識に走れるくらい頭に叩き込みましょう。これなら自宅で練習できます。

YouTubeでプロのライダーがノーマル車両(そしてノーマルタイヤ!)で筑波サーキットを走っている有名な動画があります。

私はこの動画を何度も見てレコードラインを覚えていきました。
再生回数が異常な数値なので何度も見直してたのは私だけではないですね😄

注意点として、この動画のSUZUKIのバイクはノーマル車両です。当然タイヤも新車で買った時についてるただのハイグリップタイヤです。スパコルなどのスポーツタイヤではないのでご注意ください。

ただの偶然ですが、このプロライダーさんと一緒の走行枠を走る機会がありました。本当にラッキーでした☺️

しかもスタートライン直後で追い越されたため(一般人の走行枠ではこんなところで追い越されたことはなかったです。。。)YouTubeで見ていた架空の先生が目の前に現れた感覚です。

この動画のレコードラインを頭に焼き付けていた私が必死で追走しましたが、スポーツタイヤ(発売されたばかりのスパコルV4だったと思います)を装着したレーシングマシン(電子制御なしのモンスターマシン)に乗った彼は凄まじく速く、私が追走できたのは残念ながらダンロップあたりまででしたが、この動画とは全く違うラインを走行していました。

上記の動画では、あくまでもノーマルマシン&ノーマルタイヤで安全マージンいっぱいの走行ラインなんだと思います。

私のようにこの動画で筑波の走行ラインを覚えたライダーさんはたくさんいると思いますが既に3秒台に入ったライダーさんたちはこの走行ラインを忘れて次の次元の走行ラインを探した方が良いと思っています。

後日知りましたが、その日のプロライダーさんのベストタイムは56秒台だったようです(@_@) 半周で置いてかれたのも納得しました。

かんたんに体感速度を下げる方法とは?

一般的に人は体感速度が上がると怖さが増えていきます。
その怖さに対して防衛本能が働きスピードが出せなくなります。

角速度 ω = v/r

  • v:実際の速度(一定)

  • r:見ている対象までの距離

  • ω:視野を通り過ぎる角速度(体感速度)

まずは試してみましょう

お友達が運転する車(危険ですのでご自身が運転中はやらないで下さいね)で高速道路を走っている時に横の中央分離帯を見つめてみてください。

実際の車の速度より速く感じる筈です。

今度は逆に遠くの山などの景色を見つめてみてください。

実際の車の速度よりゆっくりに感じる筈です。

見ている景色によって速さの違いを感じます。
この原理を利用して体感スピードを下げて怖さを減らすことができます。

怖さを減らすには?

時速100キロ(秒速28m/秒)で目線が下がっている (3メートル先を見ている)場合

角速度 ω = v ÷ r
ω = 28m/秒 ÷ 3m
ω = 約9.3ラジアン/秒

時速100キロ(秒速28m/秒)で目線が上がっている (50メートル先を見ている)場合

角速度 ω = v ÷ r
ω = 28m/秒 ÷ 50m
ω = 約0.56ラジアン/秒

数値を単純に比較すると 9.3 ➗ 0.56 = 約16.6倍 の差があります。
簡単にいうと50メートル先を見ている場合は3メール先を見ているより16倍もゆっくりに感じるということです。

目線が下がると体感スピードが上がり怖さ増えていきます。怖さが出てくると防衛本能が働きスピードを落としたくなります。

サーキット走行に慣れていないライダーさんはいつもの癖でメーターを見てしまう傾向があります。

公道では見たこともないスピードを表示しているメーターが気になる、ギアが何速に入っているか知りたい、走行モードを確認したい、など理由はそれぞれだと思います。

最近のバイクはメーターに色々な情報が表示されるのでメーターを見ない方が難しいと思います。

当然ですが、メーター周りを見ると目線は下がってしまいます。ハンドル周りの奥にぼんやり見えるアスファルトが凄まじい速さで動く景色が見えて怖さが増えてしまい、

その結果アクセルを開けきれない
ブレーキ開始が速くなる

などの速度低下に繋がってしまうのです。

追走(ひっぱり)を分析してみた

⚪︎⚪︎さんにひっぱってもらったらベストタイムが出た!なんて会話をサーキットではよく聞くと思います。

もちろん⚪︎⚪︎さんの走行ラインやブレーキングポイントを真似たおかげもあるとは思いますが、誰もが速いライダーの後を追いかけるだけでタイムが改善されるならなら苦労しません。

ではなぜでしょうか?

これもライダーの目線が上がるからだと考えています。常に前を走る⚪︎⚪︎さんのテールランプあたりを見続けて走行しているので自然に目線が上がっているはずです。

目線を上げる → 体感速度を下げる → 怖さが減る → アクセル全開時間が増える → タイムが上がる

目線を上げる事を意識するというよりは、メーター周りを見ない事を意識する方が簡単です。

ヘルメットのスクリーンの中に目線の高さの目印となるテープ(視界を遮らない程度に)を貼って強制的に目線を上げる方法もあります。

この正のスパイラルを意識してサーキットを走行するだけで確実にタイムを削ることができます。

ブレーキング技術について

サーキットを走り始めて最初に苦労したのがブレーキの使い方の違いでした。一般道では「コーナーに入る前に減速する」と習っていましたのでサーキット走行でもやはり「コーナに入る前に減速」してしまっていました。

この公道の常識がサーキットでは大きなタイムロスとなります。

公道ではコーナに入る前に減速

ブレーキ > 減速完了 -> コーナー進入 -> 旋回

サーキットではコーナの奥までフロントブレーキ

ブレーキ → コーナー進入しながらもブレーキ → 旋回途中までブレーキ

これはトレイルブレーキングというテクニックの一つです。

コーナー進入から身体をインに傾けた状態でコーナーの奥までフロントブレーキをかけ続けます。

同じ力でかけ続けるのではなくコーナーの奥に進むにつれてゆっくりフロントブレーキを緩めていきます。

ブレーキング中に「タイヤを潰す」という言葉を聞いたことがあると思いますが、私たち一般ライダーは「フロントフォークを沈ませる」イメージを持った方がわかりやすいと思います。その結果タイヤは地面に押し付けられグリップが最大化されます。

このフロントフォークが縮んだ状態はバイクの車高も数センチ下がりバイクがとても曲がりやすい状態になっています。

バイクの車高が下がっているため膝を擦りやすい状態ですが、膝を擦ったらすぐ向き変えをしてください。

1分3秒あたりで走行している時には身長160センチの小柄な私でもコーナーでは膝を閉じていました。

足を開いているとすぐに膝が地面に当たってしまいそれ以上バイクを傾けることができなくなるからです。

先にも書きましたが、1000cc スパースポーツバイクでは「膝すりしている間はタイムロス」と考えてください。(身長180cmを超えるライダーさんは少し工夫が必要かもです。)

スポーツタイヤを履いている前提ですが、バイクのバンク角度は55-58度にとどめておく方が安全に遊べると思います。

それ以上の角度になると市販車のトラクションコントロールでは想定外になるためサポートしてくれないと考えた方が良いと思います。

そしてフロントブレーキを完全にリリースした直後のタイミングがバイクを旋回させやすい最高のタイミングです。

バイクに曲がるキッカケとなるフロントフォークが伸びる力を使ってできるだけ速くバイクの向きを変えていきます。

リアブレーキは必要?

リアブレーキについては色々意見が分かれると思いますが、1000cc スーパースポーツバイクではリスクが大きいという理由から私はリアブレーキは使っていませんでした。

私たち一般ライダーが使う必要はないと考えています。

このリアブレーキの話題はサーキットを走るライダーさんでは本当に意見が分かれる話題です。世界で戦っていた有名なプロライダーさんにこの件について直接質問させていただけるありがたい機会がありました。

このプロライダーさんも1000ccでは使わなくて良いとの回答でした。

リアブレーキを使わない代わりにフロントブレーキに全集中してください。

楽にアクセルを全開にする簡単な方法とは?

あなたは公道を走っている時にアクセル全開したことありますか?

この記事を読んでいただいているライダーさんたちは、サーキットに興味を持っているバイク上級者だと思いますので「ある」と答えた方が大半だと思います。

では、「アクセルを全開にした時間は何秒ですか?」と尋ねた場合の答えはどうでしょうか?

現実は恐らく1秒以下だと思います。

開けてるつもり。。。

たった1秒以下。。。それほど1000cc スーパースポーツバイクは異次元の加速をします。

公道では一瞬しか味わえないその強烈な加速っっっっっっっっっですが、筑波サーキットでは2ヘアから最終コーナーまでの間は4~5秒間ものその異次元の加速っっっっっっっっっを楽しむことができます。

ただし、現実はそんなに簡単ではありませんでした。。。

ハンドル周りにアクションカメラをつけて動画を撮影してみてわかりましたが自分ではアクセルを全開までしっかり開けているつもりでしたが実際はアクセルは全開になっていないことの方が多かったのです。

この経験から断言できますが、筑波サーキットを1000ccのスーパースポーツバイクで走っているライダーさんで1分10秒を切れない最大の理由はこれです。

意外と難しいアクセルスロットルの回し方

セパハン(セパレートハンドルバー)で前傾姿勢の状態では人間の身体の構造的に手首の可動領域が狭くなってアクセルを全開にするまで手首が回りません。

たかが1~2ミリと思うかもしれませんが大型スーパースポーツバイクのアクセルの最後1~2ミリは数十馬力のパワーロスが生じています。

このロスに気がついた後はかなり楽にタイムが改善されました。

筑波サーキットでは少なくとも下記の5か所の立ち上がりでアクセルを全開にできるため、例えば1か所につき1秒をロスしている場合は5秒の改善が見込めます。

1分15秒あたりで走っているライダーさんならアクセル全開を改善するだけで楽に10秒切りを狙える筈です。

・1コーナーの立ち上がり
・1ヘアの立ち上がり
・アジアの立ち上がり
・2ヘアの立ち上がり
・最終コーナーの立ち上がり

アクセル全開の改善方法として次の2つがあると思います。

A. コーナーの立ち上がりの直前までにアクセルを握り直して手首の可動範囲を増やす。

B. アクセル全開時は右手をグーの形ではなくパーの形にして右腕を後ろに引っ張るようにアクセルを全開にする。

A. の方法で改善できるなら簡単ですが、この後にくる異次元の加速を考えると怖さが勝ってしまいなかなか深く握り込むことができないと思います。

アクセルを開け始めの感覚もいつもと違いますので開け過ぎによる転倒につながる可能性も否めません。

それに比べてB. の方法は今のライディングを大幅に変える必要はないので私はB.の方法で改善していました。

サーキット用のライディンググローブはツーリング用のグローブなどと比べてもグリップするように作られていますのでアクセルバーをグーで握り込まなくても全開まで楽に回せると思います。(回せるところまではグーで回して残りの数ミリをパーで前回まで回していました。)

アクションカメラで確認してみましょう

アクションカメラで確認

GoProやInsta360のようなアクションカメラをお持ちのライダーさんでしたら動画でご自身のアクセルワークを確認してみてください。

私は白い油性ペンでアクセルに線を書いて本当にアクセルが全開になっているかを確認していました。

最後の1−2ミリを開けて数馬力の追加の加速っっっっっっっっっを味わってみてください。

一部の感覚麻痺しているライダーさんを除いて、最近の1000cc スーパースポーツバイクのアクセル全開で怖いと思わなければアクセルは全開じゃないと思って良いと思います。

アクセル全開を意識してサーキットを走行するだけで確実にタイムを削ることができると思います。

電子制御は強い味方。

トラクションコントロール
ウィリーコントロール
ABS・コーナーリングABS
エンジンブレーキコントロール
スライドコントロール
ローンチコントロール
ライディングモード
IMU (慣性計測装置)
電子制御サスペンション
クイックシフター

最近の1000cc スーパースポーツバイクは電子制御だらけですよね。

200馬力を超えるの1000cc スーパースポーツバイクですが、昔と比べるとこれらの電子制御のおかげでかなり安全に乗ることができるようになったんだと思います。

1000cc スーパースポーツバイクを購入してからしばらくの間はあまり細かい事は気にしないまま、これらの電子制御機能をなんとなく理解したつもりで乗っていましたが、

「電子制御をなんとなく知って乗る」 VS 「電子制御を理解して乗る」

では、サーキット走行での安心に差ができます。

その結果サーキット走行時のバイクの操作に違いがありましたので紹介していきたいと思います。

サーキットでは特にクイックシフタートラクションコントロール(トラコン)は強力なサポートをしてくれました。

クイックシフター

クイックシフターはクラッチ操作を行うことなくシフトチェンジができる電子制御システムです。

シフトアップ時にペダルの動きをセンサーが検知するとECUが一瞬(数十ミリ秒)だけ点火や燃料噴射をカットします。

これによりトランスミッションにかかる駆動力が抜けてギアがスムーズに入れ替わります。

スロットルを開けたままシフトアップができるのでクラッチ操作によるタイムロス・パワーロスがなくなり加速がスムーズで途切れません。

クイックシフターがない1000cc スーパースポーツバイクで筑波サーキットを走行した場合をAiにシミュレーションしてもらいました😄

1周あたり約25回〜30回のクラッチ操作
1枠で10周した場合は約250回〜300回のクラッチ操作

Aiによるシミュレーション結果

クイックシフターが付いている車両でコースインからコースアウトまでの間、クラッチレバーを操作する回数は約2回〜3回ですので、これは革命的な技術だと思います。

トラクションコントロール

トラクションコントロールはリアタイヤがスリップしそうになると自動的に出力を抑えてグリップを回復させます。

前後輪の回転速度をセンサーで常時モニタリングして、リアホイールがフロントホイールより速く回転し始める(スリップする)とECUが瞬時に点火タイミングを遅らせて燃料噴射を減らします。

同時にスロットルバルブを閉じる事でエンジンの出力を数ミリ秒単位で調整してくれます。

F1ではドライバーの技量差が出にくくなるため使用が禁止されている技術ですが、270馬力を超えるMotoGPのバイクには必要不可欠な技術としてMotoGPでは使用が認められています。

世界最高峰のプロライダーでさえ必要不可欠としている技術を私たち一般ライダーが使わない手はないですよね。

「電子制御に頼るのはカッコ悪い」という考え方もあるかもしれませんが、それは間違いです。トラクションコントロールがあるからこそより安全に・より速く・より長く楽しめるようになると思います。

サーキットでの全開走行に慣れていない(参考タイム1分10秒をまだ切れていない)ライダーさんたちは、トラクションコントロールを強めに設定してみてください。

サーキット走行中にトラクションコントロールが発動しない場合はアクセルの開けが足りない、と判断して良いです。

「トラクションコントロールに加速を邪魔される」

という感覚が増えてきたら徐々に設定を緩めていきましょう。

エンジンブレーキコントロール

エンジンブレーキコントロールは電子制御でエンジンブレーキの強さを調整してくれます。

エンジンブレーキが強すぎるとコーナーリング中にマシンが減速しすぎてしまうため、私はエンジンブレーキが最弱になるように設定していました。

ウィリーコントロール

ウィリーコントロールはその名の通りバイクの角度を検知して、ある一定の角度を超えてフロントタイヤが上がらないように制御してくれる機能です。

IMU(慣性計測装置)がバイクのピッチ(前後の傾き)をリアルタイムで計測します。ある角度を超えてフロントが浮き上がろうとするとECUが瞬時に点火タイミングを遅らせて燃料噴射を減らします。同時にスロットルバルブを閉じる事でエンジンの出力を数ミリ秒単位で調整してくれます。一定の角度以下に戻るとすぐに出力を戻してくれます。

ウィリーコントロールのおかげでバックフリップを意識する事なくストレートでもスロットルを全開にする事ができました。

電子制御サスペンション

電子制御サスペンションは走行状況に応じてサスペンションの減衰力(ダンパーの硬さ)をリアルタイムで自動調整する電子制御システムです。

ただし、電サスは快適性と利便性を高めるためのデバイスです。

本来は凸凹の多い一般道(街乗り)で本領発揮するデバイスですので路面がしっかり整備されているサーキットではメリットになることはほとんどないと思います。

そのため、タイムが上がってくると電子サスでは柔らかすぎると感じるタイミングが来るかもしれません。

スイッチ一つでサスペンションのセッティングを街乗りからサーキット寄り(注意・サーキット用ではない)のセッティングに変更できるというのはとても便利ですね。

ABS・コーナーリングABS

私の場合は、ほとんどのコーナーで強いブレーキが当たり前なサーキット走行ではABSは邪魔に感じていたのでOFFにしていました。(メーカーによってはOFFにできないバイクもあるようです。 ABSのフューズを抜く、という力技も存在しますが自己責任でお願いします🙇)

ポンピングブレーキを勝手に行ってタイヤがロックするのを防いでくれるのがABSですが、その仕組み的にバイクを止める力は弱まってしまいます。

またABSが作動している間はブレーキレバーにブルブルとその振動が伝わってくることもOFFにした原因の一つでした。

電子制御のおかげでかなり楽に

ある日、電子制御が付いていない少し古めのスポーツバイクをサーキットで走らせてもらう機会をいただきました。そのオーナーさんからシフトダウン時にはブリッピングしてくださいね。と言われました。

ご存知ないライダーさんのために説明すると、シフトダウンする際にクラッチを切った状態でアクセルをブオォンッと一瞬煽ってエンジン回転数を上げてからシフトを下げて、リアの安定、スムーズなシフトダウン、クラッチへの負担軽減など、バイクにとって良い効果が生まれるテクニックの一つです。

バイクで公道を走っている速度なら普通にできていたブリッピングもサーキットのように次々とコーナーに進入していくサーキットでは私には難しすぎました。

電子制御ではありませんが最近のバイクにはバックトルクリミッターと呼ばれる、急激なエンジンブレーキがかかった際にリヤタイヤのロックを防ぐための機械式の機構が付いています。

お借りしたスポーツバイクにはバックトルクリミッターもクイックシフターもトラクションコントロールもついていなかったのでたった2周で疲れて(精神的にも疲れました)その走行枠を引き上げました😭

サーキット走行では初めてのクラッチ操作でしたから当然ですが、クラッチ操作がこんなに難しいと感じたことは初めてでした。

こんなに忙しい作業を現代のスーパースポーツバイクは自動的にやってくれるのですから『誰でも乗れる』 と言うのは大袈裟ではないと思います。

現代の1000ccスーパースポーツバイクは数々の電子制御技術によって「200馬力を超える暴れ馬」から「誰でも安全に楽しめるマシン」へと進化しています。

電子制御のサポートは必要

クイックシフター、トラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキコントロール

これらの技術はMotoGPのプロライダーたちが270馬力オーバーのマシンで戦うために必要不可欠としている技術です。

世界最高峰のプロが認めた技術を私たち一般ライダーが使わない手はありません。

実際、電子制御のない古いマシンでサーキットを走ると、ブリッピング、クラッチ操作、トラクションコントロール——これら全てを人間が手動で行わなければならずたった2周で疲弊してしまいました。

現代のスーパースポーツバイクは、これらの複雑な作業を数ミリ秒単位で自動的に処理してくれます。

「電子制御に頼るのはカッコ悪い」という考えは時代遅れです。電子制御技術があるからこそ、より安全に、より速く、より長くバイクを楽しむことができるのです。

テクノロジーを理解して最大限活用することがサーキットではタイムを削る近道です。

「遅くすることで速くなる」というパラドックス。1つのコーナーで0.5秒を捨ててタイムを改善できるテクニック

サーキット走行において最も理解しにくく最も効果的なテクニックを紹介します。(文字で説明するにはかなり難しいため今後より良い言葉が見つかりましたら何度も直していきます。)

「0.5秒待つことで1秒以上速く走る」

という、一見矛盾しているような事実です。
でもこれが1000ccスーパースポーツでサーキットを速く走るための基礎だと思います。

サーキットでタイムを削ると聞いて皆さんが想像するのは「コーナーを膝を擦りながらギリギリまでマシンを寝かしてまでとにかく攻める!」ではないでしょうか?

私もサーキット遊びを始めてから数ヶ月間はこの考え方で頑張ってタイムを削っていましたが気がつきました。これはリスクがあり過ぎて長続きしないなと。。。

その後、この2つを意識するだけでかなり楽にタイムの短縮が可能になりました。

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