それは、私が10年間ほしかった言葉
たいした困りごとでもないけれど、なんとなくアドバイスがほしくてスクールカウンセラーさんと会うことにした。
今回会うのは初めてになる方だったので、多少緊張しながら挨拶をする。
私が息子のこれまでの生育歴などを口頭で説明するのをカウンセラーさんがキュッキュッとサインペンで書き留めていく。
カチッとサインペンにキャップをはめて、うーん…とカウンセラーさんが唸るので、私は思わず背筋を伸ばした。
「…お母さん、これまでよく一つひとつ正しく選んで進んできましたね。これで、合っていますよ。あなたの選択は正しかったと思います。」
その瞬間、息子と一緒に試行錯誤してきたこれまでの景色が、ぶわっと頭の中に次々と浮かんできて、思わずぽろりと涙が出た。
ずっとずっと、手探りだった。
発達障害の育児はいわゆる「普通」の育児より選ばなきゃいけないこと、勝ち取らなきゃいけないこと、時には諦めないといけないことが多い。
同じ発達障害でも千差万別で、例えば自閉症の子供同士でも悩みが全く違ったりするので、これといった「万能な道」もない。
初めての子供を妊娠・出産して、これでいいのかな、私の育児は合っているのかなと不安なところへ、「他の子となんか違う」子供の様子がぶつかってくる。
あちらへ聞きに行き、こちらでも相談し、と常に右往左往してきた。
これで本当に良かったんだろうか。
自問自答を繰り返す、眠れない夜。
ああ、誰か合っていると言ってくれ!
いつもそう心の中で叫んでいた。心が落ち着く暇がなかった。
そうやって過ごしてきた、この10年間でいちばんほしかった言葉。
ようやく、聞けた。
その瞬間、ひとりで日々、えっちらおっちらと重荷を背負いながらヨチヨチ歩いていた私の足に力が入った。
屈んでいた腰が、スッと伸びた。
私は間違っていなかった。
そう思えたのは、きっと初めてだった。
ここから先の道は、今までより少しだけ自信を持って歩けそうだ。
