佐藤究さんと塩田武士さんの『松本清張の昭和』のご書評/日本経済新聞・西日本新聞・講談社現代新書
佐藤究さんと塩田武士さんから頂いた『松本清張の昭和』の書評につきまして、松本清張を敬愛する同世代のお二人から頂いたありがたい内容でしたので、改めてご紹介したいと思います。
西日本新聞(2026年3月14日)で、佐藤究さんに『松本清張の昭和』の書評を、ご寄稿頂きました。特に感銘を受けたのは下の一文でした。
清張の存在の大きさは身に沁みている。このような本は、たとえ頼まれたとしても、到底書けるものではない。
小倉で貧しい幼年時代を過ごした松本清張の見た光景を、私は本書によってはじめて知った。<中略>
本書が光を当てる「国民作家」の幼少期は、局所的な昭和の記憶であることを超えて、失われた日本の原風景そのもののような、深い悲しみと美しさを読み手に伝えてくる。
「彼が記したどの作品よりも、その人生はドラマチック」と著者は述べている。確かにそうかもしれない。だが、こういう言い方もできる。膨大な資料に基づく冷徹な観察力、昭和という時代に流れていた人間味と哀愁、それらを凝縮して書かれた本書そのものが、清張の評伝でありながら、清張の書く小説に似ているのだ。とにかく本書はおもしろい。松本清張、ここにあり。
松本清張の作風を熟知している佐藤究さんらしい優れた内容で、読んでいて、高角度のスープレックスを食らったように、しびれました。ご高評を頂き、大変嬉しく、励みになりました。キャプチュードのような書評でした。ありがとうございます!
西日本新聞に書評を寄稿した『松本清張の昭和』。その著者である酒井信さんがまさかのコアチョコ&プロレスファンだったとは。それにしても本当に面白い新書でした。 https://t.co/uLTGmE9GWH
— 佐藤究 kiwamu sato (@sato_q_book) March 15, 2026
日本経済新聞(2026年2月7日)で、塩田武士さんに『松本清張の昭和』の書評を、ご寄稿頂きました。特に感銘を受けたのは下の一文でした。
著者は、膨大な資料を分析し、主要エピソードを更新しながら的確に考察を重ねていくことで、虚と実、現在と過去を自在に往来した「人間松本清張」の実像を見事に捉え切った。入門者は無論のこと、年季の入ったファンにとっても貴重な一冊となるはずだ。<中略>
本文中に何かしらの金額が出る場合は必ず現代の価値に換算し、カッパ・ノベルスと新潮文庫の発行部数をまとめた表を用意するなど、数字の面でも仕事が丁寧。
「清張は社会派ミステリで描く『人間の業』のようなものを、日本の政治や歴史を動かす源だと考えていた」という著者の慧眼には、一小説家として背筋が伸びた。
現代日本の社会派ミステリの旗手・塩田武士さんらしい優れたご書評で、著作の構造を、細やかで鋭い文章でとらえて頂き、感動いたしました。「主要エピソードを更新」や「数字の面でも仕事が丁寧」といった表現に、社会派ミステリの書き手らしい、「プロの仕事」を感じました。
『松本清張の昭和』に、佐藤究さん、塩田武士さんからご書評を頂けて、非常に嬉しかったです。松本清張のことを深く知る同世代のお二人からご高評を頂き、文芸批評をやってきて良かったと思いました。心より御礼申し上げます。
引き続き、新刊『松本清張の昭和』(講談社現代新書、2025年12月25日発売、5刷)をよろしくお願いいたします!
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