見出し画像

環境省の除染土処分に関するワークショップに参加してきた


私は3月1日から3日間、環境省が助成を行っている除染土処分を考えるワークショップに参加した。これは、福島大学やその他全国から集まった大学生が中心となって立ち上げた、除染土の問題を考えるためのカードゲームを高校生向けに作るという事業の一環である。問題を考えつつ、そのカードゲームをどう改良していくか、今後どのように展開していくかを考えるための3日間のワークショップだった。

除染土(復興再生利用土)とは福島第一原発事故後に放射性物質を取り除く除染作業で発生した、放射性物質を含む表土、泥、枝葉などのこと。主に福島県内の「中間貯蔵施設」に約1,400万立方メートル保管され、2045年3月までに福島県外で最終処分することが法律で義務付けられている。


ワークショップはすごく楽しかった。いろいろな大学から来た学生の中に一人で参加する体験は久しぶりで、いつも阪大生や見知り合いの学生と一緒に行く福島の研修会とは全く違う感覚だった。2泊3日の短いワークショップだったが、除染土処分に絞ってプログラムが組まれており、自分の知識を改めて振り返りしっかり考える機会になった。

今回のワークショップでは、完全に参加者として、一切運営を手伝わない立場だった。そのおかげで、自分が学ぶこと、自分が美味しいご飯を食べることを優先できて、すごく楽に、自由に楽しく過ごすことができた。

プログラムはすごくコンパクトにまとめられていて、除染土の問題に対するさまざまな角度からの意見を見ることができた。しかも、それぞれの人が自分の立場だけを主張するのではなく、自分とは異なる相手の立場を慮った説明をしていたのが印象的だった。

みんな本当に多角的に考えていて、「反対意見もわかる」「でもこういう立場もある」と、いろんな視点を見せてくれたことがすごく良かった。学生さんたちもそれぞれに思いを持っていて、さまざまな利害関係の中でこの問題を考えるという前提がしっかり共有されていたように思う。

そして個人的には、何度も泊まっているホテル蓬人館で初めて朝食と夕食をホテルのバイキングで食べられたことがすごく嬉しかった。そういう小さなことも含めて、今回のワークショップは本当に楽しかった。

しかし、ひとつだけすごくもやもやしていることがある。それはメディアのあり方についてだ。今ちょうど帰り道の新幹線の中でこの記事を書いている。新鮮なうちに、言葉にしてしまおうと思った。


今回のWSでは地元メディアの取材が3日間とも入り、本当にずっと取材されていた。何か意見を言うとすぐにカメラが寄ってきて、かなり近い距離で発言と映像を撮られているような状況で、私たちはワークショップをしていた。

少し踏み込んだ発言をすると、必ず声をかけられて、「ちょっと詳しく伺ってもいいですか?」と言われて、一人でインタビューが始まる。かなり突っ込んだ内容を聞かれて、「最終処分の受け入れについてどう思いますか?」というような、政治的な意見をカメラの前で表明することを求められた。

最初に取材への同意書は出していた。でも私は、集合写真やワークショップに取り組んでいる様子を使うくらいだと思っていた。ところが、顔出しのインタビュー動画が全国放送に載ってしまった。

なるべくテレビにピックアップされるのは避けたいと思っていたが、2日目に中間貯蔵施設の情報センターで職員の方に質問しているところ、カメラを向けられた。突然、政治的な意見を表明するのはすごく難しかった。それでも私は本当に思っていることを伝えたつもりだし、「こうやって撮られているからあえて率直に言いますけど」と前置きして話した。

最終日、地元のメディアが作った記事が動画付きでネットに載り、Yahooニュースにも転載されていると聞いた。みんなで動画を見ると、インタビューの一部ががっつり顔出しで使われていて、正直驚いた。

まず一つ目は、成果物の確認もなく、こうして全国に公開されるのだということ。二つ目は、あんなに話したのに「そこを切り取るんだ」という部分が使われていたことだった。環境省も、再生利用や再生処分への賛成者を増やして政策を押し進めるのではなく、正しい知識を持って自ら判断してもらうための取り組みをしているはずなのに、いかにも“利口ちゃん”的な回答をした部分だけが使われていて、私のインタビュー全体の趣旨とは少し違う印象になっていた。(切り取られても趣旨が伝わるように簡潔に話すことができなかったという私の責任ももちろんある)

今回これを見て、初めてメディアの「切り取る力」を実感した。少し怖くなった。Yahooのコメント欄には当然、「県外処分には断固反対」とか、「どこの大学生なの」というようなコメントもあって、それらがすべて自分に向けられているように感じて、少し怖くなった。

今回の取材者が悪いというより、メディアとはこういうものなのだと理解した。同時に、これまでの大学生活で福島について学ぶ中で、取材やインタビューを受けそうになっても、先生が守ってくれていたことに改めて気づいた。顔と意見が変な形で公開されてしまうことを防ぐことで、学生が途中経過で少し偏った意見を持っていたとしても、学び続けることができる、失敗が許される環境にいられたのだと思う。

今回は環境省から資金が出ているし、取材が入るのも当然だし、素材として使われるのも仕方がないとは思う。それでもやっぱり、そんなにいい気分ではなかった、というのが正直な感想だ。

ワークショップ自体は本当にいい場所で、めちゃくちゃ勉強になった。だからこそ、メディアへの露出だけが少し不安として残った。その気持ちを、帰りの新幹線で書き留めておこうと思った。

ちなみに、福島から大阪へ新幹線で移動しているので、その他のバス移動も含めて座りすぎて腰が限界を迎えつつある中書いたので、少し尖った文になってしまったかもしれない。


いいなと思ったら応援しよう!