見出し画像

AI時代の顧客理解。キーワードはキングコンテンツとダイナミック配信

こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。

AIの急速な進化は、マーケティングのあり方を根本から変えようとしています。検索エンジンや情報収集プロセスが変化し、顧客との接点を持ちにくくなっている今、企業はどのようにして市場で勝ち残っていくべきでしょうか。

本記事では、パナソニックコネクトの関口氏、suswork代表の田岡氏、そしてマーケティングマーカー事業本部本部長の花田氏が議論した内容を基に、「AI時代の顧客理解」を基点とする2026年のB2Bマーケティングにおける最重要戦略を解説します。

個人的には田岡氏が語る「キングコンテンツ×ダイナミック配信」という話が響きました。

簡単に大量にコンテンツが作れてしまうことで「ゴミコンテンツ」が量産される。その中で、逆に作りこまれて、価値の高い「キングコンテンツ」の需要が高まる。

そこに、視聴者の属性に合わせてキングコンテンツを出し分けるダイナミック配信を組み合わせることでマーケティング効果を高める。

グロースソイル代表の岩野さんは、キングコンテンツ✕広告配信を提唱しています。

昨日、出版社の方と面談した際、以前は、返本を打ち返すべく大量の新刊本を出し続けていたが、直近では再び新刊を絞り込み、良い本をしっかりと販促をかけて売っていくという方向に回帰していると伺いました。

これと同じことがデジタルコンテンツにおいても起こっていくのでしょうね。

1. 2025年の総括:B2Bマーケティングが本質に回帰した年

2025年は、B2Bマーケティングが「本質的な価値」に立ち返らなければならない年となりました。

顧客行動の変化とAIの影響

  • ゼロクリックの浸透: 検索エンジン上部にAIによる回答(AI Overviews)が表示されるようになり、顧客がWebサイトを訪問するトラフィックが減少する傾向にあります。

  • AIによる情報収集の一般化: B2Bの顧客側もAIの利用が相当浸透しており、特に製品の発見・評価フェーズだけでなく、稟議のフェーズでもAIを活用し、経営層への説得材料を集めるなどの使われ方が増えています。

  • 接点の持ちにくさ: 顧客がAIを通じて情報収集するようになると、企業側は「問い合わせが減った」「サイト流入が減った」と感じるなど、直接的な顧客接点が持ちにくくなっています。

リード中心から「バインググループ」中心へ

これまでのB2Bマーケティングはリード(見込み客)獲得が中心でしたが、B2Bの意思決定は多くのステイクホルダーによる集合体(バインググループ)で行われます。

個々のリード情報(MQL:マーケティング・クオリファイド・リード)だけでは判断を誤るリスクがあるため、現在はバインググループ全体を意識し、誰が興味を持っているのか、匿名(アノニマス)の顧客接点も重要視する方向へとシフトしています。

2. AI時代を生き抜く結論:「AIセントラル」な顧客理解

AI時代のB2Bビジネスで収益(レベニュー)を生み出すためには、「AIから売上にどうつなげるか」を突き詰める必要があり、それは結局、顧客理解に戻っていくと指摘されています。

職能連携による「N1分析」

パナソニックコネクトでは、AI時代において、営業、マーケティング、カスタマーサポート、技術といった様々な職能の人々が協力し、N1(一顧客)インタビューや分析を行うことを特徴としています。

これは、営業が気づかないニーズの破片を、カスタマーサポートなどの部署が持つ過去の顧客情報から拾い上げ、パズルのように組み合わせていくことで、本質的なニーズを把握するためです。顧客の感情はAIでは掴めないため、現場で出てくるリアルな声が重要になります。

AIセントラルなデータ蓄積の必要性

AIをビジネスの中心、すなわち「AIセントラル」に置くことで、データが蓄積され、必要な情報が必要なタイミングで引き出される世界が実現できます。これにより、今までとはまるで違う顧客理解の深化が進む可能性があります。

3. 最先端戦略:「インテント×AI」と「ダイナミックコンテンツ」

顧客接点が持ちにくい時代だからこそ、顧客が「何を求めているのか」(インテント)を理解し、その情報に合わせた適切なコンテンツを提供することが求められます。

インテントマーケティングとは

インテントマーケティングとは、ダイナミックコンテンツを活用して顧客の心を動かし、リードを増やす新しいB2Bマーケティングモデルです。

Web検索の履歴といった外部データだけでなく、セールスとの接点や商談の場で発せられた言葉、実際に製品を利用している方々のインテント(ニーズ)まで、組織として顧客の興味・関心を正しく把握することが求められます。

ダイナミックコンテンツの重要性

AIによってコンテンツの量は増えていますが、標準的なものばかりになっています。そのため、業界を代表するような強い「キングコンテンツ」(強い事例など)が求められる一方で、「ダイナミックコンテンツ」が重要になります。

ダイナミックコンテンツとは、顧客のセグメント(業界、オペレーション形態など)やフェーズに応じて、一人ひとりに合ったコンテンツを出し分けることです。

  • カゴメ様の事例: 企業が自社サイトに来訪した際、その企業に合わせてウェブサイトの表示内容を変化させたり(例:IT企業×ベチェック)、ターゲット企業に合わせた文面でメールや広告(配信先の企業名を表示)を自動的に配信したりするアプローチが実施されています。この結果、リード獲得が前年対比143%増加しています。

  • 個人のインテント特定: マーケティングマーカーでは、特定の企業だけでなく、個人のインテント(興味関心)を特定し、Webサイト上のポップアップを変化させることができます。資料をダウンロードする際も、フォーム入力なしでPDFに直接誘導し、ある程度読み進めた方にだけ情報入力を求めることで、離脱を防ぐ工夫がされています。

AIが実現する顧客インサイト分析

AIを活用した「インサイトAI」機能は、顧客理解を劇的に効率化します。

  • ミーティングの資産化: 録画されたミーティングの情報(文字起こしや音声データ)をベースに、AIが顧客の発言内容やインサイトを分析し、自動でサマリーを作成します。

  • 3ヶ月かかる分析を30分で: 複数のミーティングデータやインテント情報を集約し、自動でスライドとしてまとめることも可能です。これにより、通常3ヶ月かかっていた顧客インサイトへの理解を30分で実現できるようになります。

このインサイトAIは、営業、CS(カスタマーサポート)、マーケティングといった様々な職能で利用可能であり、組織全体の顧客理解を深める鍵となります。

4. AI時代を生き抜くために

AI時代を生き抜くための鍵は、進化の早いAIをお客様が使う前に自分たちが体験して理解しておくこと、そしてビジネスの基本である顧客理解に立ち返ることです。

個人ではなく、組織として、顧客のインテント(ニーズの破片)をしっかりと集め、顧客起点で情報を提供する仕組みを構築することが、今後のB2Bマーケティングの成否を分けるでしょう。


いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。

■お仕事の依頼は、こちらから


いいなと思ったら応援しよう!

駒瀬元洋 | ひとりで決めている人の、思考の伴走者 いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。